「日本の未来を語る」トップランナー対談 産婦人科医の宋美玄さん
Japan In-depth 編集部 庄司江里子
シリーズ4回目のゲスト、産婦人科医の宋美玄氏、婦人科系疾患の予防啓発でシンクパール代表の難波氏とも一緒に活動している。宋氏は2児の母、現在下の子は生後5か月だ。
宋氏は「女性活躍と少子化対策というのはすごく難しい」と言う。
少子化対策や女性の活躍が推進されている昨今。働かないといけない、しかし一方で子供を産み育て、更に仕事復帰をしなくてはならい、という女性特有の育児と仕事を両立させることの難しさについて「これらの問題は民間だけでなく、政治の力を借りないといけないと思う。」と宋氏は述べた。
これに対し、難波氏は、女性活躍という文脈と育児支援、保育支援という文脈で主役が違うことを指摘。育児支援は子供が主役であるべきなのに、(女性活躍の)文脈と重ね合わせることで(問題が)複雑になってしまう、と指摘した。宋氏は、「行きづらいと考えることもできるが、やりたいことを望めば他人からどういわれるか気にせずやり遂げられる時代だと思う。」と述べた。
また難波氏は、「一億総活躍」の「活躍」に対し、女性がイメージできていないという問題を指摘。宋氏も「働いているのが活躍なのか、子育てしているのが活躍なのか。子供産んでないといけないかというとそんなこともない。したくないことまで強制されることはないんじゃないか。」と述べるなど、女性の活躍は多様なものであるべきとの考えを強調した。
では政治はこの問題に関してどうあるべきなのか。宋氏は、最近直面した問題として、第二子が保育園に入れなかったことを挙げた。子供を産み育てる環境の中で、保育園に預けたいのに預けられない問題が、女性の活躍を阻害している、と述べた。
今の社会は、産みたい人が欲しい数の子供を産めているわけでもない。この少子化問題を解決するには、多方面の対策が必要となり、そのような視点を持った人が政治決定のために重要であるにもかかわらず、今その場に女性が少なすぎる、と宋氏は指摘した。
女性の活躍できる社会を実現するためには、総合的な社会環境の整備と女性自身の政治参画が重要になってくるであろう。
最後に宋氏は“難波美智代に期待すること”として、「女性が、自分自身の体を自分で自主的に管理できるような社会を作っていってほしい」と述べるとともに、ライフプランを実現できるために今ある障害を女性の視点で排除していって欲しい、と期待感を示した。