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.国際  投稿日:2014/9/16

[宮家邦彦]【イスラム国と戦争状態の米国】宮家邦彦の外交・安保カレンダー(9月15 – 21日)


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

執筆記事プロフィールblogWeb

 

今週の原稿はウラジオストクから成田に帰るS7航空便の中で書き始めた。S7とはロシアのシベリア航空のこと。ウラジオストクまで飛行時間は二時間弱、この極東ロシアの街は結構ディープだ。御関心ある向きはこちらのコラムをご一読頂きたい。

http://jbpress.ismedia.jp/search/author/%E5%AE%AE%E5%AE%B6%20%E9%82%A6%E5%BD%A6 

ウラジオストクで一番辛かったのはロシア語以外のテレビが見れなかったことだ。欧米での対ISIS包囲網や日本での朝日新聞社長会見などをめぐる大騒ぎをフォローできなかった。5日間日本を不在にしただけなのに、この情報飢餓感は怖いくらいだ。

15日のイラク支援会議はISISに関する会議となったが、具体的成果はあまりない。要するに、今や米国は「ISISと戦争状態(at war with ISIS)」にあり、地上軍こそ派遣しないが、何故かイラクでは「米歩兵なき」米軍部隊が既にISISと戦っているのだ。

米軍の精密誘導兵器による空爆には米特殊部隊の全面的関与が必要だし、7月初旬にはシリアで「デルタ・フォース」が対ISIS人質救出作戦を実行した。イラクにも恐らく1000人を超える米特殊部隊兵士がいるだろう。米軍要員なしに戦えないイラク軍だが、将来米軍が再び撤退したらどうなるのだろう。理解に苦しむ今日この頃だ。

こうして欧米がISISで大騒ぎしているのにエアフランスの従業員は15-22日にストライキを予定している。何を考えているのか。欧州といえば、今週18日にスコットランド独立に関する国民投票があるが、先週書いたので繰り返さない。

今週はウクライナのポロシェンコ大統領が活発に動く。16日にはEUとの連合協定が批准され、17日にカナダ、18日以降は国連総会に出席、オバマ大統領とも会談する。ウクライナはNATO加盟を求めているようだが、どうなるだろうか見物である。

その18日にNYではイランの核疑惑に関する会合も開かれるが、今は誰もがISISに忙殺されており、イラン核開発どころではなさそうだ。19日にはそのISIS関連の会合が米国主催で開かれる。こちらの方が15日のパリ会合よりも重要かもしれない。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

http://www.canon-igs.org/blog/security/

 

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