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.国際  投稿日:2013/11/28

[島津衛]中国軍の実力を分析する①〜資料から見る戦力[現役自衛官の国防・軍事ノート]


gazou150

ペンネーム・島津 衛(防衛大学校卒、現役自衛官)

執筆記事

②へ続く

 

近年、急ピッチで強化されているとされる中国の人民解放軍。本稿では、その実力を公表されているさまざまな資料をもとに分析してみたい。

[戦略]

中国軍は「軍事力のハイテク化、情報化」を基本方針として急速な近代化を図るとしている。領域は、陸海空に加え宇宙・サイバーという「5次元空間」だ。軍種別にその方向性を見ると、陸軍は区域防衛から「全域機動」へ、海軍は「戦略的抑止・反撃力」を向上、空軍は国土防空から「攻防兼備」へと変革を進めている。また、第2砲兵(戦略ミサイル部隊)も「戦略抑止力」を向上することとしている。

[通常戦力]

中国軍の通常戦力をみると(『ミリタリーバランス』)、数は圧倒的だ。陸軍は兵員160万人、戦車7,400両、海軍は艦艇877隻(うち潜水艦71隻)、空軍は戦闘機1,090機(うち第4世代機370機)、爆撃機約80機、対地攻撃機335機に達する。すべてにおいて数ではわが国を凌駕している。

[注目すべき戦力]

中国軍の脅威はそれだけではない。敵国を混乱させ、侵攻条件を作為するサイバー攻撃能力も高い。「プロジェクト2049研究所」報告によると、サイバー戦を担当する人民解放軍総参謀部第3部は約13万人の要員を擁し、12のある作戦局のうちの一つは日本と韓国に照準を合わせていると言われている。

さらに、ミサイルだ。いわゆる弾道ミサイルを1,200発以上保持している。SRBM(短距離弾道ミサイル)が6発あれば3,000m級の滑走路を使用不能にできる(戦闘機は最短400mで離陸可能であるため完全に使用不能にするには6発必要とされる)が、中国は沖縄が射程に入るものを400発以上保持しているとみられる。

これで那覇基地と嘉手納基地を攻撃すると、わずか12発で南西地域の航空基地は使用不能となり、たちどころに航空優勢を奪われてしまうだろう。また、わが国を射程に収める巡航ミサイルについても約2,000発保持している。わが国の弾道ミサイル対処能力は充実しつつあるが、巡航ミサイルはその軌道から発見が難しいため、わが国としても早急に対策を考える必要がある。

また中国軍は、弱いとされていた情報収集能力も近代化を進めている。宇宙を活用した監視を行うため、偵察衛星・通信衛星を急速に増やしている。とくに、「遙感9号」は艦艇の探知能力をもち、「天鏈1号」は地球規模での情報伝達能力をもっている。これらによって、海上などからの中国への接近をリアルタイムで把握できる態勢ができつつある。また、無人偵察機も急速に増やしており、東シナ海でも運用を行っているものとみられる。

さらに、敵国に侵攻するための能力として、海軍陸戦隊が約1万人、これに加え水陸両用師団を3個師団保持している。これらを運ぶため、ドック型揚陸艦1隻、大型揚陸艦87隻、揚陸艇151隻を保有しており、これらを総動員すると、人員約3万8,000人、戦車890両を同時に輸送することが可能だ。本年10月には「使命行動-2013B」と呼ばれた演習で、長距離機動を行った後の着上陸演習を陸軍・海軍陸戦隊とも行っている。ちなみに陸上自衛隊は九州・沖縄に人員約2万人、戦車約50両しか保有していない。②へ続く

 

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