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政治  投稿日:2016/4/30

豪時期潜水艦日本落選の裏側

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   山田厚俊(ジャーナリスト)

「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」

「当然とはいえ、ホッとした。もし決まっていたら、とんでもないことになっていた」

 こう語るのは、民間防衛産業関係者。オーストリアが4月26日、2030年代初めから運用する次世代潜水艦12隻について、フランス政府系企業「DCNS」に発注すると発表したことを受けての一言である。日本は、安倍晋三首相のトップセールスで一時は本命視する声も聞かれたが、あえなく敗れた格好だ。しかし、残念がるでもなく、安堵するとはどういうことか。自民党関係者は語る。

 「安倍首相は2014年、武器輸出三原則に代わり、防衛装備移転三原則を策定し、防衛装備庁を設置したことで武器輸出が進むと安易に思っているようですが、全く違っていて、やらなくてはいけない法整備がたくさんある」

 たとえば、どういうことか。自民党関係者はこう続ける。

 「潜水艦の設計図面は、国家機密であり、防衛省が管理しているもの。現行の法律では、他国に情報開示できないわけで、共同開発や現地生産などムリに近い」

 現地に開発工場を設置し、従業員の現地雇用を条件に挙げるオーストラリアの要望には、そもそも応えられなかったというのだ。加えて、冒頭の防衛産業関係者はこう語る。

 「日本の海上自衛隊の潜水艦『そうりゅう』は、三菱重工業と川崎重工業が製造していましたが、そんな法整備も追いついていない中、技術指導に出るだけでメリットはないプランでした。さらに、20年単位で海外で行うビジネスとしては、為替リスク、政治リスクも担保しなければならない。それが全く語られないまま、受注したら丸投げになり、赤字を被るのは民間になってしまう。怖くてやりたくありませんでした」

 そんなことを安倍首相は分からずに、ただやみくもにトップセールスをしただけだと、前出の自民党関係者は嘆息する。

 「本来、イニシアチブを取るのは防衛省の役割。しかし、今回は外務省、経産省も加わり、連携もままならなかった。トップセールスをするなら、この3省をコントロールすべきところ、何もやっていなかった」

 国のトップがセールスに行ったものの、その後は足並みが揃わず、法整備も進まなかった。中国陰謀論や防衛機密保護論が一部報道で飛び交ったが、実態は“安倍首相の独り相撲”だという。つまり、オーストラリアの判断は、「さまざまな情報を精査して、当然の帰結」(民間防衛産業関係者)だったのである。

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この記事を書いた人
山田厚俊ジャーナリスト

1961年、栃木県生れ。東京工芸大学短期大学部卒業後、建設業界紙、タウン紙の記者を経て95年4月、元大阪読売社会部長の黒田清氏が代表を務める「黒田ジャーナル」に入社。阪神・淡路大震災の取材に加わる。震災取材後、事務所から出向する形でテレビ制作に携わる。黒田氏死去後、大谷昭宏事務所に転籍。2002年から週刊誌で活動を始める。2009年2月、大谷昭宏事務所を退社。フリー活動を開始。週刊誌をはじめ、ビジネス誌、月刊誌で執筆活動中。

山田厚俊

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