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.経済  投稿日:2024/12/23

世界のGDP成長率、微減速へ【2025年を占う!】国際経済


中村悦二(フリージャーナリスト)

【まとめ】

・2024年10月にIMFは世界経済見通しを発表した。

・世界の実質GDP成長率は3.2%に減速し、インフレ率は5.8%へ低下すると予測している。

・先進国や新興市場国の成長率も減速する一方、中国とインドは引き続き高い成長を維持する見込みである。

 

国際通貨基金IMF)は、2024年10月末に「世界経済見通し 成長率予測」を発表している(図表1参照)。

図表1)

 

それによると、世界の実質GDP成長率(前年比)は2023年の3.3%成長実績から、2024年と2025年にはそれぞれ3.2%成長に減速すると予測している。インフレ率は、国際的な一次産品価格の下落と金融引き締め策の影響で、2023年の6.9%から2024年には5.8%へ低下すると見られている。

 

先進国・地域の成長率は、2023年の1.7%成長実績から、2024年と2025年はそれぞれ1.8%になるとしている。米国の成長率は2023年実績が2.9%、2024年と2025年の予測はそれぞれ2.8%、2.2%としている。ユーロ圏(独・仏・伊・スペイン)に関しては、2023年実績が0.4%、2024年および2025年の予測はそれぞれ0.8%、1.2%としている。

日本は2023年実績が1.7%、2024年と2025年はそれぞれ0.3%、1.1%と予測している。英国とカナダは、2023年実績がそれぞれ0.3%、1.2%。2024年と2025年予測はそれぞれ1.1%と1.5%、1.3%と2.4%としている。北欧諸国や豪州、ニュージーランドなどその他の先進国・地域が、2023年実績が1.8%、2024年と2025年がそれぞれ2.1%、2.2%と予測している。

 

新興市場国・発展途上国の成長率に関しては、2023年実績が4.4%、2024年と2025年はそれぞれ4.2%成長と見ており、うちアジアの新興市場国・発展途上場国は2023年実績の5.7%に対し、2024年と2025年はそれぞれ5.3%、5.0%と見ている(図表2、図表3参照)。

 

図表2)

 

図表2では、2004年4月段階と9月段階の数値を表記しており、2024年9月段階の成長予想値は2024年が5.0%、2025年は4.9%としている(アジア開発銀行の資料では、発展途上国でなく、開発途上国としているが、これは財務省と外務省の‶シマ争い〟を反映したもの。意味は同じ)。

図表3)

 

中国とインドに関しては、2023年実績がそれぞれ5.2%、8.2%であったのに対し、2024年と2025年予測に関しては、中国がそれぞれ4.8%成長・4.5%成長、インドが7.0%成長・6.5%成長と予測している。

 

欧州の新興市場国・発展途上国については、2023年実績が3.3%、2024年と2025年はそれぞれ3.2%、2.2%と予測している。うち、IMFが新興市場国・発展途上国として取り上げているロシアに関しては、2023年実績が3.6%、2024年と2025年はそれぞれ3.6%、1.3%と予測している。

 

中南米・カリブ諸国については、2023年実績が2.2%、2024年と2025年予測がそれぞれ2.1%、2.5%としている。個別国では、ブラジルとメキシコを取り上げ、ブラジルについては2023年実績が2.9%、2024年と2025年の成長がそれぞれ3.0%、2.2%と予測。メキシコについては2023年実績が3.2%、2024年と2025年はそれぞれ1.5%、1.3%成長と予測している。

 

中東・中央アジアについては2023年実績が2.1%、2024年と2025年はそれぞれ2.4%、3.9%と予測。うち、地域の大国サウジアラビアについては、2023年実績が-0.8%、2024年と2025年がそれぞれ1.5%、4.6%成長と見ている。

 

サブサハラアフリカは、2023年実績が3.6%成長、2024年と2025年はそれぞれ3.6%、4.2%と予測している。うち、ナイジェリアに関しては、2023年実績が2.9%、2024年と2025年はそれぞれ2.9%、3.2%の成長と予測。また、南アフリカについては2023年実績が0.7%とし、2024年と2025年は1.1%と1.5%成長としている。

 

タイなどの新興市場国・中所得国については、2023年実績が4.4%、2024年と2025年はそれぞれ4.2%としている。

 

エチオピアなどの低所得発展途上国に関しては、2023年の成長実績が4.1%、2024年と2025年の成長予測はそれぞれ4.0%、4.7%としている。

 

トップ写真:連邦公開市場委員会の後に行われた記者会見におけるジェローム・パウエル連邦準備制度理事会議長(2024年12月18日、ワシントンD.C)

出典:Photo by Alex Wong/Getty Images

 




この記事を書いた人
中村悦二フリージャーナリスト

1971年3月東京外国語大学ヒンディー語科卒。同年4月日刊工業新聞社入社。編集局国際部、政経部などを経て、ロサンゼルス支局長、シンガポール支局長。経済企画庁(現内閣府)、外務省を担当。国連・世界食糧計画(WFP)日本事務所広報アドバイザー、月刊誌「原子力eye」編集長、同「工業材料」編集長などを歴任。共著に『マイクロソフトの真実』、『マルチメディアが教育を変える-米国情報産業の狙うもの』(いずれも日刊工業新聞社刊)


 

中村悦二

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