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未分類  投稿日:2026/6/10

ニデックMBO観測は現実味を帯びるのか 時価総額3.3兆円の背景を読む


執筆者:牛島信(弁護士)

本稿のポイント

・ニデックの時価総額は半年で約2.5兆円から3.3兆円へ増加した。

・不正会計や品質保証問題の報道後も株価は上昇しており、市場ではMBOへの期待を指摘する見方もある。

・仮にMBOが実施されれば、永守重信氏の保有株式や当局の対応が大きな論点となる可能性がある。

ニデックでは不正会計問題や品質保証問題が報じられたにもかかわらず、株価は上昇を続けている。市場では、MBOや上場廃止を伴う非公開化への期待が株価を押し上げているとの見方も浮上。弁護士で作家でもある牛島信氏が、ニデック株価上昇の背景や創業者・永守重信氏の保有株式の意味、金融当局の対応がMBOの行方に与える影響について考察する。 (Japan In-depth編集部)

ニデックでMBO観測が浮上する理由

ニデックの株価は、どうやらMBOが実現しそうなことを示している。時価総額が、半年前には2.5兆ていどだったのが、3.3兆となっていのだ。

不正会計問題を起こしたニデックが、それに加えて品質保証問題も起こしていたと報じられたのが5月である。しかし、株価は下がらないどころか上がっている。

なにが起きているのか。

誰にもわからない。しかし、冒頭の文章は、これに対する一つの見方を示しているつもりである。MBOへの期待感なのであろう。

有力なアクティビストが株主として登場していることもその見方を裏付けるだろう。

永守重信氏の保有株が買収価格に与える影響

しかし、私は、鍵はニデックの株の12%が創業者である永守氏個人とその資産管理会社とおもわれる会社に保有されていることにあると見る。この大きな割合の保有株については、ほとんど語られることがない。だが、12%というのは相当の塊である。

12%というのは、5年前の時価であればなんと約1兆円である。

前提にあるのは、上場廃止か否かが10月末までに決まることである。監査法人が適正意見を出すことは期待できないようである。上場廃止が近づけば、誰かが会社を買い取ることになるだろうことは、或る意味で、見やすい道理にともいえるのではないだろうか。

もし3.3兆の時価を前提に、プレミアムが5割のMBOが行われるとすれば、TOBの総額は約5兆ということになる。永守氏個人と管理会社の部分は6000億円である。

おそらく、私ですら漠然とにはせよ考えつくくらいだから、そうした業界の方々にとっては当たり前のことなのかもしれない。

MBOというのは、一般にTOBを通じて行われる。会計不正が問われているニデックのMBOである。6月の定時株主総会で選任される独立取締役にとっては、相当の検討と決断を要する問題であることは間違いない。

すわなち、特別委員会を設置するのはもちろん、その検討の中身に少しでも問題がないようにしなければならない。

それは具体的にはなにを意味するのか?

価格の上昇である。プレミアムが増加するということである。一般のMBOであれば、経営者は低い価格を望む。しかし、6月の株主総会で選任される社外取締役にとっては、正反対の状況ということになる。

しかも、単にMBOに留まらないかもしれない。第3、第4の買い手の可能性が高いという状況にあるようにも見えるのだ。そもそも良い会社なのである。売りになぞ出るはずのない優良な会社なのである。品質不正?それは、投資家の目からみて企業価値に大きな影響を与えるようなものだろうか。

号砲はとっくに鳴らされているのだろう。

買収競争と金融当局の対応はどうなるのか

さて、と私は考える。本稿はすべて仮定である。

金融庁はどうするのだろうか?

もちろん、私は東京地検の特捜部と連携しての金融庁、証券取引等監視委員会のことをいっているつもりである。

第三者委員会の報告書の段階から、同委員会や特捜部と詳細に連携が取られていると考えてもおかしくない。

殊に、問題なのは「特命監査部長」の存在である。第三者委員会には手も足も出なかった。それはそうである。任意が前提の調査なのである。強制での調査ができるのは?特捜部の出番と言うことにならざるを得ない。

私が興味を持つのは、その時期である。MBO(がなされると仮定して)との時期的な関係である。

永守氏としては、その持ち株という大きな塊を特捜部の捜査を不要、不能なものとするような形でのMBOを望むであろう。

永守氏の弁護士の腕の見せどころであるとすら思っている。

ついでに言うと、私が『日本買収--団塊世代の天命』を出す際の本の帯には、「セブン&アイ」の買収未遂が記載されていた。しかし、ひょっとしたら、ニデックこそが「日本買収」の第一号になってしまうのかもしれない。

AIの時代、トヨタを時価総額で3位の企業にしてしまう時代。その時代に、ニデックという巨大企業の不祥事がMBOという形で、あるいはその他の買収という形で、どう収まるのか。ひょっとしたらとんでもない価格がついてしまうかもしれない。

なんとも想像力をくすぐられる事態ではある。

【よくある質問(FAQ)】

Q1:なぜ筆者はニデックでMBOの可能性があると考えているのですか?
A:不正会計問題や品質保証問題が報じられた後も株価が上昇していることに加え、有力アクティビストの株主参入や創業者・永守重信氏による大規模な株式保有が背景にあるためです。

Q2. 永守重信氏の保有株はなぜ重要なのですか?
A:筆者は、永守氏個人と資産管理会社が保有するとみられる約12%の株式が重要な鍵になると指摘しています。MBOが実施された場合、この持分は極めて大きな価値を持つためです。

Q3. 筆者はMBOの規模をどのように見ていますか?
A:時価総額約3.3兆円に対して5割程度のプレミアムが付くと仮定した場合、TOB総額は約5兆円規模になる可能性があると試算しています。

Q4. MBOが行われる場合、社外取締役にはどのような課題がありますか?
A:会計不正が問題となっている企業のMBOであるため、特別委員会による厳格な検討が必要になると筆者は指摘しています。その結果として、買付価格やプレミアム水準が重要な論点になるとしています。

Q5. 筆者が注目する金融当局の論点とは何ですか?
A:金融庁や証券取引等監視委員会、東京地検特捜部による対応の時期と、仮にMBOが行われる場合のタイミングとの関係です。筆者は両者の関係に強い関心を示しています。

(本稿のポイント、リード、FAQの文責:Japan In-depth編集部)

写真)ニデック中央開発技術研究所(ニデックパーク C 棟)
出典)ニデック株式会社 




この記事を書いた人
牛島信弁護士

1949年:宮崎県生まれ東京大学法学部卒業後、検事(東京地方検察庁他)を経て 弁護士(都内渉外法律事務所にて外資関係を中心とするビジネス・ロー業務に従事) 1985年~:牛島法律事務所開設 2002年9月:牛島総合法律事務所に名称変更、現在、同事務所代表弁護士、弁護士・外国弁護士56名(内2名が外国弁護士)


〈専門分野〉企業合併・買収、親子上場の解消、少数株主(非上場会社を含む)一般企業法務、会社・代表訴訟、ガバナンス(企業統治)、コンプライアンス、保険、知的財産関係等。


牛島総合法律事務所 URL: https://www.ushijima-law.gr.jp/


「少数株主」 https://www.gentosha.co.jp/book/b12134.html



 

牛島信

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