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経済  投稿日:2016/4/28

【ついに電力小売全面自由化がスタート】~メディアが報道しない自由化のデメリット~

20160525
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  Japan In-depth 編集部

 4月1日、ついに電力小売全面自由化スタート。CMなどを目にする機会も増えたが、消費者にはまだその仕組みがピンと来ない。エネルギー問題に詳しい国際環境経済研究所主席研究員の竹内純子氏を迎え、電力自由化の実態について聞いた。

 そもそも自由化によって何が変わるのか。電気に限らずであるが、国民生活に影響を与えるインフラは政府の規制の下に置かれる電気については地域の電力会社が独占する代わりに、安定的な価格で電気を供給していた。「もっと市場に任せれば、多様な事業参入者が競争し電気料金が安くなることを期待されて始まったのが小売自由化。」と竹内氏は解説した。

 あまり知られていないが、実は2000年から企業向けの電力自由化始まっていた。これにより、総発電量の6割は自由化されていたが、家庭や小さなユーザーは電力会社を選ぶことができなかった。今回の自由化で、全ての企業や個人が、電力をどこから買うかことが出来るようになる。竹内氏は、「(今回の自由化は)正しくは小売の全面自由化。」と強調した。

 自由化によって電気代は安くなるのか。竹内氏は、「規制していたものを市場に任せるので、原理原則的には高くなることもあるし、安くなることもある。当初は若干下がると思う。長い目で見たときにどうなるか。」と分析し、他国の例を見ても、一概に安くなるとは言えないことを説明した。

 選び方については、比較サイトがあるので、そこで自身の家族の人数や地域、ライフスタイルを入力して、幾つかの小売り会社のプラン比較してみるのがお勧め。」と竹内氏。また、「この事業者がいいかも」と目星をつけても約款を読まないとわからない部分もある。「サイトで見るだけでなく電話して聞いてみる。対応の感じで信頼できそうかどうか確認するのもお勧めする」と述べた。

 ケーブルテレビやインターネットとセットで割安になるプラン等、セット割りで売り出している事業者も多いしかし、小売り事業の新規参入者は都市に集中しているという。「国民全てが選択できるわけではなくて、都市と地方で、あるいは、世帯の構成によって格差が生じてくる。一人暮らしで電気の使用量が少ない場合などはあまりメリットが無いだろう。メディアでは自由化の光の部分ばかりで、負の部分は報道されない。」と、竹内氏は懸念を示した。

 また、携帯など電気と関係の少ないものをセット割にしている事業者もいる。「電気は一回契約したらなかなか変えない。電気とセットにすると安定したビジネスになるという狙いがある。」と竹内氏は指摘した。こうしたビジネス戦略は当然考えられることでありセット割りを否定するものではないが、消費者はその背景を理解したほうがいい」と述べた。

 既に自由化を行っている諸外国ではどのような結果をもたらしているのか。ヨーロッパでは、90年代後半から市場統合が行われ、電力小売事業は国営企業から全面自由化した。イギリスは自由化の影響だけでなく、北海油田枯渇等の他要因もあるものの、電気代が倍になってしまったドイツは再エネ導入支援のコストや税金の影響が大きいものの値上がり幅が大きい自由化した諸外国で自由化によって電気料金が引き下げられたと長期的に言える例は殆ど見られない。」と竹内氏は指摘し、報道を鵜呑みにしないよう警告した。

 どのようなタイミングで自由化をするかというのも重要なポイントだ。ヨーロッパでは、自由化以前、国営企業が供給責任を全て負っていたため、停電などが起きないよう、余裕を持って設備を作っていた設備率発電設備容量/1年間で最も電気を使うタイミングで必要とされる発電設備容量は150%近くに上り、供給過多な状態になっていたため、自由化は事業者をダイエットさせる効果が高かった。「日本では原発が稼動している状態であれば、スリム化の意味があるが、現状は毎年夏冬の前に、3の予備率確保できるかを確認しているという状況だ。」と竹内氏は指摘する

 誤解している国民も多いが、電力の小売り事業者変えると停電が増えるなどということはないしかし、各社がコストダウンを優先することにより、今までのようにきちんとメンテナンス行われなくなるのではないかという懸念もある。

 電力自由化により再生可能エネルギー普及拡大は進むのか現在、再生可能エネルギーは、選択する、しないに関わらず、電気代に載せて再エネ発電賦課金を消費者が負担していると、竹内氏は説明し自由化によって普及拡大に弾みがつくことはあまり期待できないとの見通しを示した。ちなみに再エネ発電賦課金は、2012年は標準家庭で数十円だったが、今では600円以上に上がっている。

 最後に万能なエネルギーはない。竹内氏は語り、一つの発電方法に期待するのではなく、現実を見てきちんと整備していくことが重要だと述べた。

(この記事は、ニコ生Japan In-depthチャンネル4月13日放送の要約です)

トップ画像:ⓒJapan In-depth 編集部

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