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.政治  投稿日:2013/10/23

[清谷信一]大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い②


清谷信一(軍事ジャーナリスト)

執筆記事プロフィールWebsiteTwitter

 

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輸出において最大の問題は我が国の輸出の規制の曖昧である。所管は経産省なのだが、法的な規制が曖昧で、人治的である。このため担当課長が変わるとそれまで白だったものが、黒に変わったりする。また法的な整備が遅れているためにジェトロも輸出を応援できる体制にない。

また税関も思うつきで法的な根拠が無いのにいきなり規制したりする。例えば近年税関は米国製のタクティカル・ペンの輸入を「武器」に当たるとして差し止めた。これは金属製のボールペンで頑丈で格闘にも使えるというものだ。だが関税率表でもこれは武器には当たらないし、同様な製品は国内でも製造されている。完全に税関の担当者の「気分」で決めたとしか思えない。

反面無可動銃という発射機能を除去した機関銃などの輸入は可能だ。だが、本来銃器のパーツなども規制の対象になるので、輸入できないはずのだ。何しろ単なるベルトに過ぎない銃のスリング(負い紐)すら規制の対象なのだ。だが、武器の部品の塊である無可動銃輸入が堂々と行われている。これはどこかの税関が一旦認めてしまったので、それを取り消すとメンツが潰れるとからという話を聞いたことがある。

武器禁輸を緩和するのであれば、このような人治的な制度を改めるべきだ。

産業界からは、いわゆるホワイト国、即ち大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームにすべて参加し、キャッチオール制度を導入している国々に対する輸出の許可は求める声が強い(ホワイト国とは、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカの合計二五ヵ国を指す)。

日本の中小企業を視察する左藤

[日本の中小企業を視察する左藤政務官(当時)]

既に中小企業は動き始めている。

本年9月にロンドンで行われた場、国際軍事見本市、DSEi(Defence Security Exhibition)には日本の中小企業が初めて出店した。この出展はコサンタルト会社のクライシスインテリジェンス社が中小企業を募って、小さな日本パビリオンを出展したものだ。サーチライトや光学製品、携行型電源、ケーブルの接続部品など製造するするメーカー4社が参加していた。

この見本市には防衛省から左藤政務官(当時)を長とする7名のデリゲーションが訪れていた。このデリゲーションはその先週に行われたポーランドの軍事見本市、MSPOも視察していた。政治家である政務官を長とする内局のデリゲーションがこの種の見本市を視察するのは初めてだ。

また経産省の航空機武器宇宙産業課の和久田肇防衛産業企画官も視察に訪れ、セミナーで公演も行った。野党からは維新の会の中丸ひろむ衆議院議員も視察に訪れていた。このようなことは日本の大手メディアは報道しない。左藤政務官らもこの小さなパビリオンを訪問し、熱心に説明を聞いていた。

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