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スポーツ  投稿日:2017/1/3

新年読後感、「進化論」と「リーダー論」


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)

今年から読んだ本をブログに書いていくことにしました。一冊めはこれです。

The FUTURE is WILD

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人類が死滅したという前提で2億年の間に生物がどう変化するかというのを専門家とともに妄想した本です。

鳥類が全滅して、代わりに魚類が空中を支配していたり、跳ぶカタツムリがいたりと、びっくりすることばかりですが、よく考えてみたら今の多様性が自然選択によって生まれたと考えるとありえない話でもないなあと思いました。

進化論の話で僕が好きなのは、生存戦略が、個体の生存ではなく、種全体としての生存に有利なことを考えさせられるからです。今でもアリなんかは女王蟻から生まれる子供のために働きアリはせっせとは働くわけですが、自分と同じ遺伝子を共有する種がつながっていくならばそれで問題ないわけです。滅びや、生存の概念が人間が言うよりも少し大きいように感じます。

例えば個人や組織が死んでも、結果として種が生き残る(人間社会の場合は遺伝子ではなく文化的遺伝子memeで考えるべきなのかもしれませんが)戦い方は、組織や個人を生き残らせるやり方とだいぶ違うように感じます。

本当に魚が空を飛ぶようになるのかなんてのは誰にもわかりませんが、今の環境に適応しきった種が死に絶え、余白を残していた種が再適応し生き残るというシナリオには考えさせられました。スポーツでは早すぎる適応と言いますが、ある状況に適応しきると、次の環境変化には適応できなくて結果として競技人生トータルでは負ける可能性があるという話です。余白は大事ですね。

興味のある人は読んでみてください。イラストがあって楽しいです。

 

Whyからめよ!

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Whyから始めよ、読了。

ビジョナリーカンパニーに近いんですかね。要約すると、なぜ社会を動かすリーダーは人をインスパイアして、人が自ら動こうと思うのか。それは“なぜそれをやるのか”から言動や行動がスタートしているからという話です。自分のこれまでの行動を振り返って、反省しながら読みました。

よく東洋と西洋のスポーツ指導の話で、型文化というものが引き合いに出されますが、これはシンプルに言うと、頭を下げていればいずれ感謝の気持ちがわくという話と、感謝をしなさいそうすれば自然と頭がさがるでしょうという違いと言えると思います。行動すればいつか理解できると、理解しなさいそうすれば行動するでしょうの違いとも言えます。

まずなぜやるのかを考え、そして行動するというのは西洋的なのかもしれませんが(時期的なものもあるかもしれませんが、かなりジョブズを引き合いにだしています)、型文化は意味を求めずひたすらにやる方向に行きがちなので、そもそも何のために自分や組織は存在するのかを都度考えることは大事だなあと思いました。

参考になったのはwhyを突き詰める人は、ビジョナリーではあるが実務家ではない可能性があるという話です。その場合はHowをやれる人、つまりどうやればそれが実現できるのかを考える人をちゃんとパートナーに選びなさいという話が書いてありました。やはり一人では物事を成し遂げられないですね。

北風と太陽の話で、太陽に共感する人は、楽しめると思います。

為末大 HPより/「Future is wild」「 Whyから始めよ」)


この記事を書いた人
為末大スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役

1978年5月3日、広島県生まれ。『侍ハードラー』の異名で知られ、未だに破られていない男子400mハードルの日本 記録保持者2005年ヘルシンキ世界選手権で初めて日本人が世界大会トラック種目 で2度メダルを獲得するという快挙を達成。オリンピックはシドニー、アテネ、北京の3 大会に出場。2010年、アスリートの社会的自立を支援する「一般社団法人アスリート・ソサエティ」 を設立。現在、代表理事を務めている。さらに、2011年、地元広島で自身のランニン グクラブ「CHASKI(チャスキ)」を立ち上げ、子どもたちに運動と学習能力をアップす る陸上教室も開催している。また、東日本大震災発生直後、自身の公式サイトを通じ て「TEAM JAPAN」を立ち上げ、競技の枠を超えた多くのアスリートに参加を呼びか けるなど、幅広く活動している。 今後は「スポーツを通じて社会に貢献したい」と次なる目標に向かってスタートを切る。

為末大

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