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.政治  投稿日:2020/12/24

「選択的夫婦別姓、容認派は増えている」自民党女性活躍推進特別委員会委員長森まさこ参議院議員


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年12月12日放送

Japan In-depth編集部(坪井恵莉)

【まとめ】

・政府にひとり親世帯へ追加の給付金支給を提言。

・特にシングルマザーへの影響が大きいとして、相談窓口拡充を提言。

選択的夫婦別姓、9年前の議論に比べて容認派が増加。

今回の「細川珠生のモーニングトーク」では、自民党女性活躍推進特別委員会委員長森まさこ参議院議員をゲストに招いた。女性活躍推進をテーマに、女性へのコロナ対策選択的夫婦別姓制度について政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた

■コロナ経済対策

森氏が委員長を務める女性活躍推進特別委員会は11月末に、コロナ禍で苦しむ女性のための支援策を政府に提言した。提言には、ひとり親世帯への臨時特別給付金の追加支給が盛り込まれていた。細川氏は夏に行われた1回目の給付に続いて、追加で給付が必要だと判断した理由を聞いた。

森氏は、コロナ禍で女性の自殺者、失業者ともに男性よりも増加していること、またDVや性被害に関する相談も1.6倍になっていることを挙げ、深刻な状況に置かれている女性が増加しているとした。

その上で森氏は「ひとり親世帯の方の収入が減少すると、家庭への打撃が大きく、お子さんたちの貧困に繋がってしまう」と、ひとり親世帯への給付の必要性を強調した。

細川氏は女性の自殺者が例年に比べて4割増加していることは「深刻な問題だ」と述べ、森氏にその原因について聞いた。

森氏は「政府として正確な分析はまだできていないが、データから推測できる事実はある」と述べ、例えば雇用面では、コロナ感染拡大以降の就業者数の落ち込みが、男性は37万人なのに対して女性は約2倍の70万人にのぼっていることを挙げた。

また、女性の就業者数は第2次安倍政権以降300万人まで増加したが、その多くは非正規雇用で再就職について不透明な状況が続いている。こうした雇用面での不安に加え、コロナの影響で学校や保育園が休業したことで子育ての不安を一人で抱え込まなければならないシングルマザーが増加しているのではないかと森氏は述べたた。

こうした状況の中、森氏は「政治としては、分析だけに走るのではなく、まずは自殺者が多くなったという目の前の現実を受け止めて、迅速に対策を打っていく責務がある」と述べ、SNS等を使った相談窓口や人員を増やしていくことを提言に盛り込んでいることを明らかにした。

▲写真 ⒸJapan In-depth編集部

■選択的夫婦別姓制度について

細川氏は「通称(旧姓)で仕事をしているが、不便なことも多い」として「(私自身が別姓にするかどうかは別として)選択的夫婦別姓の制度を作ること自体には賛成している」と述べた。自民党内では慎重な声も挙がっているが、どのような形で制度の実現に繋げていきたいか、森氏に聞いた。

森氏は、まず選択的夫婦別姓制度に関して「ミスリードが多い」と述べた。森氏の事務所には、選択的夫婦別姓に反対する署名も寄せられているが、多くは「選択的夫婦別姓制度は戸籍をバラバラにするものだ」と誤解しているという。森氏は「自民党内で戸籍をバラバラにする意見はない」として「前提条件の誤解は解いていきたい」と述べた。

森氏は自民党が選択的夫婦別姓を議論するのは、自身が法務部会長を務めていた2011年以来、9年ぶりだと明かした。そのうえで「9年前に比べて容認派が増えてきた」という。特に目立った変化は、男性の若い議員のなかに容認派が増加したことで、「女性対男性」という対立構造が変わりつつあると説明した。また「支援者には反対から容認に考えを変えたと話す人もいた」と実現に向けて手ごたえを感じていることを明かした。

細川氏も反対派から容認派に意見を変えた一人だという。細川氏は「二十数年前に初めて聞いた時は反対していたが、実際に自分が結婚して旧姓のまま仕事をしていると色々問題が出ていることを実感している。また安倍政権以降、300万人の女性雇用が生まれたのは大きな社会の変化」だと述べた。また、「少子化で家を引き継いでいく人材の不足は時代の変化として仕方ない」として「今の状況でどのような政策を選択すべきかが問われている。選択的夫婦別姓は日本の伝統を壊すものではないし、伝統にこだわるあまり壊れていくものの方が大きいのではないか」との考えを示した。

森氏は「家族の絆を大事にしたいというのは容認派も慎重派も変わらない」と述べたうえで、「これからの時代を生きていく若い世代が未来に希望をもって結婚や仕事ができる結論にしたい」と意気込みを示した。

細川氏は「私もこれまでの経験を発信しながら、これからの時代に必要な制度を作る一助になれば良いと思っている」と締めくくった。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年12月12日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部




この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

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