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.経済  投稿日:2024/2/21

渋谷・桜丘に「ハイアットハウス 東京 渋谷」誕生 高級アパートメントホテルとは


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・国内2件目、ハイアットグループのアパートメントホテルが渋谷に開業。

・東急グループが推進する広域渋谷圏を遊び尽くす拠点として期待。

・インバウンド需要だけでなく、ワーケーションにも向いている。

 

ハイアットといえば、いわずとしれた高級ホテルブランド。正式にはハイアット ホテルズ アンド リゾーツといい、アメリカを本拠とする国際的なホテルチェーンだ。2023年9月末時点で、6大陸76カ国に1,300軒以上のホテルなどを展開している。

パークハイアット、アンダーズ、グランドハイアット、ハイアットセントリック、ハイアットリージェンシー、など、ハイアットプレイスなど、様々なブランドがある。

ただちょっと毛色が変わったブランドもある。それが、「ハイアットハウス」だ。何が違うかというと、他のブランドと違い、長期滞在に特化したホテルなのだ。アパートメントホテルというジャンルになる。客室にキッチンがあり、洗濯機などの家電製品が備わっている。

日本ではすでに「ハイアットハウス金沢」があるが、それにつづく2件目が渋谷に誕生した。「ハイアット ハウス 東京 渋谷」(全126室)だ。2月26日の開業を控え、19日にプレスに公開された。

▲図 Shibuya Sakura Stage周辺地図。「ハイアット ハウス 東京 渋谷」はSAKURAタワーに入居 出典:東急不動産

■ 東急不動産とハイアットの思惑が一致

ハイアット ハウス が渋谷に進出したのは、なんといってもハイアットが渋谷の持つポテンシャルに魅力を感じたからだろう。

渋谷は東急グループが再開発の真っ最中であり、その規模は100年に1度と称されるほど。筆者も日々使う巨大ターミナル渋谷駅は、週単位で動線が変わり、普段使っている筆者でもまごつくほどだ。「渋谷ダンジョン(迷宮)」は健在・・・どころか磨きがかかっている印象だ。

しかし、その猥雑さがまた渋谷の魅力のひとつともなっているのだろう。訪日外国人旅行客が必ず訪れるスクランブル交差点やハチ公など、渋谷には、他の町にはない磁力がある。

ところが、これほど外国人に人気があるのに、意外にも渋谷には高級長期滞在型ホテルはこれまで無かった。「広域渋谷圏」を標榜し、渋谷を核として、代官山や広尾、表参道、原宿、代々木公園まで、面で経済圏を拡げたい東急グループと、渋谷に新拠点を設けたいハイアットの思惑が一致した格好だ。

すでに代官山には、複合施設Forestgate Daikanyamaが2023年11月にオープンしており、表参道には商業施設、東急プラザ原宿「ハラカド」が今年4月17日にオープンする。さらに、代々木公園Park-PFI計画も来年2月に供用開始を予定している。

▲図 広域渋谷圏、東急不動産が手掛ける主な商業ビルなど 出典:東急不動産株式会社

「ハイアット ハウス 東京 渋谷」は、渋谷駅前の巨大再開発プロジェクトにおける主要施設の一つ、「SHIBUYA SAKURA STAGE」内に位置する。JR東日本の渋谷駅から徒歩わずか5分程度。雨に濡れず直接デッキを歩いて行くことが出来るアクセスの良さは抜群だ。キャリーバッグを持って階段を登ることなく、エスカレーターで移動できるのは助かる。

▲写真 Shibuya Sakura StageとJR東日本渋谷駅は仮デッキでつながる ⒸJapan In-depth編集部

渋谷は羽田、成田両空港とリムジンバスで結ばれているし、JR東日本の成田エクスプレス“N’EX”もある。表参道、原宿以外に六本木も近い。銀座、浅草へは東京メトロ銀座線で一本だ。新宿へも山手線ですぐ。東京を遊び尽くそうという訪日外国人旅行客にはもってこいのロケーションといえる。

東急不動産執行役員の友井俊介氏も、「渋谷は一泊で滞在するのはもったいないぐらいだ。渋谷の裏には代官山があり、そこから広尾へとつながる。ハイアットハウスを拠点に、わかりやすい渋谷だけではなく、より深い渋谷、そして広域渋谷圏をくまなく体感してもらう拠点として発信していきたい」と意気込みを話した。

▲写真 東急不動産執行役員の友井俊介氏 ⒸJapan In-depth編集部

■ アパートメントホテルで過ごす

「ハイアット ハウス 東京 渋谷」の詳細は別稿に譲るが、コロナ禍以降、トレンドになったワーケーションの流れに、アパートメントホテルはぴったりだと感じる。

▲写真 キングシティービュー(32㎡) ⒸJapan In-depth編集部

ネット環境さえあれば、PCと小さなキャリーバッグひとつで身軽にアパートメントホテルに行き、誰もいない部屋で仕事やオンラインミーティングをし、オフにはプールで泳いだり、自炊してみたり。もちろん友人を誘って外に食事に出かけてもいい。

▲写真 館内のプール、右奥手にジャクジーも ⒸJapan In-depth編集部

非日常と日常の境目をくっきりと分けないアパートメントホテルで過ごす時間は、従来のホテルライフとはひと味違った満足感を与えてくれるだろう。

これまであまり日本には無かった、「ラグジュアリーアパートメントホテル」というジャンルがこれから増える予感がしている。

(了)




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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