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.社会  投稿日:2026/6/21

「主権者はわたしたち」26000人が平和を願う夜


執筆者:Japan In-depth編集部 井上紗希

■本稿のポイント

・憲法9条改正の発議に向けた動きが加速するなか、6月19日夜、国会前には約26000人が集結した(主催者発表)。

・「大人になることを怖がらせないでください」という17歳の高校生によるスピーチが大きな反響を呼んだ。

・参加者の多くはSNSを通じてデモを知ったと答えた一方で、職場の同僚は政治や法律の動きを全く知らないという参加者の声も聞かれ、情報が一部の人にしか届いていない現状が浮かび上がった。

「戦争反対」「主権者はわたしたち」色とりどりのペンライトが揺れる国会前で、2026年6月19日夜、約26000人が声をあげた。憲法改正の発議に向けた動きが加速するなか、市民による抗議運動も広がりを見せている。デモの現場で聞こえてきたのは、17歳の高校生の政治を自分ごととして捉えてほしいという切実な訴えだった。(Japan In-depth編集部)

◆「主権者はわたしたち」国会前に26000人が集結

色とりどりのペンライトが揺れ「戦争反対」「退陣!退陣!高市政権」「主権者はわたしたち」などのコールアンドレスポンスが響く。2026年6月19日、国会議事堂前では憲法改正に反対する『NO WAR!憲法変えるな!6・19国会正門前大行動』が開催され、約26000人が集結した(主催者発表)。

写真)国会前庭南庭近くに設置された簡易ステージ前に集まる人々
出典)筆者撮影

憲法9条の改正は、長年にわたり自民党政権が掲げてきたテーマだ。2026年2月、衆院選直後の記者会見で高市首相が「この国の未来をしっかりと見据えながら、憲法改正に向けた挑戦も進めてまいります」と強い意欲を示したことで、発議に向けた動きは一気に加速した。それに伴い、市民による抗議運動も広がりを見せている。

写真)国会前庭南庭側から見た国会前庭北庭側の写真
出典)筆者撮影

本デモは、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会と9条改憲NO!全国市民アクションの共催による「19日行動」の一環として行われた。

19日行動とは2015年9月19日に安全保障関連法(通称・戦争法)が成立したことを受け、毎月19日に全国各地で同法の廃止や憲法改正反対を訴える活動のこと。この日の集会では、憲法9条改正反対をはじめ、国旗損壊罪や比例代表定数削減など、さまざまなテーマについて抗議の声が上がった。

また、九州に住むLucyさんが立ち上げた全国のデモのスケジュールを掲載するインターネットサイト「デモカレンダー」によると、同日は全国314カ所で関連するデモが開催されたという(6月21日現在)。

◆「でっかい人権持ってる17歳です」震える声で高校生がスピーチ

国会前庭南庭の近くに設置された簡易ステージでは、社民党の福島みずほ議員、立憲民主党の小西洋之議員をはじめとする国会議員や、一橋大学大学院教授の高平奇恵氏、一般市民らによるスピーチが繰り広げられた。

中でも、この日、ひときわ大きな拍手を集めたのは17歳の高校生によるスピーチだった。

「でっかい人権持ってる17歳です」

震える声で話し始めた高校生は、こう続ける。

「僕はもうすぐ18歳になります。成人になります。つい数ヶ月前まで、こんなに未熟な自分が成人として扱われるようになってもよいのだろうかと不安でした。しかし、今はそれに加えて、こんな世の中で成人してしまい大丈夫だろうかと不安になっています」

高校生は改憲され、戦争が始まったら徴兵されるかもしれないと続け、不安を伝えた。

「誰のことも殺したくないし、まだ死にたくない。僕自身やっと少し自分の未来が見えてきたところなんです。やりたいことがあるんです。なりたいものがあるんです。未来を歩むためには平和が不可欠なんです」

「大人の皆さん、政治に、ご自身の生活に関心を持ってください。調べてください。知ってください。そして声を上げてください」

「政治家の皆さん、子どもに、僕たちにこんな世界で成人しても大丈夫だろうかと思わせないでください。(中略)我らと我らの子孫のために改憲反対、戦争反対」

震える声で語られた将来への不安と平和への願いに、会場からは大きな拍手が送られた。

◆デモを知ったきっかけはSNS

千葉県から参加した50代・公務員の女性は、2月の衆院選あたりから高市氏への不安を抱いているという。SNSを通じてデモを知り参加したという彼女は、6月17日に公布された予備自衛官等兼業特例法について、職場の同僚たちの反応をこう語った。

「(法案自体について)全く知ってませんよね、みんなね」

予備自衛官等兼業特例法は、国家・地方公務員が予備自衛官として活動しやすくなるよう兼業規制を緩和することを目的とした法律だ。SNS上では一部ユーザーから「実質的な徴兵制ではないか」と懸念する声も上がっているが、防衛省はその指摘を否定している。

防衛省・自衛隊X 
https://x.com/ModJapan_jp/status/2067179430875910621?s=20

50代女性は、当事者である公務員であっても、法律そのものが十分に認知されていないと感じているという。

また、今回筆者が会場で話を聞いた参加者の多くは、SNSを通じてデモの存在を知ったと答えた。3月からデモに参加し始めたという30代・カフェ店員の女性は「SNSでペンライトデモの広がりと韓国の弾劾デモの様子を見ていて、勇気づけられて参加した」と語る。

デモに集まる人々の多くはSNSで政治や法律の動きを知り、この場に立っている。しかし「職場の同僚は全く知らない」という声が示すように、情報すら届いていない人々もいる。

「大人の皆さん、政治に、ご自身の生活に関心を持ってください」

高校生の呼びかけは、会場の参加者だけでなく、政治を遠い話だと感じている人々にも向けられているように聞こえた。

政治の話は政治家や一部の専門家だけの話ではない。わたしたち主権者の話だ。政治は市民ひとりひとりの暮らしと地続きにある。まずは知ること、考えること、そして必要だと思ったときに声を上げること。ひとりひとりの声が社会を動かし、未来を作っていくのかもしれない。

【よくある質問(FAQ)】

Q1:憲法改正の「発議」とは何ですか?
A:国会が憲法改正案を国民に提示する手続きのことです。衆参両院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成が必要で、発議後は国民投票で過半数の賛成を得て初めて改正が成立します。

Q2:国民投票法改正案とはどのような法律ですか?
A:憲法改正の是非を問う国民投票の手続きを定めた法律の改正案です。今回の改正では、投票の立会人の選任要件の緩和や、憲法改正案の広報放送にFM放送を追加することなどが盛り込まれています。

関連リンク

『NO WAR!憲法変えるな!6・19国会正門前大行動』( #国会正門前大行動0619 #19日行動 #憲法改悪反対 )

戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会ホームページによる本デモの概要。

予備自衛官等の職務の円滑な遂行を図るための国家公務員及び地方公務員の兼業の特例に関する法律

トップ写真)ペンライトや幟を掲げる人々
出典)筆者撮影




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