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.政治  投稿日:2015/4/4

[細川珠生]【「選挙権18歳に引き下げ」の問題点】~主権者教育の必要性~


「細川珠生のモーニングトーク」2015年3月28日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

執筆記事 | プロフィール

ゲストは毎日新聞専門編集委員の与良正夫氏。“主権者”という大切なテーマについてお話を伺った。

今話題になっているのは選挙権を18歳に引き下げる法案。このままいけば今国会で成立し、早ければ来年の参院選から18歳の投票が実現する。高校3年生の一部が投票に行くことになると聞くと驚く人もいよう。「18歳はまだ大人ではない」という意見も依然として多い。

与良氏は「18歳を大人にする教育、或いは18歳を大人にする授業がこれからだ必要だ。」と述べ、自身が10年以上前から主張してきたことがやっと議論され始めたことを評価した。「中学高校で制度は覚えるが、今動いている生の政治を考える機会は全くない」と与良氏は指摘し、主権者になるための教育、即ち“主権者教育”の必要性を提言した。

今、若者の低投票率が問題になっている。最初選挙に足を運ばなかった若者はその後もずっと行かない傾向にあり、格差の固定化を助長する。学校教育の中で、選挙の大切さを教えていかなければならない。

2月の国会では、安倍首相が「主権者教育を進めてまいります」と宣言した。与良氏はそのことに感慨深さを感じながらも、「問題は中身」と話す。神奈川県では、松沢知事時代に、高校生に主権者教育をするという目的で、模擬国会・模擬投票が取り入れられた。「そういった取り組みが教育に取り入れられないことには、与えられた方の18歳も困ってしまう。」と細川氏は指摘した。

全国的にも、模擬投票の試みは広がっている。さらに、選挙年齢引き下げに向けて、副読本を作ろうという話も出ているという。英語・道徳などカリキュラムが増える中、どれだけ力を入れられるのかは未知数だが、与良氏は「とても必要な授業だと思う」とその重要さを訴え、アメリカでは、大統領選のために小学生高学年から選挙に関する議論をしているという例を紹介した。

選挙権年齢と同時に議論となるのが、成人年齢についてだ。「成人」とは何か、という問いに対し細川氏は「主権者として、きちんとした教育を身につけること=成人」だと述べると共に、政治に対してきちんと意見を持つことが、「大人になる」ということだという考えを示した。

「民主主義の基本は人の意見を聞き、私はこう考えると意見を言う中で、一致点を探していくこと」と与良氏は話し、相手の意見を敵対視するのではなく、一致点を見つけていくことの重要性を説明した。日本が主権者教育を進めていくために、具体的には、「ドイツがお手本になるのではないか」と与良氏は提案した。ドイツでは、授業のやり方なども中立性を担保するため、しっかり緻密にマニュアル化しているので、参考にできる部分は多いだろうとのことだ。

まずは、「何故選挙にいった方が良いのか」から始めなければいけない。成人式で模擬投票コーナーを作るなど、興味を持たせることも大きな一歩だ。18歳への選挙権付与は日本にとって大きな改革だ。それに向けて何をしなければならないか、できるところからやっていくことが大切だ。

(本稿は、ラジオ日本「細川珠緒のモーニングトーク」2015年3月28日放送の内容を要約したものです)

 

細川珠生のモーニングトーク
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時5分~7時20分

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