[Japan In-depth 編集部]【知的障がい者虐待問題で施設理事長辞任】~東京都、改善状況指導を約束~
知的障がい者への虐待。表面に出ないこの問題が27日、東京都議会でまた取り上げられた。
この問題は、東京都西東京市にある社会福祉法人知的障がい者施設「たんぽぽ」(社会福祉法人「田無の会」)の入居者への虐待事件に対し、社会福祉協議会から13年前に改善申し入れがあり、長年の苦情相談に加え、公益通報まであり、都の行政処分がなされたにもかかわらず、改善指導や措置命令が繰り返されてきたものだ。
この施設においては、平成14年(2002年)に社会福祉協議会から厳重注意、改善申し入れが行われてから11年後の平成25年(2013年)6月、虐待が事件化するなど、問題が長期化している。東京都は同年9月に行政処分を行い、理事長ら幹部の責任の明確化や職員の意識改革などの改善策を求めてきた。
しかし、運営は改善されなかったとして、平成27年(2015年)2月20日には西東京市が行政処分である「改善措置命令」を出した。そうした中、「たんぽぽ」の前理事長及び理事が突然退任した。この問題を取り上げ続けてきた無所属の上田令子議員は、27日に行われた都議会で都の姿勢を質した。
これに対し、福祉保健局長の梶原洋氏は、「都および西東京市は3月20日を期限としてそれぞれの改善勧告、改善阻止命令に対する必要な改善措置を求めている。理事長交代したとしてもその中のサービスは真に利用者のものなっているかの状況を確認しなくてはならないのは私たちの当然の仕事であります。したがって今後とも引き続き西東京と連携し改善状況の指導を行いながら関係法令に基づいた厳選な対処法を行ってまいります。」と述べた。
上田議員は新理事長体制下、運営が改善されるかどうか、今後も調査していく、としている。
しかし、都民からしてみるとこうした議場のやり取りだけでは、実際に現場でどのような問題が起きているのかはわからない。問題は、障がい者など弱者が公的な施設の中で、どのような待遇を受けているのか、透明化されていない、ということだ。
我々住民の税金を投入し、運営されている施設ならば、その運営は完全に透明化されるべきであり、もし、内部、外部から問題があると指摘された場合、管轄している東京都が説明責任を果たすべきであろう。
身近な問題であるにもかかわらず、自分たちが住む基礎自治体の政治に目を向けないのは私達有権者の怠慢である。声を上げることのできない社会的弱者が差別や虐待から無縁な社会の実現に向け、今改めて私たちが自分たちの住む町や市などの政治に目を向けることが必要だ。私たちの町を少しでも住みやすく、人に優しいところにするために。