【ファクトチェック】能登半島地震「輪島市の避難所で凍死」→根拠不明
【ファクトチェック】
能登半島地震「輪島市の避難所で凍死」→根拠不明
【まとめ】
・能登半島地震を受け、「避難所で低体温症で凍死」とXにポストされた。
・輪島市長は一旦は低体温症による死亡と発言したが、翌日市は死因不明と訂正。
・死因については「凍死」かどうか特定できないことから根拠不明と判定。
以下の言説が 1月7日、X(旧Twitter)に投稿された。
低体温症、というと何か体の不調みたいに聞えますけど、【避難所で凍死】という事態なんですよ。
2024年1月7日時点で、599.3万 件の表示となっており、2.6万いいね!、9787回リポストされた。
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低体温症、というと何か体の不調みたいに聞えますけど、【避難所で凍死】という事態なんですよ。
避難所で、です。 https://t.co/w1DIogjBpJ
— 🏕インドア派キャンパー 📣ⒻⒸⓀⓁⒹⓅ🔥 (@I_hate_camp) January 7, 2024
このポストには以下のとおり、コミュニティーノートがつけられている。
後に「その事実が確認できない」として輪島市から訂正記事が出されました。 「低体温症で死亡」を訂正 輪島市 能登半島地震
news.yahoo.co.jp/articles/8f5ac…
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■ ファクトチェック
能登半島地震の影響で多くの人が避難所生活を強いられている中、中日新聞は第1報として、「石川県輪島市の坂口茂市長は1月7日、能登半島地震で、市内の避難所に避難していた被災者1人が死亡していたと明らかにした」などと報じた。
上記のXのポストはこの報道を受けたものだと思われる。
しかし輪島市は、翌8日になって、「死因を確認できていない」として前日の市長の発言を訂正した。
低体温症による死亡と報道した中日新聞の同記事も、配信された翌8日に記事を訂正している。中日新聞も、MRO北陸放送も、市の担当者が「3日に(死亡者が)冷たかったとの情報があり、その中で低体温症で亡くなったという(市長の)発言になった」と説明した、と報じている。実際の死因については「医師の判断が確認できていない」とした。
低体温症で死亡することを「凍死」というが、心疾患、血管疾患、神経疾患がある人では低体温症によって死亡のリスクが高まる(参考:「低体温症」MSDマニュアル家庭版)。低体温症による「凍死」か、低体温症が他の疾患を悪化させ亡くなったかは、医師の判断による。
その後、亡くなられた方の死因に関して、追加の報道も市からの発表もないので現時点で死因は不明である。
■ 判定
以上のことから、「避難所で凍死という事態だ」とするこの投稿は、死因が低体温症による凍死かどうか、当時判断できなかったことから、「根拠不明」と判定する。
【Japan In-depthファクトチェックポリシー】
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トップ写真:ビニールハウスに避難する地域住民(1月2日 石川県・輪島市)出典:Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images