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.政治  投稿日:2026/8/25

国民民主党代表選 自民党との連立にどこまで近づいたのか


執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【本稿のポイント】

・玉木雄一郎氏は、昨年12月の時点で自民党との「コンフィデンス・アンド・サプライ」に進もうと考えていたと述べた。

・橋本幹彦氏は、連立に近づけば地方の選挙現場が持たず、離党者が出る可能性もあると懸念を示した。

・玉木氏は「選挙のこと考えたら国民のための政策なんかできませんよ」と反論し、組む相手より自党を大きくすることが先だとした。

 

国民民主党の玉木雄一郎代表が、自民党との連立に「近かった」時期があったと述べた。2026823日にニコニコニュース主催で配信された代表選挙の候補者ネット討論会で、橋本幹彦氏の質問に答えたもので、昨年12月の時点で、予算に賛成し内閣不信任案には賛成しないという「コンフィデンス・アンド・サプライ」に進もうと考えていた、という内容である。同じ日の午後、大阪府での党主催の討論会でも政党間連携が問われた。

 

【動画①】候補者ネット討論会 主催:ニコニコニュース 橋本幹彦 候補(衆議院議員)玉木雄一郎 候補(衆議院議員)【国民民主党代表選挙2026】(主催:ニコニコニュース、2026年8月23日配信) https://www.youtube.com/watch?v=hheXfcWUujU
【動画②】【LIVE配信】国民民主党代表選挙2026/候補者討論会(大阪府)(国民民主党公式YouTubeチャンネル、同日配信) https://www.youtube.com/watch?v=tH3e91MTYl4
【動画③】【ReHacQvs国民民主党代表選挙2026】激論!政権担うためどう党改革行う?【玉木雄一郎vs石丸伸二vs中室牧子vs西田亮介vs高橋弘樹】 https://www.youtube.com/watch?v=e9dnUvjM3Y4

 

玉木雄一郎氏は、連立にどこまで近づいたと述べたのか

「近かったと思いますよ」と答えた。問うたのは橋本氏である。「国民会議の中間取りまとめ以前、昨年12月以降から中間取りまとめのこの期間で、連立の状態よりも連立に近かった状況はあるんでしょうか」。区切りに置かれた「国民会議」は、内閣官房に置かれた社会保障国民会議を指す。同会議が中間とりまとめを公表したのは2026年7月29日だ

玉木氏は時期を特定して答えた。「昨年12月18日の103万円の壁の引き上げということについて高市総理と合意した時には、もうあの時点で来年度予算・税制……当然それには賛成しますということを、その時にもすでに申し上げたんですね」。

コンフィデンス・アンド・サプライとは何か

コンフィデンス・アンド・サプライ(Confidence and Supply:C&S)とは、政権に加わらない政党が、内閣の信任と予算に賛成することを約束する仕組みである。玉木氏はこの用語を自ら持ち出した。

「これは連立ではないんですけれども、予算と、そして不信任案には賛成しないという、この2つを組み合わせた、いわゆるコンフィデンス・アンド・サプライというのは1つの連携のあり方なので、連立ではありませんけれども、少なくともC&Sには進もうかなということをあの時点で考えていたことは事実です」。

英国下院図書館の調査資料は、これを「政権に加わらない政党が、信任投票と予算の採決で政権を支持することに同意し、政権が財政運営を確保できるようにする取り決め」と説明する。閣僚を出さない点で連立と異なる。

日本の制度に当てはめると、支える側が押さえるのは二つの条文である。予算は衆議院に先議され、参議院が異なる議決をしても衆議院の議決が国会の議決となる(憲法60条)。内閣不信任案が可決されれば、10日以内に解散されない限り内閣は総辞職する(同69条)。予算に賛成し、不信任案には賛成しない。この二つが守られている限り、政権は続く。

*玉木氏はその後の変化にも触れている。「主要政策が受け入れられなくて、ただただ連立に入ります、ポストが欲しいということは我々取りませんから」「あの頃から比べると随分距離とか、あるいは信頼関係というのが低下したなというのが正直な印象ですね」。

距離が縮まったことの帰結についても、玉木氏は語っている。同じ8月23日にビジネス動画メディア「ReHacQ」が公開した候補者個別の回で、支持率が伸びない理由を問われた場面だ。「我々に対する期待の多くは経済政策だったのかなと思ってます」。昨年12月に高市首相が103万円の壁の引き上げなどを受け入れたことを挙げ、こう続けた。「ある意味高市政権の経済政策と同質化が進んだというところは、だったら同じこと言ってるんだったら与党である高市さんでいいんじゃないの、ということがあったことは、これは否めない事実ではないかな」。政策が通ったことが党の輪郭を薄めた、という自己分析である。

橋本幹彦氏は何を懸念したのか

選挙の現場が持たないこと、そして党が割れることである。橋本氏は全国の候補者を引き合いに出した。「全国各地で厳しい選挙を戦っている仲間がいます」「国会において連立に近い形で自民党と一緒になっていくということは、その現場で頑張ってこの国民民主党の良さを伝えようとしてる人たちにとっては、かなり苦しい状況になると思いますが」。

連立そのものは否定していない。「私は連立を100%否定するものではないんです」と述べ、フランス社会党が政権を取る前に大連立を経た例を挙げた。問題にしたのは順番である。「今の国民民主党の状況で連立することによって、この国民民主党という組織がガタガタになってしまう、人材もボロボロになってしまう。中には、連立に入るんであればということで離党される方もいる可能性もあると思います」。そのうえで条件を挙げた。「国家ビジョンと組織と人材、この3つの要素がない限り、私は連立は組めないと思いますけれども」。

玉木氏はどう反論したのか

選挙を基準に判断し始めれば政策は実現できない、というのが玉木氏の 答えだった。「いや、選挙のこと考えたら国民のための政策なんかできませんよ」。

根拠に置いたのは結党時の理念である。「自分たちが多少議席を減らそうが何しようが、国民のためになる政策を実現するっていうのが、2020年9月に決定した私たちの魂ですよ」「選挙で勝つこと、自分の首が繋がること、政治家の就職活動にしないというのが私たちの綱領の理念ですから」。

さらに玉木氏は 、「15人でスタートした政党が53名になって、橋本さんも受かったんですよ」と述べ、自党への懸念を口にした。「今の国民民主党に危機感を感じてるのは、当初もう本当に背水の陣で、今日も明日も生き残れるかどうか分からない、もう毎日毎日必死でやってきた、その危機感と必死さが失われてるんじゃないのか、というのが私の1番の実は懸念です」。

では、どの党と組むのか

玉木氏は「あんまり自民党を意識する必要はない」と述べ、橋本氏は自民党に代わる勢力を作ることが先だとした。同じ8月23日の午後、大阪府での党主催の討論会でも政党間連携が問われた。会場からの質問は、自民・維新か、立憲・公明・中道のグループか、それとも参政党かと、選択肢を並べるものだった。

橋本氏は現実から始めた。「今の国政の状況において政策実現しようと思ったら、自民党に賛成してもらうしかない」。例に挙げたのは自身が関わった法案だ。国民民主党・無所属クラブの会派所属議員が提出した「インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する法律案」は、政府提出の国家情報会議設置法案と一括で審査され、2026年4月23日の衆院本会議で否決された。それでも橋本氏は「筋のいいことをずっと言い続けていく。そうすると自民党がコピーしていく」と述べ、否決された法案の要素が自民党側の提言に入ったと主張した。長期的には「対決より解決」から「解決のための対決」へ、というのが橋本氏の立場である。

玉木氏は、相手を軸に考えること自体を退けた。「あんまり自民党を意識する必要はないと思っていて」。自民党の出方に反応するのではなく、国民にとって何を成し遂げるかでまず考えるべきだ、と述べた。 そのうえで、組む相手より自党の規模だとした。

「どこと組むにしても、政策実現を主導する立場じゃないとダメです」。そして「その時にうちがちっちゃいと結局飲み込まれるんですよ。だから今どことやるってよりも、うちが大きくなるしかないです」。

二人が分けたのは何か

政策実現を先に取るか、党の体力を先に整えるか、である。玉木氏は議席を減らしてでも政策を取ると言い、橋本氏は党が割れれば政策も続かないと言う。どちらも政策本位は捨てていない。分かれたのは順番だった。

もっとも、二つの会場を重ねると距離は見た目より狭い。玉木氏も「うちが大きくなるしかない」と述べており、組織と人材が先だという橋本氏の主張と重なる。違うのは、その途中で来る機会をどう扱うかである。

コンフィデンス・アンド・サプライは閣僚を出さない分だけ連立より軽い。だが選挙区の現場から見れば、与党との距離は連立と区別がつきにくい。玉木氏は信頼関係が「低下した」と述べており、同じ選択がいま目の前にあるわけではない。ただし2028年7月の参議院選挙で野党第一党を目指すと明言している以上、判断はその過程で再び問われる。

 

番組で語られたそのほかの論点

・【ネット討論会】29:27〜 高市政権の経済政策への評価

・【ネット討論会】38:38〜 地方自治と憲法改正

・【ネット討論会】42:36〜 食料品消費税1%と給付付き税額控除

・【ネット討論会】47:30〜 社会保険料と、年金の受給開始年齢

・【ネット討論会】54:44〜 ICC・赤根智子所長への米国の制裁

・【ネット討論会】58:47〜 2027年度防衛費概算要求と「新しい戦い方」

・【ネット討論会】1:28:08〜 党運営の改革と「成田三原則」

・【大阪府】43:08〜 地方財政と住民税減税をめぐる応酬

・【大阪府】57:23〜 「成田三原則」と労働組合への依存

・【大阪府】1:01:26〜 若者の政治参加と主権者教育

・【大阪府】1:19:38〜 東京一極集中の是正

・【大阪府】1:24:24〜 現役世代の社会保険料負担

 

【よくある質問(FAQ)】

Q.社会保障国民会議とは何ですか。

A.内閣官房に置かれた会議体で、2026年2月26日に第1回が開かれました。下に「給付付き税額控除等に関する実務者会議」と有識者会議が置かれ、2026年7月29日に中間とりまとめを公表しています。

 

Q.国民民主党代表選挙の投票はいつ締め切られますか。

A.党の代表選挙管理委員が8月23日の大阪府での候補者討論会で説明したところによれば、郵便投票は9月3日の到着分まで、インターネット投票は9月3日24時が締め切りです。投票用紙はすでに発送済みで、届かない場合は8月26日から党ホームページに設置予定のフォームで受け付けるとしています。

 

関連リンク

Japan In-depthチャンネル(YouTube)

・[関連記事]国民民主党代表選 代表と総理を分けるべきか 「総総分離」論

ReHacQ 玉木雄一郎候補回(2026年8月23日公開)

ReHacQ 橋本幹彦候補回(同日公開)

・[関連記事]国民民主党代表選 代表の発信は個人か党か 玉木・橋本両氏の論争

 

(本稿のポイント、リード、FAQの文責:Japan In-depth編集部)

 

トップ写真:橋本幹彦候補(左)、玉木雄一郎候補(右) 2026年8月23日 大阪

出典:ⓒ国民民主党




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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