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.政治  投稿日:2026/8/22

橋本幹彦氏「解決のための対決」 国民民主党代表選、自民党との連立を否定


安倍宏行(Japan In-depth編集長)

【本稿のポイント】

・橋本幹彦衆議院議員は国民民主党代表選で、党の看板だった「対決より解決」から「解決のための対決」への転換を掲げた。

・向き合う相手は立憲民主党ではなく自民党であり、国家像を立てなければ「自民党の衛星政党」になると危機感を示した。

・現状での自民党との連立は「あり得ない」と明言。国家ビジョン・組織・人材の三つが揃うことが政権を担う条件だと述べた。

国民民主党代表選に、玉木雄一郎代表と橋本幹彦衆議院議員が立候補した。8月22日から9月6日まで、2週間あまりの選挙戦である。現職の代表に、党内で最も若い世代の議員が挑む構図だ。橋本氏は1995年生まれ。防衛大学校で公共政策を学び、航空自衛隊の幹部自衛官を経て、2024年の衆院選で埼玉13区から初当選した異色の経歴を持つ。その挑戦者は、玉木路線の何を変えようとしているのか、編集長安倍が争点をぶつけた。

本編動画:https://www.youtube.com/watch?v=Dx8OpWSSb1c

■ 「対決より解決」から「解決のための対決」へ

橋本氏が掲げたのは「解決のための対決」という言葉だった。

まず出馬の理由を聞いた。返ってきたのは、否定から始まらない言葉だった。「玉木路線を否定したいということではないんです」。ただ、と続ける。「玉木雄一郎さんはじめ、先輩方に任せっきりの党で、果たして政権交代できるような、政権を担えるような党になるのか」。自民党に代わる政権担当政党にしたい。それが立候補の最大の理由だという。

では、玉木代表との対立軸はどこにあるのか。俎上に載せたのは「対決より解決」という党の看板そのものだった。あの言葉も、「穏健な多党制」という主張も、立憲民主党という野党第一党がある前提で、そこと違う路線なのだと説明するためのものだったのではないか、というのだ。

「今この段階は、私はもう野党第一党になりつつある段階だ」と橋本氏は言う。だとすれば、しっかり向き合わなければならないのは「立憲民主党との差別化ではなくて、自民党との差別化」になる。

「ここをはっきりさせないと、自民党の衛星政党になってしまうという危機感を持っています」

■ 政策で勝っても、採用されれば手柄は自民党に残る

政策本位の戦い方だけでは政権に届かない。それが橋本氏の見立てである。

「103万円の壁もガソリン減税も、自民党政権ではなかなかできなかった。その通りです」。橋本氏は党の成果をそう認める。実際、所得税の基礎控除と給与所得控除の見直しは令和7年度税制改正で実現し、揮発油税等の特例税率(暫定税率)も令和7年12月に廃止された。

だが、と橋本氏は続けた。「政策を全面に出して戦うと、それを自民党が採用した時に、我々に何が残るのか」。政策の先に置くべきものが国家像だ、という主張である。

橋本氏が掲げる国家像は「自立する故郷、自立する日本」。安全保障で言えば、すべてを米国抜きでやるという話ではない。「自分の国のことを自分で決めることができる。日本が選択肢を持っていられる」状態を指す。エネルギーや重要な装備品など、国の根幹に関わる分野は自国で整備できるようにする、という具体論だ。

その視点から見た自民党政治を、橋本氏は「偉大なる既得権益党」と呼ぶ。業界団体の話を聞いて補助金を配る流れの中に、地方が自ら立つ姿はない、と。

だから「解決のための対決」なのだという。「細かな政策論については協力するところもあるけれども、基本的なスタンスは、自民党に代わるんだというところ」。支持率5%前後で頭打ちの現状を、橋本氏は「野党第一党になりつつある党としての責任なんだろうか」と問うた。

■ 「今の状況で連立を組むことはあり得ない」

高市政権との距離を問うと、答えは明快だった。

「私は、今の状況で自民党政権と連立を組むことはあり得ないと思います」。理由は、国家ビジョンと組織と人材が揃っていないからだ。その状態で与党に入れば「取り込まれるので終わる」。自民党とどんな交渉をしても割れない核となる組織と、その議論に加われる人材の育成。それがなければ連立は組めない、という理屈である。

大連立そのものを否定してはいない。橋本氏はフランスの例を挙げ、本格的な政権交代の前に連立で政権運営のノウハウを吸収する道はあり得るとした。「ただ、今これをやったら国民民主党はなくなりますよ」。

橋本氏が挙げる党の課題は三つある。目指す国家像・社会像が見えないこと。組織が固まっていないこと。人材育成ができていないこと。優秀な地方議員も党員・サポーターも新人議員も揃っているのに、その宝が生かしきれていない。それが組織論の核心だ。玉木代表や榛葉賀津也氏の個人の発信力に頼るだけでは「これ以上はない」とも語った。

国政選挙は2年先までない。橋本氏はその時間を「本当に貴重な時間」と呼び、衆参同日選挙で政権を取りに行く覚悟で組織を作る、と述べた。

党員・サポーターへの最後の言葉は、こうだった。「今回の代表選挙は、国民民主党が5年後も10年後も志を貫ける政党にするのか、それとも自民党の衛星になってしまうのか。ここが問われている選挙です」

本編では、元航空自衛官として見た装備・人員の不足、防衛省を「安全保障省」へ改組する構想、原子力発電所の再稼働まで、争点を一つずつぶつけている。同じ質問は玉木代表にも当てた。二人の答えを見比べて、どちらに党を託すかを考える材料にしていただきたい。

本編動画:https://www.youtube.com/watch?v=Dx8OpWSSb1c

■ 番組で語られたそのほかの論点

・[04:39〜] 党組織の課題ー地方議員・党員サポーターの知見をどう生かすか

・[06:07〜] 熊本地震の災害対応で得た知見を、全国でどう共有するか

・[18:23〜] 元航空自衛官が見た現場ー「共食い整備」、人も弾薬も部品も足りない

・[20:49〜] 安全保障の「自立」とは何かーリアリズムとリベラリズムの両輪

・[23:42〜] 日英伊による次期戦闘機の共同開発をどう評価するか

・[25:00〜] 何のために戦うのかー国防に100点満点はない

・[27:02〜] 国民保護と防災ー避難した先の生活をどう守るか

・[30:16〜] 防衛省を「安全保障省」へ改組する構想

・[39:24〜] 高市政権の17分野への投資と、これからの経済・財政政策

・[41:42〜] 原子力発電所の再稼働、原子力規制委員会のあり方、核融合への投資

・[44:58〜] 憲法改正のスタンスー9条2項と文民統制

・[49:40〜] 解散の時期と、衆参同日選挙への構え

【よくある質問(FAQ)】

Q. 番組で触れられた「日英伊による次期戦闘機の共同開発」とは何ですか。

A. 日本・英国・イタリアの3か国が進める次期戦闘機の共同開発です。防衛省は令和4(2022)年12月に3か国での共同開発を発表し、2023年12月14日には計画を管理する国際機関GIGO(GCAP International Government Organisation)を設立する条約に署名しました(防衛省「次期戦闘機の開発について」)。

Q. 番組で触れられた「国民保護」とは何ですか。

A. 国民保護法に基づく仕組みを指します。同法は「武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための、国・地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置」を定めています(内閣官房 国民保護ポータルサイト「国民保護法とは」)。

Q. 「103万円の壁」の見直しで、所得税の控除はどう変わったのですか。

A. 令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除は合計所得金額に応じて引き上げられ、給与所得控除の最低保障額は55万円から65万円に引き上げられました。原則として令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税に適用されます。

■ 関連リンク

・Japan In-depthチャンネル(YouTube)https://www.youtube.com/@japanin-depth6970

トップ写真:橋本幹彦衆議院議員(20206年8月21日)ⒸJapan In-depth編集部




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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