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.経済  投稿日:2023/5/31

東急グループ「広域渋谷圏」を加速


Japan In-depth編集部(藤澤奏太)

【まとめ】

・東急グループが渋谷駅から半径2.5kmを広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)として再開発中。

・新たな文化発信拠点”の名称は東急プラザ原宿「ハラカド」。

・今後、キーワードとなっていくのは多様性だろう。

 

5月30日、東急株式会社および東急不動産株式会社で進める渋谷まちづくり戦略“Greater SHIBUYA”の記者発表会が行われ、100年に一度の渋谷再開発プロジェクトの詳細が発表され、多くのメディアが詰めかけた。

写真)”Greater SHIBUYA”最新情報発表会 ⓒJapan In-depth編集部

東急グループは、昨年開業10周年を迎えた渋谷ヒカリエをはじめ、渋谷スクランブルスクエアや渋谷フクラスなど渋谷の再開発を手がけており、約85万平方メートルもの土地でTOD(Transit Oriented Development)を推進してきた。TODとは車に頼らず公共交通機関の利用を前提に組み立てられた都市開発のことをいう。

■ Greater SHIBUYAとは

東急不動産株式会社は、東急株式会社とともに、渋谷駅から半径2.5kmを広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)と定義しており、渋谷のまちづくり戦略である“Greater SHIBUYA 2.0”を策定し、「働く」「遊ぶ」「暮らす」が融合した持続性あるまちづくりを目指している。

若者の街渋谷を点ではなく面としてとらえ、その魅力を高める戦略だ。

そのために、「多様な人や企業との共創や、交流の仕組み・場づくりを通じて、「創造」「発信」「集積」を循環させ、共感する人や企業とパートナーシップやアライアンスを構築」していくという。

今回、広域渋谷圏における新たな取り組みを行う「人」とはじめる、

「PROJECT LIFE LAND SHIBUYA(PLLS)」を立ち上げると発表された。

出典)東急不動産株式会社

会見に臨んだ東急株式会社 渋谷開発事業部 事業部長 酒井洋一郎氏は「東急グループにとって、渋谷は創業以来の最重要拠点であり、私たちのまちづくりを象徴するまち」「渋谷を訪れる人にとって居心地の良いまちへ成長させる」と述べた。

写真)東急株式会社 渋谷開発事業部 事業部長 酒井洋一郎氏 ⓒJapan In-depth編集部

    広域渋谷圏4つのプロジェクト

Greater SHIBUYAでは、渋谷駅を中心とした半径2.5kmを指し、現在①渋谷桜丘②原宿・神宮前③代官山④代々木公園という4つのエリアでプロジェクトが進行している。

価値創造力、発信力、多様性という魅力あふれるまちづくりをテーマに2024年までの竣工・開業を全てのエリアにおいて目指し、東急不動産株式会社 都市事業ユニット 渋谷開発本部 執行役員 本部長 黒川泰宏氏は「広域渋谷圏において、まちが持つ魅力を時代とともに成長させ、後世に継承していくために物件アイデア間の連携を推進していきたい」としている。

写真)東急不動産株式会社 都市事業ユニット 渋谷開発本部 執行役員 本部長 黒川泰宏氏 ⓒJapan In-depth編集部

今回、様々な情報が公開されたわけだが、目玉は、原宿・神宮前エリアに位置し、原宿駅と表参道駅から近い神宮前交差点の一角で”新たな文化発信拠点”として開発が進められていた施設の名称が東急プラザ原宿「ハラカド」に決まったことだろう。

 

写真)東急プラザ原宿「ハラカド」完成イメージ 出典)東急不動産株式会社

それに伴って、交差点の反対側に位置する東急プラザ表参道原宿が東急プラザ表参道「オモカド」に改称されることが発表された。

これらの施設名には「かど」と「かど」が合わさることで人と人の出会いの交差点となり、新しい文化を創造、発信していくという思いが込められている。

「ハラカド」はクリエイターが集い、新しい文化が生まれる場を目指しており、各分野の第一線で活躍するクリエイターがプロデュースするエリアを設ける。

2024年の春に開業予定で現在も建設が進められている。

代官山エリアではフォレストゲート代官山を今年の10月に開業予定で、建築家の隈研吾氏がデザイン設計したMain棟と木造2階建てのTENOHA棟から成る。

本建物の特徴としてTENOHA棟にサステナブル活動の一環として環境負荷を最小限に抑えるサーキュラエコノミーの実現を目指し、CIRTYと呼ばれるプラットフォームを設けた。

具体的な事業として、飲食店から発生する食品廃棄物を使用してバイオマス発電、得られた電力を建物で使用することや食品廃棄物をたい肥化して育った農作物をレストランで提供する事が挙げられる。

代々木公園エリアでは代々木公園Park-PFI計画が進められていて「都市と公園をつなぐ」をテーマに代々木公園と渋谷や原宿を繋ぎ、回遊性を高める拠点を目標としている。

 

写真)代々木公園Park-PFI計画完成イメージ 出典)東急不動産株式会社          

 

キーワードにはスポーツとウェルビーイングを挙げ、東京オリンピックで話題となったスケートボードが利用可能なアーバンスポーツパークや緑に囲まれた中で多様な食を楽しむことが出来るフードホールが整備される。

渋谷桜丘エリアにはShibuya SakuraStageが開業予定だ。

写真)Shibuya SakuraStage完成イメージ 出典)東急不動産株式会社

(詳しい内容は、こちらの記事を参照)

また東急株式会社が進める「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」として建設が進められている建物の名称がSHIBUYA AXSH(渋谷アクシュ)に決定したことが発表された。

写真)渋谷アクシュ完成イメージ 出典)東急不動産株式会社

AXSHという言葉には、青山(AOYAMA)と渋谷(SHIBUYA)の街をつなぐ(X)施設、人と人や企業と企業をつなぐ・握手という2つの意味が込められている。

同建物は渋谷ヒカリエに隣接していて、雨天時も濡れることなく移動できるルートを作る予定だ。

写真)渋谷AXSH完成イメージ一部 ⓒJapan In-depth編集部

これによって建物間の移動をスムーズにし、渋谷駅東側の更なる発展を目指す狙いがある。

1階から4階までは商業施設として、5階から23階まではオフィスビルとしての利用が決まっており、既に9割以上のテナントが決定している。

大きな特徴として建物の中にも自然環境の要素を取り込み、一体的に緑をつなぐという「connegting FORESRT」をコンセプトとしていて、エントランス内に観葉植物を多数設置する予定だ。

またコロナウイルスの感染拡大に伴って話題となった「ウェルネス」に注目し、建物内に人間ドックや健康診断を行える総合検診センターやフィットネススタジオを開発する。

東急株式会社 渋谷開発事業部 田邊 秀治氏は「駅東側エリア全体の連続した賑わいを実現する」と語った。

写真)東急株式会社 渋谷開発事業部 田邊 秀治氏 ⓒJapan In-depth編集部

 

 

 

 

 

 

写真)工事期間中においても渋谷×アートとして仮囲いアートを設置 ⓒJapan In-depth編集部

■「ハラカド」の現状と詳しい施設内容

神宮交差点に面する本施設は、様々な分野のクリエイターによるプロデュースエリアが組み込まれている。

例えば、地下1階には高円寺で人気の「小杉湯」とコラボし、銭湯がオープンする予定だ。

「ハラカド」は都心型商業施設が危機的状況に陥っていたコロナ禍の最中に計画が進行したこともあり、日常的に通いたくなる機能を施設に持たせたという。

写真)現在の地下1階の様子 出典)東急不動産株式会社

写真)小杉湯完成イメージⓒJapan In-depth編集部

他にも3階にはクリエイターが集うラウンジ、5階にはファミリーレストランをクリエイターとともに建設する予定で、どなたでも利用可能な屋上も併設する。

写真)「ハラカド」屋上からみた「オモカド」 出典)東急不動産株式会社

また特徴的な外観は、デザイン性だけではなく、熱負荷低減など環境にも配慮したデザインとなっている。

写真)東急プラザ「オモカド」からみた建設中の「ハラカド」ⓒJapan In-depth編集部

 

■ 今後の展望

渋谷を広域でとらえ、新たな経済圏を作ろうという試みは興味深い。コロナ禍もあり働き方やライフスタイル、価値観が大きく変わる中で、さまざまな社会のニーズにこたえつつ、環境も含め社会課題の解決に取り組もうという意欲を感じる。

その中で今後、キーワードとなっていくのは多様性だろう。訪日外国人旅行客を含め、若者に人気の町、というイメージの渋谷が、面展開することで、多様性をキーワードにどうその魅力を高めていくのか。

これまでにない解を求めるために、トライアンドエラーが欠かせない。100年に一度といわれる渋谷の再開発事業。その姿を引き続き報告する。

トップ写真:ファッションやカルチャーにおいてトレンドを牽引し、若者の街と知られる原宿・神宮前エリアに新たな風がふく。ⓒJapan In-depth編集部




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