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.経済  投稿日:2015/1/2

[Ulala]【政府は所得格差の解消に動け】~非正規の待遇改善に期待~


Ulala(ライター・ブロガー)「フランスUalaの視点」

執筆記事Twitter | Website

景気が回復してきていると言われつつも、実感できないと言う声が多い日本だが、企業は積極的に雇用を進めている。総務省統計局の労働力調査によると日本の11月の完全失業率は3.5%であり、去年と比べても改善しているのだ。

これは、同様に不況にあえいでいヨーロッパ諸国からみればすごい数字だ。フランスの失業率は10.5%。11月にまた過去最悪記録を更新し、フランス国立統計経済研究所(INSEE)によると2015年の6月末には10.6%になると予想している。

しかも、日本では失業率の低下だけではなく新卒の就職率も伸びている。厚生労働省と文部科学省の報告からも2015年3月卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)が前年同期比4.1ポイント上昇し68.4%。高校生の就職内定率(10月末時点)も前年同期より7.0ポイント高い71.1%で20年ぶりの70%越えになるなど、景気回復が若者の就職率に反映されており、明るい兆しが見えてきているようだ。

しかし、ここには落とし穴があった。なんと、11月の非正規雇用数が2000万人と言う大台を超えた。非正規労働者数の統計を取り始めた1984年以降、同調査で2000万人を超えたのは初めてだと言う。

順調に雇用が回復しているようで、それは賃金が低い非正規雇用が増えている結果。そこには、日本の一番の利点であった「格差のない社会」が崩壊した原因が見えてくる。

かつて日本も1980年代には、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国であり目覚ましく成長していた。2003年までは国民総中流と言われるほど格差が小さい状態が続いていたのだ。そんな日本の経済発展を支えたのは「日本型雇用」と言われる新卒採用や終身雇用制などだか、現在はそんなシステムもすっかり壊れ、非正規な働き方が増えた。

多様な働き方ができると言う点では非正規雇用は良い面も多いが、問題は「同一労働・同一賃金の原則」が守られない点だ。非正規雇用労働者の待遇は正規社員と比べて悪いことが多く、その結果、働いても豊かになれないワーキングプアが増えるなど、日本社会全体に格差と貧困が拡大したのだ。

2014年12月9日のOECDニュースによると「所得格差を是正すれば経済成長は活性化される」と最新の分析で示されたそうだ。所得格差の縮小している国は所得格差が拡大している国より速く成長すると分析されている。

「格差の解消」それは経済発展を促すにも、無視できない大きな課題なのだ。

格差の少ない社会を実現するには、非正規の待遇改善も視野に入れて行かなくてはいけない。2015年には労働者派遣法の改定が予定されており、非正規の正社員化が促進も期待されているが、もちろんそれだけでは今の状態と大きく変わらないだろう。

アベノミクスで経済が復活し始めているのに恩恵を感じられない。2015年はそんな層も豊かさを感じられる効果的なアクションをぜひ期待していきたい。

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