[大橋マキ]<地域に作るハッピーなエイジングの拠点>在宅介護者のリフレッシュを!葉山のソーシャルファーミング
大橋マキ(アロマセラピスト)
鎌倉で地元の仲間たちとハーブの楽しさを広げる活動をしていますが、そのスピンオフとして立ち上げた活動が、葉山のソーシャルファーミング。この春、2年目に入りました。
超高齢社会で介護負担の急増が社会問題化するなか、地域でハッピーなエイジングの拠点を作れないだろうか、そんな考えで葉山社会福祉協議会に持ち込んだ企画が3年越しで、在宅介護者のリフレッシュを目的にしたソーシャルファーミングという形で実を結びました。
葉山社会福祉協議会と関東学院大学文学部の山口稔教授ゼミ、私たちハーブチームと地域住民とで恊働していますが、こんなにも早く活発な活動になるとは正直、驚いています。
畑探しからスタートした1年目、手探りながら実に色々とチャレンジしてきましたが、「参加者が主役」という意識が、このプロジェクトの原動力になっています。子連れママや介護者、介護を予定している人、介護中の人、介護を終えた人、大学生と多様なメンバーが20名ほど集い、青空のした土に触れる開放的な時間は、いつのまにか参加者を大きな家族へと変えていきます。
バックグラウンドの異なる多世代の仲間が、ゆるやかに関わりながら、いつのまにか自分の役割を見いだし、誰もが学び教える立場になっていく。一人ひとりが、この活動になくてはならない存在になっていくのです。どんなセラピーや健康法にも勝る、リフレッシュ、生きる動機づけになるのを感じます。
昨年からハーブの加工にも取り組んでいます。ハーブや葉山の庭木で親しまれる夏みかんの花を蒸留したフローラルウオーターや地元のパン屋さんとコラボレートした限定ベーグルなど、今年は本格的に商品化へと動き出します。
また、活動拠点として畑に隣接する古民家のリノベーションがスタートしました。関東学院大学の建築学科の学生たちが地域の住民や参加者にヒアリングを行い、具体的なリノベーションプランを立てていきます。敷地内の竹林や木材も建材として使用。
また、ワークショップを通じて、作業そのものに地域住民が参加できる仕組みをつくっていきます。敷地内には、地元の子どもが遊べる竹を使った遊具を設置するワークショップも検討中。リノベーションと平行して、メンバーのセラピストが中心となって認知症専門のアロマトリートメントも習得中。今年度中には、リノベーション後の拠点で、介護者やご高齢者へのアロマセラピーやヨガも行えるようになればと思っています。
さらに将来的には、ここでデイサービスや子どもたちのアフタースクールも行えたらと展望は広がります。カフェでは学生ギャルソンが元気に働き、育児が一段落したママのオリジナルレシピが味わえ、シニア世代が教える昔遊びのワークショップに参加できるかもしれません。夢は広がります。
こうした取り組みは、何ら特別なことではありません。お年寄りがのんびりと子どもの賑やかな笑い声に耳を傾け、お母さんがほっと一息つける場所は、実は第二、第三の人生のスタートの場所でもあります。 ちょっと懐かしい未来には、実は、ドキドキもある。
そうやってどの世代もわくわくできる場所を作っていけたらいいですね。みんなで語らうその時間が、すでに一つ一つかけがえのない時間なのです。ソーシャルファーミングなんて堅苦しい言葉以外に、なにかいい言葉がないものかと考えるこの頃です。
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