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.社会  投稿日:2014/11/15

[Ulala]【裕福でも幸福度は悲惨な日本】~新しい価値観の中で「幸福」を見直す大切さ~


Ulala(ライター・ブロガー)「フランスUlalaの視点」

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米シンクタンクのピュー・リサーチセンターが2014年に行った「幸福度」の調査で、なんと、日本は先進国で最下位と言う結果が出たそうだ。しかも、英タブロイド紙のデイリーメールは、この調査結果を受け「イギリスなどの裕福な国は満足度が高い」にもかかわらず「裕福な国でもフランスや日本などは悲惨」とダメ押し。

この調査は世界43か国の国民に対し、アンケート形式で「生活の満足度」について質問し、「最も良い生活ができている場合」は「10」「最悪な場合」は「1」で評価される。その値が「7」以上の割合で「幸福度」を算出している。

しかし、砂漠でやっと貴重な水が飲めた時の幸福感と、日本で普通に水道を捻って飲んだ時の幸福感が違うように、幸福度と言うものは「絶対的」なものでなく、「相対的」なものに過ぎない。よって各国の個人の主観的幸福度を並べて順位を付けることにはあまり意味を感じないが、幸福と感じる項目や、幸福度の推移自体は興味深い。

幸福についての研究をハーバード大学で10年以上続けている心理学者のショーン・エイカー氏によると「幸福は、より良い成果を上げるための重要な要因であり、成功へと導くもの」だそうだ。経済がよくなれば幸福度も上がるが、幸福度は経済を押し上げる要因にもなる。

「悲惨」と名前を上げられたもう一つの国フランスだが、それでも幸福度は数値的には日本よりいい。しかし2002年も2007年も57%と高数値だったのにもかかわらず2014年は51%に下がっているのだ。フランスは自国のブランドイメージ展開などで国民の幸福度をあげることに成功していたが、経済低迷が続き2014年1月に消費税(TVA:付加価値税)が上がることになった。各項目によって税率は違うが、酷いものになると7%から一気に20%上がったものもある。また失業率の増加や、オランド大統領への不信感も募っており、そういった影響を受け幸福感が減少したと思われる。

それに対して日本は、震災があり、同じく2014年には消費税も8%に上がったのにもかかわらず2007年は41%だったのが、2014年度は43%となり幸福度は上がっている。

日本は高度成長期は今より幸福度・満足度が高かったが、バブル期には頂点に達した後、バブルがはじけて不況の中、下降していったのだ。しかし現在は幸福度がゆるやかに上がってきている期間でもあり、この上昇傾向が続いて欲しいと思う。

経済が低迷していた上に震災で被害が大きかった日本だが、震災をきっかけに家族の絆や社会貢献に興味を持つ人も増え、生き方の価値観が変わった人も多い。このことが幸福度を上げるのに影響しているかもしれない。最近ではマイホーム購入のハードルが高い都会から、比較的手ごろな値段で大きな家が買える地方に移り住み、幸福感を増幅させている人もいると言う。

このような形で個人の幸福感が高まれば、「消費税が8%から10%に上がっても景気が落ち込むことなく経済回復!」とまではうまくいかないかもしれないが、外部からのネガティブな刺激があっても、自分が持っている目標を達成する活力になるだろう。

自分自身の幸福とは何かを考え直してみたり、見方を変えることで今よりもっと幸福になれる要素が日本には豊富にある。日本人自身の主観的幸福度では低く点数を付けられがちな幸福度だが、外国から観た「幸福そうな国」というアンケートなら、まだまだ日本は上位に行くのではないだろうか?今までの価値観を捨てて新しい価値観を持ち、その中で幸福を実感することが大切なのかもしれない。

(参考)
・Daily Mail Online  http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2813751/Survey-Asia-finds-money-brings-happiness.html/

・Pew Research Center
http://www.pewglobal.org/2014/10/30/people-in-emerging-markets-catch-up-to-advanced-economies-in-life-satisfaction/

 

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