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.社会  投稿日:2015/2/24

[山田厚俊] 【LGBTカップルに養子を認めよう】~経済波及効果も期待~


山田厚俊(ジャーナリスト)

「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」

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約2年半まえの2012年7月、経済誌『週刊東洋経済』が「知られざる巨大市場 日本のLGBT」、『週刊ダイヤモンド』が「国内市場5.7兆円『LGBT市場』を攻略せよ!」を特集した。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取ったもので、性的マイノリティのことだ。

それによると、人口の約5%の規模でLGBTは存在するといわれ、この年の2月に電通総研がLGBT当事者の消費行動や生活意識を調べたところ、約6兆円もの市場があることが分かったというのだ。

「LGBTの人たちの中には、弁護士や一流企業で働く“高所得層”が多い。今回渋谷区が、行政で初の試みとして同性パートナーの証明書発行の条例案を提出するが、可決成立して4月から施行した場合、経済的にもいい波及効果が期待できます」

以前からLGBTを取材しているジャーナリストはこう語る。高所得で流行に敏感な人がLGBTには多く、他地域からの移住者も多くなるだろうというのだ。たとえば、渋谷区で同性婚パーティが行われるようになったとする。いくつものLGBTカップルが結婚式を挙げることが予想され、彼らの“ハデ婚”は大きな盛り上がりを見せるだろうという。

単に経済効果だけでLGBTを認めた方がいいといっているわけではない。性的マイノリティが自分たちの価値観と合わないというだけで排除することはおかしいというのが、基本の中にあり、たとえば経済の面から見てもいいことがこんなにもあるんだと、それぞれの特集は示している。

将来的には、LGBTのカップルが養子縁組で子どもを育てられる、そんな社会像が望ましいのではないか。堕胎、虐待、さまざまな理由で命を失ったり、親がいないまま育ったりする子どもたちがいる。不妊治療で子どもが授からない人たちとともに、養子縁組の制度をもっと広げLGBTカップルにも養子を認めていくことが少子化対策にも繋がるのではないか。

もちろん、容易なことではない。長い時間をかけて議論しなければならないだろう。しかし、議論すら避けている時代ではない。多種多様な価値観を認めた上で、どのような国をつくっていくのかが問われている。

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