印オートバイ最大手メーカー、ヒーロー・モトコープが事業拡大
中村悦二(フリージャーナリスト)
【まとめ】
・印二輪車最大手メーカー、ヒーロー・モトコープが事業拡大。
・時価総額が初めて1兆ルピー(1兆8900億円)を超えた。
・ハーレー・ダビッドソンと輸出向け生産で近く提携すると見られている。
インドの二輪車の最大手メーカーであるヒーロー・モトコープの事業拡大が目立っている。同時に、米ハーレー・ダビッドソンとの協力関係強化にも動いている。
ヒーロー・モトコープの国内向けオートバイ販売台数は、2024年度の当初9か月間で420万台となり4.2%の伸びを示した。アナリスト間では、今年度全体の伸びは6.5‐7%、来年度は10‐12%程度伸びると見られている(エコノミック・タイムズ紙2024年2月15日付け)。
こうした状況を反映し、ヒーロー・モトコープの時価総額はこの5月14日、初めて1兆ルピー(1兆8900億円)を超えた。
海外市場進出にも意欲的で、同社は米ハーレー・ダビッドソンのブランド車の輸出向け生産に乗り出すと見られている。海外生産ではネパールでの組み立てにも進出。
■ インドのオートバイ販売市場
インドの2023年度の二輪車(スクーター、オートバイ、モペット=原動機付き二輪車)生産は2146万8500台強となっている。
ヒーロー・モトコープの2023年度の二輪車販売は542万台強とシェアの30%を占め、ホンダ、TVSモーター、バジャジオート、スズキ、ヤマハなどの二輪車販売を凌いでいる。(文末の表参照)
ちなみに、日本の2022年の二輪車販売台数は40万5000台。
■ ヒーロー・モトコープの生い立ち
ヒーロー・モトコープは1984年に、インド最大の自転車メーカーのヒーロー・サイクルと日本の本田技研工業との合弁会社として発足。インド最大手のオートバイ・メーカーに成長した。2010年に本田技研工業との合弁を解消。翌年に現社名に変更した。
本田技研工業は1999年に、ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディアを設立しており、現在はこの会社の育成に転じているようだ。
■ 米ハーレー・ダビッドソンとの協力関係強化
ヒーロー・モトコープは、米ハーレー・ダビッドソンの440cc空冷シングル・エンジン搭載の「X440」を生産している。タイムズ・オブ・インディア紙によると、ヒーロー・モトコープの「X440」はラジャスタン州ニームラナ工場で生産されている。
ハーレー・ダビッドソンは、2019年にインドでの生産を中止。翌年にヒーロー・モトコープと提携し、「X440」のインド版を共同開発。同紙によると、その価格は240万ルピー(約453万円)だ。
同紙によると、ハーレー・ダビッドソンは近く、輸出向け生産でヒーロー・モトコープと提携すると見られている。
▲表1、3ともに 出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)地域・分析リポート「自動車販売市場が大きく拡大(インド)」
トップ写真: DLFゴルフ&カウンティクラブで行われたヒーローインディアンオープンの前に、ヒーローのバイクにまたがるデンマークのラスムス・ホイガード選手(2024年3月27日 インド・ニューデリー)出典:Luke Walker/Getty Images