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.国際  投稿日:2014/7/12

[現役女子大生・留学リポート]“ありのまま!ドイツ生活”(4)<海外で感じる差別意識>


豊間友佳子(慶応義塾大学3年|ドイツ・ケルン大学留学中)

執筆記事

海外での生活を通して強く意識させられることは、“日本人としての自分”です。それは、単に異文化に触れることで感じるものだけではありません。私は日本で生まれ育ち、日本人であることを誇りに感じていますが、時にその“○○人”という枠組みを窮屈に思う時がありました。それは、国や人種によって無条件にレッテルを張られ、自分の努力ではどうにもできない“区別”をされる時です。

海外経験のある人にとって、このような出来事は日常茶飯事だと思いますが、一つ友人に言われたレイシスト(人種差別をする人)・ジョークの例を挙げたいと思います。ドイツの隣国から来た子(※注)とベトナム人、トルコ人の仲の良い4人で他愛もないことから政治問題まで幅広く話をし、話題が銃規制に差し掛かった時のこと。隣国の女の子に、「実家に銃があるよ。普段それを使う機会はないけど、生粋の人種差別主義者である私の父は、唯一それを使うときは白人以外が目の前に現れた時だ、と言ってたよ、ははは。…あ、私は白人主義者ではないよ。もしそうならばこの場にはいないだろうね。」と言われました。

アジア人に対してのみ店員の態度が悪かったり、列の順番を抜かされたりといったことは旅行を通しても何度かありましたが、人の生死に関するレイシスト・ジョークを直接言われたのは人生でも初めてで、戸惑いました。しかしさらに驚かされたのは、このようなレイシスト・ジョークに他のアジア圏の二人は慣れていて気にも留めなかったことです。

サーカズムやアイロニー(注:どちらも皮肉)を理解することは欧米人との人間関係で非常に重要だ、とはよく言われます。一方で、それらとレイシスト・ジョークは別物で混同すべきではないにもかかわらず、残念ながら多数存在します。(私は、このジョークに対して「日本人は皆忍者魂を持っているから、そういう敵には簡単に出くわさないよ」と返しておきましたが。)

日本は外国人比率が欧米に比べて少なく、私生活において関わる機会も少ないため、ダイレクトな人種差別的表現は他の国よりも少ないと言えます。しかし、異文化を知らないがために、彼らの行動に偏見を抱き、誤解を生む事態にも陥りかねません。

また、外国人と接することに慣れていないために私たちが彼らに冷たく接すれば、彼らは差別されたと思う可能性もあります。センシティブな問題ですが、異文化を学び体験することは、相互理解と良き人間関係の構築のためにも非常に重要なことだと思います。

※注 友人である発言者の意見がその国の人々の意見というわけではないので、誤解を招かぬよう国名をぼかしました。

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ToyomaYukako【レポーター紹介】豊間友佳子(とよま・ゆかこ)

1993年神奈川県生まれ。私立フェリス女学院中学・高等学校を卒業後、2011年慶應義塾大学環境情報学部に進学。高校1年生の時、”世界を見たい”という一心で、初めて日本を一人で飛び出し、Oxford大学St.Hugh’s Collegeのサマースクールに参加、大学入学後の交換留学への挑戦を決意。専攻の環境エネルギー政策を、環境大国として先進国を先導するドイツで学びたいという思いから、2012年9月にドイツ・ボンにあるGoethe-Institutに短期語学留学し、翌年2013年9月より1年間ドイツ・ケルン大学に交換留学する。


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