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.政治  投稿日:2023/9/2

「政権獲得、衆院選3回の内に」日本維新の会幹事長 藤田文武衆議院議員


  

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

編集長が聞く!」

【まとめ】

・次期衆院選の候補者選定は順調に進み、現時点で140人ほど擁立。

・次の総選挙で野党第1党になる可能性は五分五分。

・政権獲得、衆院選3回の内に勝負をする。

 

最近の世論調査でも自民党の次の支持率を取る用になってきた日本維新の会。先の統一地方選で600議席の目標を楽々クリアした。幹事長で選対本部長でもある藤田文武衆議院議員に話を聞いた。

安倍: 次期衆院選、候補者選定は進んでいるか?

藤田氏: 一応289選挙区全選挙区に立てることを目標に置いている。できれば民主党を超える数を年内に擁立したい。今直近でも140名ぐらいまでは目処がついているのでもうあと一歩というところだ。

安倍: 公募の応募状況は?

藤田: 非常に良い。我々のようなチャレンジャーの政党に手を挙げてもらえるということはかなりリスクテイクしてもらえるということ。多くの素晴らしい方に申し込みいただいている。これまでとかなり違う。やはり風が吹いていると感じる。

安倍: 春の統一地方選の結果、かなり知名度が上がってきた。その辺の手応えは感じているか?

藤田: これまでは大阪だけの政党と言われてきたが関西一連、そして関東や東北仙台市議選(7月30日投開票)で、候補者5人が全員当選するなど、今まで足がかりがなかった地域でも認知してもらえている。やはり既存政党はダメだから、既存政党にできない政治に改めてほしいという意見と、またそういうところに参画したいという候補者の皆さんの期待について感じるものがある。

安倍: 春の統一地方選、目標600に対し720まで行った。

藤田: 一番最初に600名を掲げた時は、どの方もそれは厳しいと言った。でも、各都道府県連に候補者発掘をやってもらった。維新政治塾もそうだし、それから候補者エントリー説明会をやった。相当数の方が維新に興味を持っている、または維新で勝負したいという方がいたので、私自身相当自信はあった。700を超えてくるだろうということは直前に予想できていた。でもそこに至るまでは相当大変だったというのが実際のところ。県内とか毎週一人二人通ってきているので、もうすぐ800いく。

安倍: 公明党が立っているところに維新は候補者を立てるとしている。

藤田: 兵庫8区(尼崎市)に、参院議員の清水貴之氏を公認した。これで北海道を除いて全部立った。大阪は8月31日に5区と6区で予備選をやる。(編集部注:5区は梅村聡参院議員、6区は西田薫・大阪府議に決定)北海道除く10選挙区は今月中に決まる。

今までの方がイレギュラーというか、政権の一角を担う公明党さんと野党である我々が国政選挙で選挙区を調整したり気を使い合うことは本来不健全なこと。大阪都構想という我々の一丁目一番地に協力してもらうという例外的な交渉の中での経緯だから、それについては通常に戻るという説明をしている。

安倍: 立憲民主党と共産党の関係をどう見ているか?

藤田: 共産党さんは立憲民主党さんとおそらく組みたいと思っているし、立憲民主党の一部の人たちは共産党と近い政策の方もいるので、やるのならやったらいいと思う。やるなら我々のように公明党さんと一番重要な政策において協力をまとめ、それをやってくれるんだったら選挙に協力する、というならわかりやすい。そういう形であればいいと思うが、実際に水面下では様々な都道府県で立憲さんと共産党さんは調整が進んでいるから、(それなら)はっきり調整すると言ってやったらいい。

安倍: 次の衆院選、野党第一党になる勝算は?

藤田: 私は五分五分だと思う。立憲民主党さんは我々よりも倍以上の議席を持っているし、我々にはない支持母体の連合さんをはじめ組織選挙ができるから、やはり非常に強いという認識はある。今我々はどの世論調査でも他の野党より少し上になってきているが、これはあくまでうつろいやすいもの。選挙になったらかなり厳しい戦いが各所で行われる、というのが事実だと思う。

安倍: 維新の経済対策のポイントは?

藤田: 短期的なものと中長期的なものがある。自民党と我々の違いというのは、今までの日本の経済運営とか社会構造をそのまま是とするか、今までよくなかったんじゃないか、もう少し改革して構造を変えていかないといけないんじゃないか、という問題認識の違いが一番の自民党との違いだと思う。

硬直化して、どんどん世界から取り残されていくことを良しとしない、生活実感が上がらないことに対して何とかしてほしいんだと、それをできなかったとしてもこうあるべきだというビジョンを示すことは、政治の仕事だと思う。そういう国民の思いを示せない自民党、これが現実だ。

ローカルではあるが、大阪ではあらゆる経済指標が悪くて財政も悪かったところをこの10年くらい立て直して、かくあるべきというビジョンを示して、最近で言うと教育の無償化が日本で一番進んでいる都市になっている。そういうことを打ち出すことが中長期的にまず必要で、だから日々の経済の悪さとか、問題が起こったことに振り回され続けるというのがまず一つ問題なんだろう、というのが一つ。

もう一つは、短期的なところでいうと、国民の負担を下げることにもっとコミットした方がいい。今まで惰性で続いてきた、ばら撒いて広く国民の皆さんに負担を求めていく、その繰り返しではないか。だから、様々な補助金や様々な優遇措置みたいなものを時限的と言いながらずっと続け、そして財政負担はどんどん増え続けて、予算は毎年最大を更新している。結果どうなるかというと、社会保険料を上げる、増税する、という議論ばかりが続いている。これは今の政権運営の本質だと思う。それを改めましょう、というところが私たちとの一番の違いかな、と思う。

安倍: ガソリンの補助金などはまさにそうした例だ。

藤田: そうだ。当分の間、税率、トリガー条項、本来そういうものを改めるべきなのに、ずっとなし崩し的に続いていくのはあまり良くない。そういうものの積み重ねで今の政権というのはガラス細工で成り立っていて、いわゆる既得権の利害調整ばかりが上手くて、一般国民のニーズに合っていないというのが総論としての自民党政権の評価だ。

■ 安全保障

安倍: 岸田政権は防衛費倍増を決めましたが、安全保障についてはどう考えていますか?

藤田: 防衛力を強化することについては賛成の立場だ。防衛費が(GDPの)2%というのをターゲットに必要な軸を積み上げていくということについても世界の標準や実力を見たときに必然性はあると思う。ただ増税ありきで進んだ議論は間違っている。もっと歳出改革をしっかりすべきだ、というのが総論としてある。

安全保障や外交の面の問題認識は自民党と非常に近い。ロシア・ウクライナ危機で戦後の安全保障体制の常識が大きく覆っているし、台湾有事、北朝鮮の暴走の可能性は本当に待ったなしの状況になっているのは間違いない。だから、自民党の外交や安全保障の方向性については私は評価すべきだし、自民党の運営については安定感があっていいところはあると認めるべきだ。

じゃあ、何が違うかというと、さっきの負担の部分と、もう一つは我々の方が本音で国民の皆さんに説明すべきを説明するという姿勢だと思う。批判が出るような問題提起、本来すべき問題提起を言わずに誤魔化すという、外交安全保障だけじゃなく、自民党さんの政権運営のあり方がある。もう少し本音で合理的にビジョンを示す問題提起の仕方を国民の皆さんにやった方がいい。

■ 憲法改正

安倍: 憲法審査会の議論は今後どうなるのか?

藤田: 最後は政権及び自民党がどれだけ腹をくくって前に進めるかということに尽きると思う。2017年の選挙で我々はかなり惨敗して、衆議院議員が11名だった時代が約4年間、その間ほとんど憲法審査会は開くことすらしなかった。ずっと開こうと言ってきたのが馬場代表だった。

我々が(議席が)41になった瞬間に、自民党の本音としては維新がこれだけうるさく言っているから、と言って我々のせいにして開催し始めたわけだ(笑)。今は、議論を表でやりましょう、とずっと訴えてきて、そのステージには上がれたのは本当に良かった。だから、緊急事態条項も憲法9条も表の議論でネット中継されるから、国民の皆さんも知ることができるというステージに来たのは良いことだ。馬場代表がずっと申し上げているのは、憲法改正をやるんだったらどの項目でやるかという議論を詰めるということと、どういうスケジュールにやるかということを決めないと、ということだ。

岸田さんは自分の総裁任期中にやると言ったわけで、ということはもうあと1年を切っている。じゃあ、どの項目で議論を優先的に進めていくかということを政治日程にのせていかないと。我々はいくつかの案を出していて、一つは緊急事態条項で国民民主党さんと有志の会と、初めて他党と2党1会派で原案を他党とすり合わせて原案を提示させていただいたし、それをもとに国民投票するのももちろんいい、と我々はずっと言っている。

また例えば教育の無償化。教育関係のことは自民党の原案にも入っているから、項目、領域という意味でそれもいいし、私の中でも政治家としての矜持として憲法改正というのは9条の問題としてずっと戦後語られてきたから、真正面から逃げない議論を深めていくことはやるべきだと思っている。先送りする必要はないと思っているので、どの項目でどのスケジュールでやるかということを、政治的な意思決定を自民党ができるかどうかだけで進むか進まないかが決まると私たちは思っている。我々は進めるべきだと言っている。

 大阪万博

安倍: 大阪万博、日程が遅れているが、予定通り行われるのか?

藤田: これはもう政党の域を超えている問題なので、維新の会がどうこうして進む話ではないと思うが、それは大阪の行政府である大阪の自治体、吉村さんを筆頭した行政運営もしっかり努力しないといけないし、万博協会、それから官邸が頑張っていただかないといけない問題だから、実際にそれはそれで非常に前向きにやっていくという指針を示しているので、国家事業として成功するようにスケジュールを後倒しするかしないかという話題も出ているが、決められたスケジュールでできるように最大限資源を投入するということでしかない。

安倍: 東京はすごく関心が薄い。もうちょっとPRしてもいいのかなと思う。

藤田: 万博を起点にいろいろ経済運営をするという経済成長のための仕掛けをしていくのは、維新の政策としても言っていくべきだし、非常に大切なことだ。前から万博を誘致しようと我々、政治的アジェンダとしてやってきた。決定したら、政党だけの力ではなく、行政府や国の責任分担があるから、スケジュールに関しては政治化しない方がいい。もう決まったことに対して一丸となって各関係者、一致団結して成功に導くことに注力すべきだ。

安倍: パビリオンの建設の遅れという問題もある。

藤田: 建築関係の労働基準の方をちょっと緩和してというのも、現場で賛成の人もいるし、反対の人もいるしという状態で、これは意思決定の問題かなとも思うし、いずれにしても総力を上げて様々な知恵を使って最後は間に合わせるということだと思う。大体大きなイベントって最後はスケジュール、けつかっちんでやりますから。

■ 維新への風当たり

安倍: 最近、維新の地方議員の不祥事もいろいろありますし、馬場代表がABEMAでの発言が取り沙汰されたり、風当たりが強いが?

藤田: 政党として大きくなる過程の中で期待を集めている、イコール注目度が高まっているということで、様々な批判にさらされることは、政党が成長していく上では必要なことだと思う。我々は全て正しいと思わないし、お騒がせしたトラブルの中には悪いものももちろんあるので、そういうものについて政党のガバナンスとして適切に対処していく。ダメなものはしっかりと処分し、名誉毀損や事実無根のものについてはちゃんと反論し、説明をするという、当たり前のことを積み重ねていって、信頼を勝ち得ることでしかないのかな、と思っていて、その総責任者が私。トラブルシューティング、ダメージコントロールが仕事だから、一つ一つちゃんと向き合ってやっていくことでしかない。

特に地方議員は、400人が800人に、1年半くらいで倍になったわけで、その中にはいろいろ問題を抱えていて、我々がそこまで気づけていなかった方々もいたことについては、真摯に受け止めないといけない。我々ができるのは対応の部分と、育成をちゃんとやっていくべきだというのがある。今かなり研修に力を入れ始めている。議員に対する研修勉強会、相談できる体制などを指導を通じて構築していく。こういうことは時間もかかるし、すぐに結果は出ないが、政党がもう一皮向けていくために一番大事なことだと思っている。。

安倍: 東大阪市長が維新の会公認で次の市長選に出る問題については?(編集部注:9月17日告示、24日投開票の大阪府東大阪市長選で、現職の野田義和氏は大阪維新の会の公認候補として5選を目指して立候補することを明らかにしている。野田氏は、自民の東大阪市議を5期務め、2007年の市長選で無所属候補として初当選。前回を除く過去3回の市長選で自民、公明の推薦を受けてきた)。

藤田: 私はそれも政治で、次、(野田氏は)5期目で最後ぐらいになると思うので、その集大成を我々の政策を丸呑みしてやる、というのなら、それは受けるといいんじゃないかなと。本当は生え抜きとか出した方が市民の皆さんには分かりやすいかもしれないが、我々が一番大事にしているのは、政策実現とか改革の事例を一つでも積み上げていくことで、(それが)各市町村の至上命題でもある。公認で出ますから政策を丸呑みするわけで、推薦だったら政策協定で言い訳できるが、公認だったらそれは許されないから、そこまで腹をくくってもらえるのだったらいいと思う。

▲写真 藤田文武衆議院議員 ⒸJapan In-depth編集部

■ 次期衆院選

安倍: 関西では公明党とガチンコになる。

藤田: どれだけ底力を出してくるかだが、我々は王道で正面から行くしかない。大阪の4つの選挙区(3区、5区、6区、16区)と、兵庫の2つ(2区と8区)と合わせて6選挙区を揃って取れるように全勢力をかけてやるしかないと思っている。この6選挙区は注目選挙区になる。プラス東京、埼玉もいい勝負になると思う。

安倍: 衆院選挙目標獲得議席数は?

藤田: 戦略的に意図的に数を明示していない。野党第1党になると、つまり1議席でも立憲民主党さんを超えることだけを明示している。

安倍: 連合の集票力も落ちている。

藤田: 私も選挙一番最初に出てから5年くらいだが、この5年間くらいの動静を見てても、大阪の組合さんにいわゆる集票力がないというか、多分モチベーションもないと思う。立憲民主党さん、国民民主党さんに集票力はほとんどない。

ただ、全国的に見てなんで我々が(立憲民主党と)五分五分の戦いになるんじゃないかと言っているかというと、我々が小選挙区で勝つ可能性が十分ある選挙区はかなり少ないからだ。どの選挙区も非常に厳しい。現職の方を含めて立憲民主党さんには個人として相当選挙区で強い人がいるのでかなり難しい戦いになるという覚悟だ。

前回の参議院選挙では立憲民主党さんよりも100万票くらいうちの方が比例票が多かったので、おそらく衆議院選挙もそれをさらに大幅に上回るのはある程度見えてきていると思うが、小選挙区でどれくらいいい勝負できるかはちょっと別の要素もある。我々よりも小選挙区に強い候補者が多い立憲民主党は我々にとっては高いハードルだ。

安倍: 解散総選挙の時期はどう見ているか?

藤田: 選対本部長としての公式コメントとしては、最短のスケジュールで準備をするのが鉄則だから、この10月にあってももう準備はできている状態にはなっている。

ただ政治状況を見ると、ここから岸田政権も不安定な形で、良い情報がない。今から(国民に)負担増の話もしないといけないし、インボイス制度も批判を受けるし、スキャンダルも結構出てきている。そういう中で政権運営をどうしていくのか不安が結構あると思う。来年の総裁選と絡んでどのタイミングで(解散を)やるのかは、僕らには分からないが、私は来年の会期末じゃないか、と勝手に思っている。

総裁選が意外に無風でそのままいけるというなら解散せずに長期政権になる。ただ総裁の任期が終わった時に、憲法改正というビッグアジェンダに取り組んでいく力はないと思う。総理は自分の総裁任期中にやると言ったんだから、結局やろうとしてやれなかった、やろうともしなかった、ということになる。スケジュールも決めないわけだから。それは徹底的に批判しようと思う。やると言ったんだからやってください、と。我々は賛同している立場ですから。

安倍: 維新が野党第一党になり、自公が過半数取れなかったとき、連立を組もうといってきたらどうする?

藤田: それは可能性としてはあると思いますし、最近よくそういうお話を聞かれるんで、政権連立の可能性があるように聞こえてしまっているが(笑)、でも僕はいつも話しているのは、自公の過半数割れが次回はあったとしたら、相当議席数を減らすことになるんで、それをもちろん目指して頑張りますが、議席によって我々の実現したい政策っていうものを交渉できる材料になる。政策ベースで我々の主張を通すための様々な取引について、政治的にオプションを狭める必要はない、というのが私たちの今の戦略。

連立に入るということは大政党に飲み込まれるということなので、連立を組むのは良くないと思う。

安倍: 閣外協力っていう形ならどうか?

藤田: それはあり得ない話じゃない。我々は元々是々非々なので分かりやすいというか、いやらしい攻め方をせずに、本当に必要だろうということを一つ一つ、法案ベースで握り合っていくことはあり得ると思う。

▲写真 藤田文武衆議院議員 ⒸJapan In-depth編集部

■ 維新はベンチャー企業

藤田: 私は一つ心がけていることがあって、やっぱり日本新党の時もそうだし、希望の党の時もそうだし、この30年というのは組み合わせで、どうしたら議席が最大化するかという組み合わせの議論をやってきたことが政治をダメにしたと思っている。立憲さんと共産党さんは今も組み合わせの議論をやっている。30年振り返って、結果政権を担える実力がある政党というのは自民党しかなくなっちゃった。自民党しか残らなかったと言ってもいいのかもしれない。

我々に今そんな実力があるかというとまだない。だから、政党を強くすることにコミットした方がいいと思う。今取り組んでいるのは、例えば党職員の改革、各都道府県支部のガバナンスを自民党とは違うあり方でしっかりとやっていく。政調の機能もそうだし、議員の教育もそうだ。風土で言うと、伸びていくベンチャー企業のようなガバナンスを持った政党をちゃんと作る。自民党は大企業病に陥った古い体質なわけだが、それと対比できる政党が育って、それが仮に5年10年かかったとしても、10年後に本当の意味で選択肢が2つできて、古い組織と新しい組織で新しい組織の方も政権担えるかも、という実力になったら僕は日本は全然変わると思う。

自民党の若手と結構交流しているが、彼らはみな優秀で、僕らが言ってるような大きな方針転換をすべきだという改革思考を持っている。ただ彼らはそれができない。なぜなら大企業の社員だから。利害調整能力とかばかり上手くなっていく。はたと30年振り返った時に、日本の経済は、世界から取り残されて給料も上がらなかったと途方にくれるんじゃないか。それって彼らの政策思想の話じゃなくて政治構造の話だと思う。

だから自民党という大企業に対してもう一つ選択肢がある強い政党を作らないと(いけない)。それは組み合わせではできない。それを育てようというのが今の私たちのステージだ。それは一朝一夕にはいかない。もちろん政権を獲得しようという意志を持って、今から次も合わせて3回ぐらいの衆議院選挙のうちに勝負をする。その間に政党組織を強くするんだということを今打ち出してやらせてもらっている。そのコンセプトが、政党を経営するというものだ。

安倍: もう一度2大政党制を目指そうよ、ということか。

藤田: おっしゃる通りで、維新の会は、政党として自民党に伍して戦えることを目指すと言っているが、今は大阪の政党、どちらかというとヤンキー気質な勢いでいっている政党みたいな印象を関西圏以外の人には持たれてきたんじゃないかなと。維新の会というのが、政党としてペンチャースピリッツがある、王道を歩む政党なんだということを認知してもらうのが第一で、それを積み重ねていくことが大事だと思う。

その一環で外交で言うと国際局にちゃんと予算をつけて外交をスタートさせた。今回、青柳仁士国際局長と柳ヶ瀬裕文総務会長と馬場代表で訪米し、台湾にも行って蔡英文総統にも会った。そういうことを積み重ねていくことと、最近は各国大使の皆さんとしっかり情報交換もしている。向こうも注目してくれている。そういうことを通じて、維新の会はちゃんとした政党なんだと王道を歩み、自民党と伍して戦えるものにこの5年から10年でなるんじゃないかということを国民の皆さんに知ってもらいたいと思うし、それを積み重ねる努力をやるステージだと思う。

■ 取材を終えて

藤田氏とは初めて会ったが、どの質問にも直球で返答が返ってきた。馬場代表の主張とも矛盾なく、維新スピリッツは少なくとも党幹部の間では共有されていることがわかった。また、政権獲得に向けての強い意志も明白になった。「ぽっと出の野党なんてすぐ失速する」などと高をくくった意見も永田町では耳にするが、与党も他の野党ももう少し危機感を持った方がいいだろう。

一方、維新の会の相次ぐ若手地方議員不祥事などを見ると、急増した議員の教育が追いついていないのも事実。藤田氏も認めているとおり、教育に時間がかかるのは仕方ないが、次期衆院選に向け、悠長なことも言っていられない。強固な組織がないだけに、関西以外では浮動票(=自民党批判票)頼みとなる。他の野党も必死だ。足をすくわれないように、綱紀粛正に努めることと、与党や他の野党との政策の違いを国民に浸透させる努力が必要だろう。

(インタビューは2023年8月29日に実施)

(了)

トップ写真:日本維新の会藤田文武幹事長 ⒸJapan In-depth編集部




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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