「地方議員600議席は達成可能」日本維新の会馬場伸幸代表
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・統一地方選前半戦、躍進はしたが、もろ手を挙げて喜べるような状況ではない。
・600人以上の地方議員の獲得目標、マジックは174人となり達成可能。
・統一地方選が終わったらすぐ次の衆院選の準備に入る。
4月9日に投票が行われた統一地方選前半戦は、維新の躍進が目立った。
大阪では大阪維新の会が、知事と市長のダブル選挙を制し、奈良県知事選挙では大阪以外で初めて維新公認の知事が誕生した。また、大阪府議会と市議会共に維新が過半数を制した。大阪では盤石だ。
一方、41の道府県議会議員選挙で維新は、選挙前59議席だったのが、倍以上の124議席に増えた。兵庫県も、選挙前の4議席を21議席に伸ばした。大阪をのぞく近畿1府4県で計50議席を獲得。
関西以外でも、神奈川県議会で6人が当選、福岡県議会議員選挙で日本維新の会新人、新開嵩将氏が最年少25歳で当選、川崎市議会議員選挙でも日本維新の会の那須野純花氏(25歳)が当選した。北海道や福岡県などの議会でも党として初めて議席を獲得、地盤としている関西以外に議席を獲得した。
日本維新の会の馬場伸幸代表に話を聞いた。
■統一地方選前半戦の評価
安倍:統一地方選前半戦、躍進したが?
馬場:内容を分析すると決してもろ手を挙げて喜べるような状況ではない。大阪でこの13年間やってきた実績を評価していただいていることはありがたい。奈良の県知事選挙も大阪以外で初の公認候補を当選させていただいたが、そもそもが自民党のオンゴールみたいなところがあり、その流れの中でうちが勝たせていただいた。1対1で出たらどうなのか。野村監督ではないが、「勝ちに不思議の勝ちあり」という感じだ。
安倍:都道府県議会議員や政令市の市会議員にも当選者が出た。
馬場:今までゼロだったところに議員が誕生したのは喜ばしいことだがひと桁だ。まだまだその地域で維新スピリッツを広げられるだけの勢力が確保できたかというとそうではない。今回は種を撒いたぐらいだ。この種を土の中で腐らせないようにしないといけない。きちっと水や養分を与えて芽を出して花を開かせるという段階にこれから移っていく。
安倍:まずは橋頭堡を築いたということだと思うが、全国に議員がいるとなると、目くばせが大変になる。やはり地方はほとんどの議会が自民党に支配されている。
馬場:議会で1人で維新の会派といってもね。
安倍:結局一人では何も出来ないし、そうするといずれ自民党の会派に取り込まれていったりするのはよくあること。
馬場:だから、統一地方選挙が完全に終われば1回大阪に全員を集めて研修会をする予定だ。
写真)日本維新の会 馬場伸幸代表
ⓒJapan In-depth
■後半戦への意気込み
安倍:掲げている600議席獲得は達成できそうか?
馬場:そうですね。前半戦で都道府県議会議員が124人、政令市会議員が136人当選させていただいて、知事、市長は大阪と奈良で3人。後半戦は、一般市の市長さんとか市会議員、町会議員、350人ぐらいがチャレンジをする。非改選が173人いるから、全部足すとマジックナンバーは164人になる。(編集部注:600-173-124-136-3=164)
安倍:350人のうち164人だから、勝率5割で行けるから十分達成可能だと。もし達成できなかったら代表を辞めるのか?
馬場:やめます。それぐらいの目標を達成できないと。中期経営計画でやっている。この第2ステップをクリアできないのに、次の衆議院選挙で野党第1党の議席を預かるのは無理なので。
安倍:現状維持ラインを目標にする政党もありますが。
馬場:そのぐらいの目標を掲げないと、我々のようなベンチャー政党の値打ちがないだろう。前半戦も数字でいうとそこそこの結果が出ているので、この調子で気を抜かないで、一致団結してやろうと話したところだ。
安倍:解散があるかもしれない。
馬場:統一選挙が終わったらすぐに衆議院選挙に向けた準備を始める指示を藤田幹事長にしている。だから289ある衆議院の小選挙区全区に候補者を立てることを目標に作業をやっていかないといけない。国民から見て、野党の中には政権取る気あるのかと思うような目標を立てているところもあるが。やはり政党は政権を取るための器だから。
安倍:大阪では公明との関係が微妙になる。
馬場:今までは、大阪都構想の住民投票をするための議会対策で協力していたわけだが、大阪都構想を凍結した今、お願いすることは別にない。
ただ、吉村府知事とか横山市長は首長として議会対策がある。大阪府議会も大阪市議会も過半数の議席をお預かりしたわけだから、民主主義のルールに基づいて多数決でやったら何でも通るが、彼らがどういう議会対策をしていくつもりなのか、近日中に聞かせてもらおうと思っている。
安倍:全小選挙区に候補者を立てると。
馬場:国政になってくると、ある程度選挙に出るための要素みたいなものはある。標準線を突破してくれないといけない。「人もいません、お金もありません、やる気だけはあります」では、国政選挙は無理だ。そこは適材適所で、適任者がいれば躊躇なく出していくという方針は固まっている。
安倍:空白区はまだかなりあるのか?
馬場:今現職40人、支部長が30人前後なんでまだ70人ぐらいしかいない。必ずしも全部に候補者を立てるかどうかは分からない。適任者がいれば立てるが、市会議員も通らないような人を立ててそれがいいか悪いか、考えていかなくてはいけない。
安倍:後半戦が注目だ。
馬場:そうだ。どこまで数字が伸びるかだ。
(インタビューは2023年4月12日に行われた)
トップ写真:日本維新の会 馬場伸幸代表ⓒJapan In-depth
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。