[Ulala]【犯罪が身近・子供に危険な仏】~幼児に一人歩きさせぬ事が一番の防犯対策~
Ulala(ライター・ブロガー)「フランスUlalaの視点」
先日、デンマークの生活にうんざりして帰ってきたフランス人の愚痴を聞いてたのだが、その内容に考えさせられた。「10歳の子供達を付き添い無しで、公園で無防備に遊ばせておくのよ。幼い年代の子をほっとくなんて何考えてるの?あの親達の感覚が信じられなかったわ。」
彼女が住んでいた地域はフランスより治安がよかったのだろうが子供達だけで外で自由に遊ぶことができたのだ。だがその光景は、子供を常に見守ってなくてはいけないフランス人から見ると異様に映り、親達が怠慢していると感じたようだ。
日本でも子供が一人で公園に行ったりお友達と遊んだりすることは普通だが、フランスに来るとそんな自由は子供にない。毎日学校まで送り迎えは当たりまえで、下校後も子供が保護者無しに外で行動することはなく、友達の家にも送り迎えし、公園には誰かが付き添う。小学生以下の子供が一人で道を歩いていることなんて絶対あり得ないのだ。
フランスに来た当時この様子を見て「過保護過ぎなのでは?」「子供達の自由度が少なくて自立心も育たないしかわいそう」と思った。しかし、フランスに何年か住み始めると考えが変わってきた。というのもフランスは日本に比べて危険が多い。
子供と毎週行く習い事のあるすぐ横の道は、以前バラバラ死体で発見された中学生が殺された場所。友達の家の近所には子供を誘拐し監禁していた女性のアパートがある。子供が将来通うだろう高校の校門の前では外部の若者にナイフで刺される事件発生。知人の大学生の息子さんは大学の駐車場で車を出たところで殴られてひったくりにあった。
そんな環境の中で、子供を一人で歩かせたり公園に行かせることなど、とても考えられない。犯罪が身近に溢れていて子供に危険が及ぶ可能性が常にあることを感じるのだ。
しかし最近は、それは日本でも他人事ではないだろう。子供に関する事件は日々起っており、神戸の6歳の女児殺害事件は記憶に新しい。子供が下校後に一人で出かけていて起こった事件に恐怖を覚えた保護者も多いだろう。確かに日本ではこういった事件が起こるたびに、努力を怠ることなくいろいろな防犯対策広めてきた。
・登下校時の安全を守るため住民ボランティアによる見守り隊の発足
・不審者の情報を、警察が保護者らにメールで速報するシステム
・衛星利用測位システム(GPS)付きの携帯電話
しかしそれでも万全の対策は難しく今回のような事件が発生する。
神戸の事件に対しても盛んに報道がされていたが、「今後は子供自身の安全意識を高める教育が必要になる」と締めくくっている記事を何件か見た。子供自身で身を守ることはとても大切な事だとは思うが、それはある程度の年齢になってからの話で6歳の子にどこまで効果があるかは疑問だ。
結局、一番の問題は、子供が一人で出歩いていることなのではないだろうか?
避けられない事故もあるかもしれないが、送り迎えを徹底するなど子供を一人にしなければある程度の事件は避けられる。一番の防犯対策なのは間違いないのだ。
まだまだ日本の治安はいいがそれでも100%の信用はできない時代にもなってきている。子供達が自由に行動できることはメリットも多く、できれば治安を維持して残してほしいと思うと同時に、なるべく子供を一人にしない努力はするべきだろうと思う。また家庭の感覚によって自由度も違い、一人で長時間過ごしている子供達もいるが、そういった子供達に対しては何か別な方法を取るべきだ。
日本も今は昔とは違う。本気で対策をしないとまた悲しい事件が起こってしまうかもしれない。 何かあってからでは遅い。過保護と言われようが子供を守ることの方が大切だと思うのだ。
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