「実行力+実現力」をアピール 千葉県知事選関政幸候補
武山雅樹(フリーライター)
【まとめ】
・千葉県知事選、事実上前千葉市長の熊谷俊人氏、前千葉県議会議員関政幸氏の一騎打ちに。
・関候補、我孫子市で街頭演説、自民党地元選出国会議員、県議、市議らそろい踏み。
・政策では、「給食費」ゼロからの食育、地産地消が印象的。
■ 自民党の関政幸ってどんな人?
緊急事態宣言が発出されている千葉県で、3月4日、任期満了に伴う県知事選挙が告示された(投開票日は21日)。
今回の選挙では前千葉市長の熊谷俊人氏、前千葉県議会議員関政幸氏をはじめ、共産党の金光理恵氏、後藤輝樹氏、加藤健一郎氏、皆川真一郎氏、平塚正幸氏、河合悠祐氏の8人が立候補している。とはいうものの、政令市の市長を3期務めた無所属の熊谷氏と、強い組織力を持つ自民党の関氏との事実上一騎打ちといえそうだ。
千葉県在住の筆者としては、他人事ではない選挙だ。
全国最年少で千葉市長となり先進的な市政を進めてきた熊谷俊人氏の実績は、千葉市民ではない筆者もSNSである程度知っている。しかし、森田健作氏の不出馬で、自民党候補者として有力だった鈴木大地・元スポーツ庁長官から急転直下、立候補が決まった関政幸氏については、ちょっと存じ上げない。
ざっと調べたところによると、関氏は2002年に早稲田大学商学部を卒業、2005年に司法試験に合格し弁護士となる。その後2011年に自民党から県議選に出馬(選挙区は千葉市緑区)し、3期連続の当選を果たしている。ちなみに熊谷氏は2001年に早稲田大学政治経済学部を卒業。同じ時期に早稲田大学で学んでいたことになる。同じ大学、同じ千葉市、同じ世代と共通点は多い。
では、実際の政策はどんなものなのだろうか? 3月7日に我孫子市で街頭演説を行うということで、行ってみることにした。
■ ザ・自民 地元選出の国会議員、県議、市議らそろい踏み
街頭演説が行われたのは街頭演説が行われたのは選挙サンデーと言われる重要な日曜日の午後、買い物客が多く訪れるスーパーの前の路上だ。重要な日曜午後に我孫子市としたのは熊谷支援を表明する県議会唯一の完全無所属県議がいることを意識したのだろうか。
しばらくすると街宣車が到着し、関候補が降り立った。白いジャンパーに青いタスキで爽やかな印象。関候補の露払いとして、我孫子市選出の今井県議、星野市長、猪口邦子参議院議員、桜田義孝衆議院議員が演説した。
しかし、休日の午後、気温も高く人手もそれなりにあったが、足を止めて聞く有権者は意外に少なかった。
■ 給食費ゼロからの食育、地産地消が印象的
街頭演説で関候補はまず、新型コロナウイルス対策について、県議としての実績をアピールしつつ、今後の医療提供体制の拡充やワクチンの迅速な接種推進を述べた。
千葉県の新型コロナ対策に関して個人的に思うのは、国や他県の様子を見て追従しているという感じだ。政府の対応が後手後手に回っているという批判があるなか、さらに様子見しているから、もっと後手に回っているように感じてならない。正直、新型コロナ対策は説得力に欠けるし期待感も薄い。
続いて道路などの交通ネットワーク、インフラ整備の推進について語った。公共事業などは自民党の得意とするところ。この政策は間違いなく進んでいくだろう。
そして3番目に「給食費ゼロ」について語った。給食費無償化は、子育て世代の経済的支援、子どもの貧困対策、少子化対策にとどまらず、地元の食材を消費する地産地消(千葉県なので千産千消)による食育、地域農業、漁業の活性化につながり、さらに観光業などへも結び付けていき、教職員の負担軽減、千葉愛の醸成、県庁改革などにもつながると述べた。
どうやら関候補にとって給食費無償化が今回の知事選における政策の柱のようだ。子育て世代へのアピールにもなるし、農業や漁業を営む人たちへもフォローにもなる。そして何より分かりやすい。
ただ、筆者も小さな子どもがいるのだが、それほど刺さる政策ではなかった。確かに給食費ゼロはありがたいけれど、もっとやってほしいことはたくさんあるし、何より子どもたちが将来大きな負担を強いられるような現状に対するビジョンがなかったのが残念だ。
■ 第一声で語った森田県政の継承
今回の街頭演説では、現在の森田県政に対する評価などに言及することはなかった。
ただ、告示日に千葉駅東口で行った第一声では「森田知事が12年の間に蒔いてきた種、礎をしっかりと継承して前に進めます」と述べ、森田県政の継承を掲げた。(森田県政3期12年が種まきって、ずいぶん長い種まきだなと思ってしまった)
演説後に足早に選挙カーへ乗り込む関候補に今回の選挙について一言いただいた。
「実行力+実現力を見てほしい」と力強く語っていた。
確かに県議会の多数を占める自民党の候補であるだけに、政策の実現力は、ほかの候補よりもあるといえそうだ。また、第一声では「自民党と友党、公明党の連立与党としての強みを活かす」とも述べており、与野党構造を強調。関候補が知事となった場合の千葉県政は、政権と連動した県政運営ということになりそうである。
演説を聞いていた方の声は、「若いし、頑張ってほしいと思った。期待してます」、「希望にあふれていますね」といったものだった。3月8日には、熊谷候補が我孫子市に来るのでこちらもリポートする。
トップ写真:Ⓒ武山雅樹
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この記事を書いた人
武山雅樹フリーライター
千葉県在住のフリーライター。
グルメ雑誌、歴史雑誌、ペット誌、医療系フリーペーパーなど幅広いジャンルで活躍。
最近は企業のインタビュー企画やWebサイトのライティングなども手がけている。