無料会員募集中
.政治  投稿日:2026/6/26

「最大の勝者はイラン」ホルムズ危機とG0時代の日本の針路



安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)

 

【本稿のポイント】

  • 元大阪地検検事正による部下女性検事への準強制性交事件をめぐり、森雅子参院議員は「検察から独立した第三者委員会の設置を強く求める会」会長として、刑事裁判とは別に検察組織の検証を求めている。
  • 森氏の立論の核心は「刑事責任と行政監督は別」という点にある。上司・部下の地位関係下での性的行為は、有罪・無罪以前に国家公務員法や検察の倫理に反する行政上のルール違反だと指摘する。
  • 検察側は「公判中」「守秘義務」を理由に慎重だが、防衛省・法務省には刑事手続と並行して第三者委員会・特別防衛監察を実施した前例があり、森氏は「拒む理由の方が、ほとんどない」と訴える。

 


米連邦議会でトゥルシー・ギャバード元下院議員(前国家情報長官)の政策フェローを務めた異色の経歴を持つ深作ヘスス衆議院議員(国民民主党)。Japan in-depthチャンネルで、大国依存の国際秩序が揺らぐ「Gゼロ時代」において、日本は独自の信頼と実績を活かした「積極的和平外交」を主導し、日米同盟を基軸としつつも他国からの「戦略的自立」を勝ち取るべきだと分析した。(Japan In-depth編集部)


👉 対談の全編動画はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=nu6p2BpL6P4

 

「最大の勝者はイラン」――力の空白という逆説

深作氏は、2月からの一連の衝突で「最も成果があったのは間違いなくイラン」と語る。これまで、ならず者国家として扱われてきたイランが、ホルムズ海峡という「のど元」を握ることで国際経済への影響力と交渉力を手にし、グローバルプレイヤーへと変貌したという見立てだ。「力による現状変更」がうまくいかず、むしろ相手の交渉力(レバレッジ)を高めてしまった大きな前例になったと指摘する。

同氏はこうした状況が、北朝鮮でも起こりうると指摘する。核を許さないはずの米国が、北朝鮮を攻撃しないのは「差し迫った脅威とまでは見なされてこなかったから」だと語る。深作氏によれば、ギャバード氏は昨夏から秋の議会証言で「イランは(いまの)脅威ではない」「核開発は止まっている」と政権として報告していたが、大統領の急激な方針転換で「脅威であった」とされたという。力による秩序を逸脱すると空白が生まれ、別の側が力を持つ——日本が北朝鮮と向き合う上でも避けて通れない事実だと語る。

 

「日本が主導的な役割を」ーー積極的和平外交への期待

日本が国際社会の安定のために役割を担うことへの期待も語った。アメリカがイランのアラグチ外相を暗殺する直前まで行きながら、仲介国パキスタンが「カウンターパートがいなくなる」と制止するなどの引き止めによって、「ギリギリのラインが保たれた」と振り返った。こうした中で深作氏は、茂木外相の外交的な取り組みを高く評価しつつも、「日本が和平交渉や外交交渉に主導的に切り込んでいく立場を取れたのでは」と語った。

国際社会の安定をアメリカなどの大国に依存する時代は終わり、日本は外交戦略として積極的な和平交渉に取り組むべき局面を迎えているという。日本には、「経済大国かつ様々な国とのバランスを取りながら築いてきた国際的信頼」という独自の強みがある。

実際、今年3月には外務省に国際和平調停ユニットが新設され、大使館からの問い合わせも殺到しているという。また、議連などを通じた政策議論をさらに加速させ、体制を強化していく必要があると語った。

 

航行の安全確保――問われる日本のリーダーシップ

海峡を封鎖した途端にエネルギーの安全保障が崩れるという現実が明らかとなった今、航行の安全を確保することは非常に重要なテーマとなっている。

深作氏は、日本がこうした海の安全に戦略的に取り組んできた例として、マラッカ海峡を始めとするアジアの海賊対策の枠組み「ReCAAP(リキャップ)」を挙げた。日本が旗振り役となって主導し、初代から事務局長を務めてきた(現在はインド出身者)枠組みで、いまも維持されている。当初は東・東南・南アジア中心だったが、ノルウェーやオランダ、オーストラリアなどとも協定が締結され、国際的な評価が広がっているという。「ある地域で起きたことの影響が、即座に世界各地へ波及する時代に、日本の果たす役割は大きい」と述べた。

 

Gゼロ時代の針路――同盟基軸と「自立」

主導国なき『Gゼロ』時代に、米国に追随するか距離を置くかではなく『メリットをどう取るか』が問われると深作氏は説く。日米同盟を基軸としつつ、いわば『身内』として条件を取る交渉で、いかに国益を最大化するか。エネルギーも経済も、サプライチェーンを自国だけで完結できない以上、中国などへの依存は避けられない。だからこそ各分野での『戦略的自立』をどう担保するかが核心だという。

同氏は、「戦後一貫した『保守本流』の発想がこの時代に変わり得る」と見る。吉田茂や池田勇人らは本来、日本の自立を模索していたが、この80年、日米関係が基軸となる状況があまりにも当たり前になりすぎてきたと語る。「アメリカが不安定化し、国際的課題が複雑化多層化する中で、何が自国の生活と経済に必要かという視点で判断できる環境づくりが必要だ」と訴えた。日米関係が基軸であることは今後も変わらないだろうとしつつ、米国だけでなく他国からの戦略的自立をどう勝ち取るかが、今後10〜20年の政治の大きな課題になると述べた。

もともとイランはイスラム宗教国家であり、その教義はシーア派の十二イマーム派だ。この宗派は、「負けなければ勝ち」という思想が根底にある。これまでの米・イランの協議を見ると、足元を見られているのは、中間選挙を約4か月後に控え、早く戦果をアピールしたいトランプ大統領の方だとの見方が多い。自ら招いた結果と言えるが、協議が滞り、石油の調達先を中東からアメリカなどに急遽変更する必要に迫らている日本だ。ホルムズ海峡における安全なタンカーの航行が完全に保証される日がいつ来るかわからない中、エネルギー安全保障の脆弱性をどう改善していくのかが大きな課題として日本にのしかかる。 

👉 対談の全編動画はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=nu6p2BpL6P4

👉本編で語られたその他の論点
     ・経済安全保障と民間企業の貢献(29:01)

     ・政治家による一次情報発信の重要性(34:46)

     ・対中・対ロ外交と対話の維持(39:58)

     ・コンテンツ外交と「ダブル」という視点(43:09)

     ・教育・格差・AI社会の課題(49:17 / 51:36)

     ・メディアリテラシーと情報社会の今後(58:15)

 

よくある質問(FAQ)

 1.「Gゼロ(Gゼロ時代)」とは?

         A. 国際秩序を主導する突出した国(覇権国)が不在の状態を指す概念です。政治学者イアン・ブレマーが 提唱しました。

   2. ReCAAP(リキャップ)とは?

        A. アジアの海賊・武装強盗対策のための地域協力協定です。2006年に発効し、シンガポールに情報共有センター(ISC)を置いています。

   3.G7エビアンとは?

       A.フランスのエビアンで2026年6月15日〜17日に開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)です。ウクライナや欧州の平和と安全、国際的な危機対応、AIの安全な導入などが主要テーマとして議論されました。

  4.CENTCOM(米中央軍)とは?

      A.米国防総省の統合軍の一つで、中東・中央アジア地域を管轄します。今回はホルムズ海峡の通航状況を公式発表しました。

  5.国際和平調停ユニットとは?

 A.外務省が2026年(令和8年)3月17日付で総合外交政策局に設置した部署です。紛争を未然に防ぎ早期に収束させること、また早い段階から関与し、和平の実現から人道支援・最終的な復旧・復興までシームレスに対応することをねらいとし、和平調停の取り組みに積極的・機動的に関与するとしています。

 

関連リンク

 

写真)国民民主党 深作ヘスス衆議院議員




copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."