「高岡発ニッポン再興」その104 100万人割れ目前 若い女性を戻せ
出町譲(高岡市議会議員・作家)
【まとめ】
・高岡市最大の課題の人口減少問題は若年層の女性の流出が深刻。
・女性を戻す戦略をもっと打ち出すべき。
・あと5年から10年ぐらいが勝負。
私は人口減少問題こそ、高岡市が抱える最大の課題だと思っています。毎年1000人以上が減っていく現実。それにどう対応するのか。政治の課題です。令和5年10月31日付の日本経済新聞を読んで、その思いがますます強まりました。富山県人口について「100万人割れ目前」という記事があったのです。
私はジャーナリストトだった、2017年5月に北日本新聞に寄稿し、若い女性を戻す政策を訴えましたが、今日付の日経新聞は、ほぼ同じ趣旨でした。「100万人割れ」になると、心理的なインパクトが大きいと思います。この現実をもとに、政策を打ち出す必要があります。
日経の記事によると、富山県の人口は、9月1時点でおよそ100万7100人です。過去1年間、月平均でおよそ840人減少しています。単純計算すれば、1年以内に100万人を下回るのです。人口が100万人を下回るのは、戦後まもない1949年前後以来となるそうです。特に若年層の女性の流出が深刻だといいます。
そして、私が改めて納得したのは、データです。20年から22年の15歳から34歳で、転出する人が転入する人より、どれだけ多いのでしょうか。若い世代ですから、進学や就職で東京などに行きますよね。ただ、男女の数の差は極めて大きいのです。男性は1693人ですが、女性は3698人なのです。女性のほうが2.2倍なのです。
この数字から浮かび上がるのは、男性は製造業の企業に就職するため、戻ってきているが、女性はあまり戻っていないことです。
そうなんです。私は前段で紹介しましたが、2017年5月に北日本新聞に寄稿し、若い女性を戻すよう訴えました。人口問題の専門家、「持続可能な地域社会総合研究所」の所長、藤山浩さんに富山県のデータを分析してもらい、私が記事を書いたのです。
藤山さんは、2015年時点の国勢調査をもとにして、藤山さんが全国の市町村別に人口推計を出したのです。過去5年の人口動態の変化率などを踏まえて独自に予測したのです。
それは、驚くべき数字でした。富山県全体では、106万人の人口(当時)が2060年には62万人に減少する見通しというのです。
藤山さんは「都会に出た男性は戻っていますが、30代ぐらいの若い女性があまり戻っていません。大きな製造業があり、そこが男性の受け皿になっているとのかもしれませんが、女性を戻す戦略をもっと打ち出すべきです」と主張しました。
そして、驚愕したのは、市町村別の推計です。富山市や射水市などは人口の減り方は少ないものの、高岡市、魚津市、氷見市などが深刻だといいました。高岡市は17万人が2060年には9万9000人になるというのです。魚津市は半減になる見通しです。また、氷見市に至ると、4万8000人が1万6000人に減少する見込みです。
「2060年には高岡市の人口10万人割れ」。私は、この衝撃の予測に驚きました。藤山さんは「あと5年から10年ぐらいが勝負です。将来世代のために、市役所や商工会議所の重鎮が改革できるかどうかが、分かれ目です」と指摘していました。
それではどうすべきなのか。藤山さんのアドバイスなど含めて、対策については次回、お伝えします。
トップ写真:閑散とした高岡の中心街(執筆者提供)
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この記事を書いた人
出町譲高岡市議会議員・作家
1964年富山県高岡市生まれ。
富山県立高岡高校、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。
90年時事通信社入社。ニューヨーク特派員などを経て、2001年テレビ朝日入社。経済部で、内閣府や財界などを担当した。その後は、「報道ステーション」や「グッド!モーニング」など報道番組のデスクを務めた。
テレビ朝日に勤務しながら、11年の東日本大震災をきっかけに執筆活動を開始。『清貧と復興 土光敏夫100の言葉』(2011年、文藝春秋)はベストセラーに。
その後も、『母の力 土光敏夫をつくった100の言葉』(2013年、文藝春秋)、『九転十起 事業の鬼・浅野総一郎』(2013年、幻冬舎)、『景気を仕掛けた男 「丸井」創業者・青井忠治』(2015年、幻冬舎)、『日本への遺言 地域再生の神様《豊重哲郎》が起した奇跡』(2017年、幻冬舎)『現場発! ニッポン再興』(2019年、晶文社)などを出版した。
21年1月 故郷高岡の再興を目指して帰郷。
同年7月 高岡市長選に出馬。19,445票の信任を得るも志叶わず。
同年10月 高岡市議会議員選挙に立候補し、候補者29人中2位で当選。8,656票の得票数は、トップ当選の嶋川武秀氏(11,604票)と共に高岡市議会議員選挙の最高得票数を上回った。