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.社会  投稿日:2023/9/19

今、札幌が熱い!


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・札幌がタワーマンションブーム。

・購入者約40%が道外、その約60%が都民。道外購入者約40%の目的がセカンドハウス。

・新幹線の札幌延伸、コロナ後のインバウンド需要などで商業施設もリニューアル。

 

「今、札幌が熱い!」

8月末に札幌に行った。涼しいと思いきや、何と気温34度!この夏最高の気温とかでびっくりした。北海道だから紫外線は強くないはずなのに、たまたまその日が快晴だったせいか、市内を歩いているとじりじり肌が焼けている気がする。

さて、何をしに札幌まで行ったかというと、札幌がタワーマンション(タワマン)ブームだと聞いたからだ。

タワマンに決まった定義はないが、一般的に20階以上の超高層マンションを指す。

東京では臨海地区などタワマンが乱立している景色は珍しくないが、札幌でそのタワマンが続々建設されていると興味を持ったのである。

結論を言おう。本当だった。

東京のよう、とまでは言わないが、確かにタワマンが目につく。

 

■ 上昇する路線価とタワマン需要

7月に発表された2023年の道内路線価は2年続けて上昇率全国一となった。道内の路線価をけん引しているのは札幌圏。道内の最高路線価(30税務署別)では、上昇した6署のうち5署が札幌だ。

背景にあるのは、なんといっても2030年の北海道新幹線の札幌延伸や、コロナ禍が沈静化して景気が回復基調にあること。さらに、次世代半導体の開発・生産を目指す「ラピダス」の千歳進出などの好材料だ。ラピダスは千歳市に工場を建設、5兆円規模の投資と1千人以上の雇用が見込まれるという。

こうした背景から、札幌中心部の再開発で不動産需要が好調だ。特に、便利なロケーションのタワマン人気が高まっている。

例えば、新札幌駅前で大和ハウス工業が手がけた地上30階建て全220戸の分譲タワーマンション「プレミストタワー新さっぽろ」。JR千歳線「新札幌」駅から徒歩4分、地下鉄東西線「新さっぽろ」駅から徒歩4分、と交通至便。北海道初となるJR・地下鉄の両駅に直結するという交通利便性が評価され、5月の完成前に完売した。

写真:ブレミストタワー新さっぽろ

出典:大和ハウス

今回、分譲中のタワマンのモデルルームを見る機会があった。東急不動産「ブランズタワー札幌大通公園」がそれだ。29階建て全179戸。徒歩3分、最寄りの地下鉄東西線「西11丁目」駅から地下鉄3路線が集まる「大通」駅へ乗車2分。「さっぽろ」駅へ7分、「すすきの」駅へ6分と交通至便だ。少し歩いて、アーケードを歩き、地下街を通って大通、JR札幌駅まで雪道を歩くことなく行けるのも便利だ。

外観は、周囲に高層の建築物がないため、とにかく目立つ。

写真:ブランズタワー札幌大通公園 ⒸJapan In-depth編集部

間取りは、1LDKから3LDKの17タイプ。専有面積は、37.82m²〜100.41m²、価格は、2810万円〜1億7500万円だ。

写真:リビングルーム 2LDK 面積60.24㎡ 5980万円 ⒸJapan In-depth編集部

写真:ベッドルーム 2LDK 面積60.24㎡ 5980万円 ⒸJapan In-depth編集部

担当者に聞いてみると、意外なことに購入者の約40%が道外で、その約60%が東京都民だという。そして、道外購入者の約40%が、その目的をセカンドハウスと答えている。

投資用で購入する人が多いのかと思っていたので意外だった。購入者の年齢層は40〜50代がメインで、高収入の経営者、会社役員が多いという。

東京羽田空港から新千歳空港までは1時間半、便数も多い。新千歳空港から本物件へは、JR快速エアポートを利用して乗車37分の札幌駅経由で行ってもいいが、マンションから歩いて2分の札幌プリンスホテル行き空港連絡バス(乗車時間約85分)が便利だ。新幹線が札幌まで延伸したら乗り換え無しで東京駅から札幌駅まで行けるのも魅力的だ。

すでに都心のタワマンの販売価格は高止まりしており、おいそれと手が出ない。資産として保有するなら、比較的安く、今後値上がりが期待できる札幌の物件を、と考えてもおかしくない。

また、数十年のうちに発生する確率が高いといわれる首都直下型地震や南海トラフなどの大地震に備え、札幌市の物件を買い増すことで災害リスクを分散する目的もあるかもしれない。

セカンドハウスとして購入した人の気持ちになってみると、東京から3、4時間で避暑地札幌に行けるのは魅力的だ。豊かな大自然での観光、グルメ、ゴルフなど楽しみ方はいくらでもある。

写真:「ブランズタワー札幌大通公園」上層階からの眺望(南西) 正面は藻岩山 上層階からの眺めは絶景としか言いようがない。タワマンならではだろう。

提供:東急不動産

一方、札幌の副都心、JR「新札幌駅」周辺にもタワマンが建ち始めた。2015年に札幌市より「新さっぽろ駅周辺まちづくり計画」が発表され、再開発が始まった。

JR「新札幌」駅は「札幌」駅へ乗車9分、「新千歳空港」駅へは2駅乗車24分と、札幌都心や空港へのアクセスが良い。また、地下鉄「新さっぽろ」駅は東西線始発駅のため、座って「大通」駅へ19分で行けるのも魅力だ。

近年は大規模複合開発プロジェクトが進行しており、商業・教育・医療が集積したまちづくりが行われている。駅周辺には商業施設やホテル、病院、タワーマンション、子育て支援施設が立ち並ぶ。駅の反対側には、大学や看護医療専門学校などが立ち並ぶ。

また、イオンモール札幌平岡から北海道日本ハムファイターズが2023年より本拠地としているエスコンフィールドHOKKAIDOまでシャトルバスが走っており、30分で着く。

写真:エスコンフィールドHOKKAIDO ⓒJapan In-depth編集部

新札幌駅周辺では、大和ハウス工業等による大規模複合開発プロジェクト「新さっぽろG・I街区開発」(総敷地面積約55,000㎡)が進行中で、名称が「MAARUKU SHINSAPPORO(マールク新さっぽろ)」に決定している。

北側のI街区には’23年5月に大和ハウス工業の分譲タワーマンション「プレミストタワー新さっぽろ」が竣工した。30階建て総戸数220戸。JR千歳線「新札幌」駅からも地下鉄東西線「新さっぽろ」駅からも徒歩4分だ。専有面積50.05㎡(1LDK)〜120.34㎡(4LDK)、販売価格は3,000万円台~1億8,000万円台で完売している。

写真:プレミストタワー新さっぽろ 出典:大和ハウス工業

新札幌駅周辺には、タワマンではないが、中層のマンションも立ち始めている。東急不動産のマンションブランズ新札幌」(15階建て)がそそれで、JR「新札幌」駅へ徒歩7分、地下鉄「新さっぽろ」駅へ徒歩7分、さらにJR「厚別」駅も利用でき、3駅3路線のアクセスが可能だ。

図:ブランズ新札幌 完成予想CG 出典:東急不動産

間取りは、2LDK(57.03m²)〜3LDK( 72.16m²)、販売価格は3660万円〜5480万円となっている。

写真:ブランズ新札幌 3LDK 72.16㎡ 4,690万円 ダイニング ⓒJapan In-depth編集部

写真:ブランズ新札幌 3LDK 72.16㎡ 4,690万円 ベッドルーム ⓒJapan In-depth編集部

札幌市内のタワマンとの違いは、実需中心なことだ。セカンドハウスとしてではなく、実際に居住するために購入する人がほとんどで、ご夫婦子供なしが約60%を占める。約75%が会社員、公務員などのビジネスマンで、札幌市に住んでいる人が約90%となっているなど、購買層もタワマンとは大きく異なるところが興味深い。

 

市内の物件より室内面積が広めなわりに、値ごろ感あるところや、同地区が、商業、医療、ホテル、学校などが集積したコンパクトシティであることが評価されたものと思われる。今後街の開発が進むにつれ、さらにマンション需要は高まるのではないか。

写真:東急不動産提供)

 

■ 商業施設開発

札幌市内の大規模商業施設の再開発も活発だ。

日本有数の繁華街・すすきのの玄関口、巨大看板「キング・オブ・ブレンダーズ、通称ブラックニッカのヒゲのおじさん」で有名なすすきの交差点に、今年11月にオープンするのが、今年11月に開業予定の複合商業施設COCONO SUSUKINO(ココノ ススキノ)」だ。札幌市中央区の商業施設「ススキノラフィラ」跡地に建設される。

地上18階、地下2階で、TOHOシネマズのシネマコンプレックス、コスメ&ドラッグストア、大型食品スーパー、フードホール&ゲームセンターなどが入居、上層部分は来年1月にグランドオープンするホテル(サッポロ ストリーム ホテル:SAPPORO STREAM HOTEL)となる。

すすきのというと夜の大人の街で昼間は閑散としてるイメージだが、若者や家族連れが楽しめるこうした施設ができることで、昼間の賑わいが創出されそうだ。

写真:COCONO SUSUKINO(ココノ ススキノ) ⓒJapan In-depth編集部

そのすぐそば、狸小路3丁目のサンデパートビル跡地に今年7月オープンしたのが、複合商業施設「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ」だ。地下2階、地上28階、4階から6階は都市型水族館「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」、9階から28階は、今年4月竣工のタワマン「ライオンズタワー札幌」(総戸数133戸)となっている。

写真:moyuk SAPPORO(モユクサッポロ) ⓒJapan In-depth編集部

地下の食堂街は平日午後ということもありどの店も一杯。同施設は、さっぽろ地下街(ポールタウン)につながっており、札幌駅まで直接地下で行けるという利便性が特徴だ。

写真:moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)地下街に直結 ⓒJapan In-depth編集部

狸小路は1873年に誕生、北海道内最古の商店街のひとつで、店舗数は約220店を超す一大商業エリアだ。先に紹介したCOCONO SUSUKINOなどと共に、インバウンド需要も取り込み、札幌の景気回復の起爆剤となることを期待したい。

(了)

トップ写真:ブランズタワー札幌大通公園 ⒸJapan In-depth編集部












 




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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