無料会員募集中
.社会  投稿日:2022/12/16

渋谷に「サウナの殿堂」現る


Japan In-derpth編集部(油井彩姫安倍宏行

 

【まとめ】

・サウナ不毛の地と呼ばれた東京渋谷にサウナ施設が誕生。

・9つのサウナが入る施設をプロデュースしたのは、マンガ「サ道」作者、「サウナ大使」のタナカカツキ氏。

・今は市民権を得たヨガのように、サウナも一過性のブームではなく定着していくだろう。

 

空前のサウナブームを迎える日本。「サウナー」ととのうといった言葉を一度は耳にしたことがあるのではないか。「サウナー」はいわずとしれたサウナ愛好者のこと。「ととのう」とは、サウナ、水風呂、休憩を繰り返すことにより、心身ともに「整った」状態をいう。

ところで筆者(編集長安倍の方)は週に3,4回はサウナに入る猛者。温泉に行っても、ホテルに泊まってもサウナがあれば必ず入る。

よりによって「サウナ不毛の地」渋谷に時代を象徴するサウナの殿堂ができたと聞いた日には、すわ見に行かねばならぬ、と早速JR東日本渋谷駅のすぐそば、現在再開発真っ只中の桜丘(さくらがおか)地区へ向かった。

マンガ&エッセイ「サ道」の作者であり、日本サウナ・スパ協会任命の「サウナ大使」を務めるタナカカツキ氏らが総合プロデュースを手掛けたサウナ施設、それが渋谷SAUNAS

駅から5分。坂の中腹に現れたその建物は、色も形も奇抜なものではないが、壁面のでっかい「サ」の一文字で、それとわかる。おしゃれだ。

早速中に入ってみると、趣向を凝らした9つのサウナ室と4つの水風呂がサウナーをうならせる。なにせ「サウナ大使」タナカカツキ氏のこだわりがぎっしり詰まった、まさに”サウナファンが追い求めた、理想のサウナ”なのだ。

さて中を見て回ると、サウナ一つ一つはコンパクトな作りになっており、それぞれ特徴がある。

椅子の下から音楽が聞こえてくるSOUND SAUNAや、白樺やオークなどの枝葉を束ねたウィスクを使用して行われるトリートメント「ウィスキング」専用の日本初のサウナ室KELO SAUNAなど千差万別。到底一日で回り切れるものではない。日替わりで男女のスペースが入れ替えになるので、何回かに分けて楽しむのもありか。

 

写真)KELO SAUNA フィンランドから輸入したケロ材を使用したウィスキング専用サウナ。

ⒸJapan In-depth編集部

写真)SOUND SAUNA 音楽家とくさしけんごとWHITELIGHTが共同開発したサウンドシステムを搭載したサウナ室。

ⒸJapan In-depth編集部

 

写真)寝転ぶことができる水風呂

ⒸJapan In-depth編集部

写真)外気浴を楽しめるオープンスペースは意外と静か。水風呂もある。

ⒸJapan In-depth編集部

写真)水風呂は水深160センチもあるので、潜って熱くなった頭を冷やすことができる珍しい設計。

ⒸJapan In-depth編集部

写真)外気浴スペースは、30分に1度ミストに包まれる。

ⒸJapan In-depth編集部

都会の喧騒から断絶された「渋谷にいるのを忘れるような」自然体験が可能となる。

プロデュ―スした、タナカカツキ氏の思いも聞いた。

「サウナとは、着ているものやスマホも置いて、意識や思考から離れて裸で熱い・冷たいのみを楽しむ遊び。感覚が満たされる。自然体験であり、都市にこそ必要だ。健康寿命(を伸ばし)、よりよく働くことにサウナは必要。90年代のヨガブーム、今はもうブームとは言わないが、当時よりヨガ人口は増えて定番になった。サウナもそうなると思っている」

写真)3FのTUULI SAUNAで開催される「アウフグース」。デモンストレーションしてくれた「アウフギーサー(熱波師)」のスター諸星氏。本職芸人さんです。10分やるととても疲れるのだとか。女性の熱波師もいるそうです。

ⒸJapan In-depth編集部

写真)ととのった後に仕事がはかどるワーキングスペースと会議室も完備。ビーガンカレーなど罪悪感ないメニューも。

ⒸJapan In-depth編集部

 

一緒に取材に行った弊社のライター油井にも感想を聞こう。

(以下、油井)

私は、同年代の友人にサウナ―が急増している中、食わず嫌いでサウナを敬遠していたクチだ。正確に言えば今更何から始めればいいか分からずにいたところがあった。

多くの種類のサウナが楽しめる「渋谷SAUNAS」なら自分好みのサウナが見つかるのではと思い、早速友人を誘って数日以内には開設されるという予約フォームを待ち構えている。サウナ好きにはもちろん、未経験者の入口としても期待できそうだ。

(ここまで油井)

さて、このSAUNAS、実は期間限定の施設である。

再開発の検討が進む「ネクスト渋谷桜丘地区」で東急不動産が進めている企業支援・新規事業発足支援の取り組み、「NIB-Neutral Innovation Base」の一環である本企画。つまり、同地区にて再開発事業が着工するまでの期間の暫定施設の1つなのだ。

東急不動産は、かつてビットバレーと呼ばれた渋谷を再びIT企業の集積地とすることを目指す。数多くのスタートアップ・ベンチャー企業と協力し、金銭のやり取りではなくサービス対価での契約を通じてコンソーシアムを発足している。

「工事でご協力をいただいている住民の皆様の憩いの場にもしたい」という。

せっかく渋谷にサウナが出来たのに・・・と思ってしまうが、まだ桜丘地区の再開発組合が発足するまで5年から10年はかかるらしいからまあいいか。

とにもかくにも激しく変貌を遂げる渋谷。多くの若者とインバウンドが行きかうこの喧噪の地で、一人でも多くの人を癒してもらいたい。そう願って桜丘を後にした。さあ、明日もサウナだ!

トップ写真:「SAUNAS」の外観 2022年12月15日 東京都渋谷区

ⒸJapan In-depth編集部

【訂正】

以下、訂正しました。2022年12月16日22時22分

訂正前:

東急不動産の「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」の一環として始まった本企画。「ネクスト渋谷桜丘地区」にて、再開発事業が着工するまでの期間の暫定施設の1つとなのだ。

訂正後:

再開発の検討が進む「ネクスト渋谷桜丘地区」で東急不動産が進めている企業支援・新規事業発足支援の取り組み、「NIB-Neutral Innovation Baseの一環である本企画。つまり、同地区にて再開発事業が着工するまでの期間の暫定施設の1つなのだ。

(了)




copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."