「中道で戦ったのは失敗」——小西洋之議員が示唆する「第3の道」とは
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
本稿は2本構成の第1回です。2回目は、「憲法と安全保障」を取り上げる予定です。
■本稿のポイント
・衆院選比例得票で自民2103万票に対し中道改革連合は1044万票。合流前の立憲・公明合計1752万票から700万票超が消えた現実を小西議員自身が「失敗だった」と認めた。
・中道改革連合は衆院のみの政党で参院議員は立憲・公明の原籍政党に留まる。地方議員の多くも中道への合流に否定的で、「誰も得しない」状況が続いている。
・小西議員は現在の「合流か合流しないか」という2択に代わる「第3の道」があると示唆した。具体的な内容は次回登場時に明かすとしている。
2026年2月の衆院選で自民党が単独3分の2を超える歴史的大勝を収める一方、立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は公示前の172議席から49議席へと激減した。この敗北をどう総括するのか。そして野党はこれからどこへ向かうのか。Japan In-depthチャンネルは4月22日、立憲民主党の小西洋之参議院議員(千葉選挙区、3期)を招き、安倍宏行編集長が聞いた。小西議員は「中道で選挙を戦ったのは失敗だった」と明言し、現在の3党関係に代わる「第3の道」の存在を示唆した。(Japan In-depth編集部)
■「政治は結果。失敗だった」——小西議員が率直に認めた総括
衆院選の比例得票数は自民党が約2103万票だったのに対し、中道改革連合は約1044万票にとどまった。安倍編集長が「合流前の立憲と公明を合計すれば1752万票あったのに、合流後に700万票以上消えた。中道にならなければここまでひどいことにならなかったのではないか」と問うと、小西議員は率直に認めた。
「中道で選挙を行ったことは、結果的に見れば失敗だったという風に思っています。元立憲の議員の衆議院の皆さん21名しか当選してないわけですから、これだけの大敗をしてしまったということは立憲の立場からしても残念ながら大きな失敗。政治は結果だという観点からするとこれは大きな失敗だったんだという風に考えております」
野田佳彦共同代表自身も選挙翌日の記者会見で「大事な人ばっかりだった。その意味では万死に値すると思っている」と述べ、「従来立憲民主に入れてくださった方が大きく離れてしまった」と小西議員は語った。
■ 比例2000万対1000万——小選挙区制が生んだ「1対6」の議席格差はなぜ起きたのか?
安倍編集長は「比例票を見れば自民2000万、中道1000万で2対1。しかし議席は1対6ほど自民党の方に寄ってしまった」と小選挙区制の構造的な問題を指摘した。中道改革連合が1000万票を得ながら49議席にとどまった背景には、小選挙区制における「死票」の存在がある。小西議員はこの現実を認めながらも、1000万票という数字そのものの重みを強調した。
「1000万の有権者が投票したわけです。そういう人たちは『やっぱり中道のままで行ってほしい』と思っているのか。それとも『一旦クリアにして元に戻ってもいいのではないか』と思ってる人もいるかもしれない」
■ 地方議員の本音は「立憲のままでいたい」——参院でも合流は困難
中道改革連合は衆議院議員のみで構成される政党で、参議院議員はそれぞれ立憲民主党・公明党の原籍政党に留まっている。地方レベルでも合流への抵抗は根強いと小西議員は明かした。
「私の千葉県ではほとんど全員が中道じゃなくて立憲のままでずっと自治体議員をやりたいという。合流するという意見もあるんですが」
参院議員としての立場についても「参議院は中道に合流して公明と一緒になって選挙をやると、いろんな難しい事情が生じる」と述べ、参院での合流には慎重な姿勢を示した。
■ 「第3の道」とは何か——2択を超える選択肢を示唆
現在の3党関係について「0か100、合流か合流しないかこの2択でみんな悩んでいる」とした上で、小西議員は第3の選択肢があると明言した。
「私は一刻も早く3党はどうするか決めるべきだと思っています。誰も得しないですね。私はこの第3の道で行くしかないなという風に私は思っています」
ただし「第3の道」の具体的な内容については、「まだ政治的に申し上げられない」として明言を避け、次回の登場時に詳しく語ることを約束した。そうしたなか、中道改革連合の解散・再分裂の可能性については「選択肢としてはありうると思います」と述べるにとどめた。
■ 「リベラルへのNO」ではなく「中道という器の失敗」——今後の立憲の立ち位置
今回の選挙結果が「リベラルそのものへの否定」であるかという問いに対し、小西議員は否定した。
「中道が従来の立憲民主が掲げていたようなリベラル・穏健保守そのままの姿ではおそらくない。従来リベラル・穏健保守勢力に期待してくださった方々の期待というのは引き続き我々立憲民主党がしっかり受け止めさせていただかなければいけない」
立憲民主党が掲げてきた路線そのものへの審判ではなく、中道という器で戦ったことの失敗——そう総括することで、「第3の道」への布石を打った形だ。
■ タイムリミットは7月17日——3党の行方はいつ決まるのか?
小西議員は「長くてもこの特別国会の会期末7月17日までに」3党の連携の行方について何らかの結論を出す必要があるとした。一方、立憲民主党の支持率が調査によっては1%を下回る現状も率直に認めた。
「今立憲民主の支持率は調査にもよりますけど1%ない。1%がない政党で統一応援を戦うということは非常に困難。立憲民主党としてやることは決まっている以上は、国民の皆さんの信頼・評価を得るための党活動をしないといけない」
3党の合同部会での政策議論を続けながら、都議選、そしてその先の衆院選に向けて活路を探る。小西議員の「第3の道」の全貌が明らかになる日は近いかもしれない。
■ 記者の目
「中道は失敗だった」という言葉は、立憲民主党現職議員が公開の場で述べるには覚悟がいる発言だ。野田代表自身が「万死に値する」と認めているとはいえ、自分の言葉で明言した小西議員の率直さは評価できる。
現在の3党関係について、参院の立憲、公明が中道に合流するのかしないかの2択だけでなく、「第3の選択肢」がある事を示唆した。元総務官僚として選挙制度に精通する小西議員が何を構想しているのか、特別国会の会期末7月17日までにその答えが明らかになるものと思われる。
■ FAQ
Q.中道改革連合とはどのような政党ですか?
2026年1月、立憲民主党と公明党の衆議院議員が結成した新党です。衆議院議員のみで構成され、参議院議員はそれぞれ立憲民主党・公明党の原籍政党に留まっています。衆院選では公示前172議席から49議席へと激減し、比例得票数は約1044万票でした。
Q.小選挙区制と比例代表制はどう違うのですか?
小選挙区制は各選挙区で最多得票の1名のみが当選する仕組みです。2位以下の候補に投じられた票は全て「死票」となるため、得票率の差が小さくても議席数の差が大きく開きやすい構造があります。一方、比例代表制は各政党の得票数に応じて議席を配分するため、得票率と議席率が比較的一致します。日本の衆議院選挙はこの2つを組み合わせた並立制を採用しており、今回の衆院選では比例では自民対中道が約2対1だったにもかかわらず、小選挙区での「勝者総取り」効果により議席比は大きく自民側に偏りました。
Q.小選挙区制と比例代表制はどう違うのですか?
小選挙区制は各選挙区で最多得票の1名のみが当選する仕組みです。2位以下の候補に投じられた票は全て「死票」となるため、得票率の差が小さくても議席数の差が大きく開きやすい構造があります。一方、比例代表制は各政党の得票数に応じて議席を配分するため、得票率と議席率が比較的一致します。日本の衆議院選挙はこの2つを組み合わせた並立制を採用しており、今回の衆院選では比例では自民対中道が約2対1だったにもかかわらず、小選挙区での「勝者総取り」効果により議席比は大きく自民側に偏りました。
アーカイブ動画はこちら
Japan In-depthチャンネル 2026年4月22日配信)19:00~ライブ配信 「改憲の波にどう抗う!? 」 ゲスト:立憲民主党 小西洋之参議院議員
https://www.youtube.com/live/u56L-0HvvHI?si=2mp2oNf4FrZ4zU-o
写真)立憲民主党小西洋之参議院議員 2026年4月22日 東京・霞が関
ⓒJapan In-depth編集部




























