「1人でも多く女性国会議員を」自民党幹事長代行野田聖子衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生モーニングトーク」2020年10月3日放送
Japan In-depth編集部(坪井恵莉)
【まとめ】
・現在務める幹事長代行は自民党の「何でも屋」。
・与野党関係なく、まずは女性国会議員を増やす取り組みを。
・母親が全て背負わず、自然に子育ての役割分担ができる社会へ。
今回の「細川珠生のモーニングトーク」では、自民党幹事長代行の野田聖子衆議院議員をゲストに招いた。自民党総務会長をはじめ、党の要職や閣僚を歴任した野田氏に女性活躍のあり方について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。
細川氏は野田氏が現在務める幹事長代行の具体的な役割について聞いた。
野田氏は「二階幹事長と菅総裁が自民党の中心だが、必ずしも全て仕事がお二人だけで出来るわけではない」として「(幹事長と総裁の)手の届かない、または時間が足りない仕事を全て引き受ける何でも屋のような役割だと説明し、党の政策から人事、広報まで幅広い分野を担っていると述べた。
細川氏は、今回自民党の四役と総裁が全員男性でかつ平均年齢が71歳を超えていることや、閣僚の平均年齢が高いことを挙げ「(現政権の)高齢と女性の少なさが際立っている」と指摘した。自民党内で女性が要職に就けない原因はどこにあるのか、野田氏の考えを聞いた。
野田氏は原因の一つとして女性議員の数がそもそも少なく、自民党では衆参合わせて40人程度にとどまっていることを挙げた。さらに女性議員の多くは当選回数が2,3回と少ないために「背伸びさせて専門外の大臣にしてもつまずく。そこが大きな傷となって個人の資質はもとより女性全体の評価を悪くするという懸念がある」と述べ、「今は地道に一人でも多く自民党の女性の国会議員を作る土壌づくり」に取り組む必要があるとした。
細川氏は、野田氏が男性優位な世界で様々な苦労をしてきたとして、そうした苦労を乗り越えるためにどのような努力をしたか聞いた。
野田氏は特別な努力はしていないと答えつつも「誰に対しても偏見を持たない」ことを大事にしていると明かした。特に女性に関しては、イデオロギーに関係なく女性であるというだけで男性に比べて過小評価されている姿を長年目の当たりにしているからこそ「目の前の小さな食い違いだけで人を判断しない」ことを意識していると述べた。
また野田氏は、政治の世界では「可愛いマスコット的な女性議員」や「男の人が言いそうなことを言う女性議員」が重宝されると述べ、自身はどちらにもならなかったために「逆にターゲットにされなかった。クラゲのように浮遊して28年間生き延びてきた」と振り返った。
▲写真 ©️細川事務所
女性の社会進出を阻む要因の一つに家庭との両立の難しさがある。国民のために仕事をする政治家は特に私的な事情を口にしづらいとされているが、育児と両立できる政治家像はあるのか細川氏が聞いた。
野田氏自身も子育てをしつつ、総務会長や総務大臣、そして現在務める幹事長代行などの要職を務めてきた。
野田氏は自身の経験から「気負わないこと」が重要だとしたうえで、「色々な言葉に女性たちが押しつぶされないような取り組みがしたい」という考えを明かした。例えば「両立という言葉をなぜ私だけで、(小泉)進次郎氏には言わないのか」など素朴な疑問を社会に投げかけ続けることで女性の負担を減らしたいと述べた。
また野田氏は『母親』という言葉に明確な定義がないとして、「妊娠した途端『ママ』と言われるが、産んだばかりの時は保育士さんの方がよっぽど専門知識がある。にも関わらずなぜ母親に全てを押し付けるのか」と問題提起した。
さらに、「これまでの女性は全部背負わないと一人前だと認められないという気負いがあった」と述べ、両親がそれぞれの能力に合わせて役割分担できる国を作ることが子供にとってもバランスが取れ、国としての生産性も向上するとの考えを示した。
細川氏は来年行われる総裁選に向けて、女性登用の具体的な計画はあるのか聞いた。
野田氏は来年行われる解散総選挙に向けた準備として、下村政調会長が選対委員長を務めた際に発案し、女性局と作成した「スタンバイ・リスト」を挙げた。有力な女性候補者をあらかじめリストアップし、自民党内で育成することで「落下傘のような女性候補者ではなく、自民党がしっかりとキープしている女性候補者たちを次回の選挙で立候補させたい」という方針を明らかにした。一方で「自民党は空いている議席がない」として女性登用に関しては「野党にも頑張ってもらいたい」と述べ、「(政治家は)男性がやる仕事ではないということを見せていきたい」とした。
細川氏は「野田氏の指導力に期待している」として、「意思決定の場に女性が参加できる社会作りを願う」と対談を締めくくった。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年10月3日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。