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.国際  投稿日:2022/10/17

仏、大規模ストで燃料がない!


Ulala(著述家)

フランスUlalaの視点」

【まとめ】

・フランスでは、石油会社の従業員らによる賃上げストライキで多くのガソリンスタンドで燃料不足が発生。

・救急車やゴミ収集車にも影響が出ている他、観光客が20%〜30%減少するなど観光業界にも影響大。

・18日には各地で大規模ストが開催される予定で、バスや電車、地下鉄の減便が見込まれている。

 

現在、フランスでは、多くのガソリンスタンドで燃料不足が発生しており、各地で燃料を求めて長蛇の列が見られている。朝6時の時点で既に1時間待ちとなっているガソリンスタンドもあるが、燃料が残っていればいい方で、自分の番が来た時には既にガソリンが空になっている場合もある。

これによって特に仕事で車を使用する職業に影響が出たり、子供を学校に送ることすらできない家庭も発生している。

■原因は製油所の職員のスト

各ガソリンスタンドでの深刻な燃料不足の原因は、石油会社のトタルエナジーズやエッソ・エクソンモービル・グループの製油所の従業員による賃上げ要求のストライキだ

このうちエッソは、労働組合との交渉が合意に至ったためストを停止したが、トタルエナジーズの従業員が多く加盟するフランス労働総同盟(CGT)は、現在も要求を取り下げることなく土曜日からストを再開した。

事態を重く見たフランス政府は、国の経済活動を止めないためにも介入を行い、19日の水曜日には正常に戻ると断言していた。

しかし、たとえ月曜日にストが終了したとしても水曜日からすぐに元の状態に戻れるわけではない。一度流通を止めてから通常状態に戻るには3週間はかかるとも言われており、不便な状態はまだまだ続きそうだ

それでも、一時はフランスのガソリンスタンドの42.2%が燃料不足に陥っていたところ、現在は27.3%となっており、給油できる場所は増加している。

ただし、燃料不足は地域によって状況が大きく異なる。全く問題のない地域もあれば、かなり燃料が不足しているところもあり、格差が出来ている状態だ。例えば、パリにあるイルドフランスでは39.9%のガソリンスタンドが燃料不足となっており、平均の27.3%を大きく上回っている。

なお、リアルタイムなガソリンスタンドの燃料状況は、↓こちらのサイトでご覧いただける。

https://penurie.mon-essence.fr/w/

■広がる賃上げ要求のスト

トタルエナジーズの労働組合といっても、職員の大半が加入している管理職総同盟(CFE-CGC)民主労働総同盟(CFDT)の2つの労働組合については、2023年から7%の昇給と3000~6000ユーロのボーナスという形で、会社側と合意している。

未だストを継続しているのはCGTで、10%の賃上げを要求している。

経済活動の生命線といえる燃料を人質に取ったストが行われた結果、患者の家を一日に何件もまわる看護師が車にガソリンを入れることができず業務に支障が出たり、タクシー運転手にとっては死活問題となっている。トラクターなどを使用する農家も、備蓄しておいた軽油が底をつき始めたところが出てきており不安を抱える人が増加している。

救急車やゴミ収集車にも影響が出ている地域やガソリンスタンドでの長蛇の列にいら立つ運転手間で、ののしりあいや殴るといった暴力行為が発生し、混乱状態となったガソリンスタンドもある。

また、燃料不足は観光業界にも影響を与えていて、この週末の観光客は通常時の20%〜30%減少していた。

さらに、賃上げ要求は教員やフランスの国鉄SNCF、原子力発電所にも広がりつつある。18日にはフランス各地で大規模なストが開催される予定となっており、この日はバスや電車、地下鉄の本数が減る予定だ

ガソリンがないために公共機関を利用していたとしても、この日はさらに他の移動方法を考える必要がありそうだ。

フランスでは、ストに備えることが重要であり、普段から準備しておくことが、スト時の安心材料になる。いざという時のために他の移動手段を用意しておくことが必須な世界なのだ。

 

<参考リンク>

Réquisition de personnels : le référé de la CGT rejeté par le tribunal administratif de Rouen

人員徴用:CGTの略式手続き、ルーアン行政裁判所に却下される

EN DIRECT – Carburants: 27,3% des stations-service en difficulté d’approvisionnement ce samedi

LIVE – 燃料:27.3%のサービスステーションが土曜日に供給困難な状況に陥った。

La grève reconduite jusqu’à mardi dans au moins deux raffineries Total – Libération

トタルの少なくとも2つの製油所で火曜日までストライキが継続 – Libération

Grèves du 18 octobre: pourquoi les enseignants se mobilisent aussi

10月18日のストライキ:なぜ教師も動員されるのか

トップ写真:高速道路のガソリンスタンドで「Plus de carburant (これ以上の燃料はありません)」2022年10月16日、フランス・アスヴィエ 出典: Photo by Thierry Monasse/Getty Images




この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、著述家として活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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