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.政治  投稿日:2025/9/28

来年度予算案における陸上自衛隊の第15師団と特殊作戦団の新設


清谷信一(防衛ジャーナリスト)

【まとめ】

・防衛省は来年度予算で陸上自衛隊に第15師団と特殊作戦団を新設。

・第15師団は南西地域の防衛体制強化のため、第15旅団を改編し、人員を増強。

・特殊作戦団は特殊作戦能力強化のため、特殊作戦群と中央即応連隊を基幹として新設。

 

防衛省は来年度予算で陸自に第15師団と特殊作戦団の2つの部隊を新設する。防衛省は南西地域の防衛体制強化のため、陸上自衛隊の西部方面隊隷下の第15旅団沖縄,那覇)を第15師団へと改編する。第15旅団は即応近代化旅団(離島型)と呼ばれる編成で、1個普通科連隊を基幹で、人員約2,300である。

第15師団は一個普通科連隊を新設し、偵察隊を廃止して、新たに16式機動戦闘車などを保有する偵察戦闘隊を新編予定である。またシステム通信機能及び後方支援機能が強化される。更に宮古警備隊(宮古島、1個普通科中隊基幹、約350名)、八重山警備隊(八重山、1個普通科中隊基幹、約350名)も隷下に加えて総勢3900名の部隊となる。これに伴い指揮官も陸将補から陸将に変更となる。因みに陸上自衛隊の普通科連隊は諸外国の大隊規模である。

師団改編の理由の一つには、沖縄のアメリカ第31海兵遠征部隊司令官が中将職であり、階級を同格としてより密接な連携を図る意図があると自衛隊将官OBは指摘している。

また特殊作戦能力の強化のために特殊作戦群(習志野)と中央即応連隊(宇都宮)を基幹として新たに特殊作戦団(仮称)が新設され、第一空挺団と同じ「団」となる。指揮官は陸将補があてられる。詳しい編成などについては現状明らかにされていない。

特殊作戦団の新編に伴う要求はないが、5旅団の師団化に伴い必要な施設整備、装備品導入に係る経費として、約240億円要求されている。

トップ写真:9月11日から9月25日の間、国内における米海兵隊との実働訓練(レゾリュート・ドラゴン25)に参加する第15旅団 出典:X陸上自衛隊第15旅団(@jgsdf_15b_pr)




この記事を書いた人
清谷信一防衛ジャーナリスト

防衛ジャーナリスト、作家。1962年生。東海大学工学部卒。軍事関係の専門誌を中心に、総合誌や経済誌、新聞、テレビなどにも寄稿、出演、コメントを行う。08年まで英防衛専門誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー(Jane’s Defence Weekly) 日本特派員。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関「Kanwa Information Center 」上級顧問。執筆記事はコチラ


・日本ペンクラブ会員

・東京防衛航空宇宙時評 発行人(Tokyo Defence & Aerospace Review)http://www.tokyo-dar.com/

・European Securty Defence 日本特派員


<著作>

●国防の死角(PHP)

●専守防衛 日本を支配する幻想(祥伝社新書)

●防衛破綻「ガラパゴス化」する自衛隊装備(中公新書ラクレ)

●ル・オタク フランスおたく物語(講談社文庫)

●自衛隊、そして日本の非常識(河出書房新社)

●弱者のための喧嘩術(幻冬舎、アウトロー文庫)

●こんな自衛隊に誰がした!―戦えない「軍隊」を徹底解剖(廣済堂)

●不思議の国の自衛隊―誰がための自衛隊なのか!?(KKベストセラーズ)

●Le OTAKU―フランスおたく(KKベストセラーズ)

など、多数。


<共著>

●軍事を知らずして平和を語るな・石破 茂(KKベストセラーズ)

●すぐわかる国防学 ・林 信吾(角川書店)

●アメリカの落日―「戦争と正義」の正体・日下 公人(廣済堂)

●ポスト団塊世代の日本再建計画・林 信吾(中央公論)

●世界の戦闘機・攻撃機カタログ・日本兵器研究会(三修社)

●現代戦車のテクノロジー ・日本兵器研究会 (三修社)

●間違いだらけの自衛隊兵器カタログ・日本兵器研究会(三修社)

●達人のロンドン案内 ・林 信吾、宮原 克美、友成 純一(徳間書店)

●真・大東亜戦争(全17巻)・林信吾(KKベストセラーズ)

●熱砂の旭日旗―パレスチナ挺身作戦(全2巻)・林信吾(経済界)

その他多数。


<監訳>

●ボーイングvsエアバス―旅客機メーカーの栄光と挫折・マシュー・リーン(三修社)

●SASセキュリティ・ハンドブック・アンドルー ケイン、ネイル ハンソン(原書房)

●太平洋大戦争―開戦16年前に書かれた驚異の架空戦記・H.C. バイウォーター(コスミックインターナショナル)


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清谷信一

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