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.国際  投稿日:2015/12/15

[古森義久]【ヒラリー候補の強力対抗馬、急浮上】~米・大統領選:対日同盟支持者、共和党マルコ・ルビオ氏~


 古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

執筆記事プロフィールBlog


マルコ・ルビオ氏HPより ©https://marcorubio.com/

混迷の続くアメリカ大統領選挙で共和党若手候補のマルコ・ルビオ上院議員が新たな脚光を浴び始めた。最新の世論調査で民主党の本命ヒラリー・クリントン候補と対決した場合、ルビオ候補が勝つという見通しが出たからだ。ルビオ候補は中国に厳しく日本を支援して、尖閣諸島の領有権も日本に帰属すると明言することで知られている。

12月14日に公表されたアメリカのNBCテレビ・ウォールストリート・ジャーナル紙合同の全米世論調査では合計なお14人もが乱立する共和党側候補が2016年11月の本番選挙で民主党側のクリントン候補と対決した場合、その支持率はどうなるかが主眼とされた。

その結果によると、クリントン候補がドナルド・トランプ候補と一対一の対決をした場合、一般の支持は50%対40%で、クリントン候補が確実に優勢という展望が明らかとなった。ところがクリントン候補が同じ共和党側でもルビオ候補と対決した場合は45%対48%の支持率の差で、ルビオ候補には負けるという数字が出た。とくに民主党支持でも共和党支持でもない無党派の有権者の間の支持率ではクリントン候補37%、ルビオ候補44%と、7ポイントもの差をつけられていることが判明した。

同じ世論調査ではクリントン候補は共和党側の上院議員テッド・クルーズ候補に対しては48%対45%で優位だが、元神経外科医のベン・カールソン候補に対しては47%対46%でわずかながら不利という結果が出た。

共和党側の指名争いではこれまで暴言や放言を繰り返すトランプ候補が各種の世論調査で一貫して首位に立ってきた。この状況は共和党側の主流派や従来からの支持者の間で「民主党の指名候補となることが確実なクリントン氏と決戦をしたときに、どうしても不利となる」という懸念を生んできた。共和党主流派がそのかわりに推すのはルビオ候補やジェブ・ブッシュ候補だが、44歳の若手で上院議員としての経験も着実なルビオ氏への期待はとくに強くなっていた。今回、公表された世論調査の結果はそうした期待をさらに強めることとなりそうだ。

ルビオ候補はいま44歳、キューバ移民の両親を持ち、上院外交委員会では東アジア太平洋小委員会の中枢として活躍してきた。政策面ではとくに中国のサイバー攻撃や海洋膨張に厳しく、オバマ政権の対応を軟弱だとして非難してきた。ルビオ候補はまた対日同盟の強力な支持者としても知られ、尖閣諸島への中国公艦の日本領海侵入を不当だと抗議し、「尖閣諸島は歴史的にも現実としてもその主権は日本に帰する」と言明してきた。

ルビオ候補は共和党各候補のなかでこれまで支持率では2位から4位の間に一貫して位置してきたが、今回の世論調査では「ヒラリーを破りうる共和党候補」としてさらに注目を集めることとなろう。

マルコ・ルビオ氏テレビCM https://youtu.be/mSWwz7dXUP8

※トップ画像:©https://marcorubio.com/ キャプチャ

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