.国際  投稿日:2017/1/24

トランプvsメディア 国民が犠牲に

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宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー#04(2017年1月23-29日)」

今週からトランプ政権、というかトランプ氏による「ワンマン劇場」が始まる。TPPは仮死状態、「バイ・アメリカン」、「エンプロイ・アメリカン」もスローガンとしてなら良い。だが、米国の企業が外国に出れば関税をかけるとか、日本では米国車が売れないのは不公平などと言われても、全く話にならない。WTO協定との関係はどうなるのか。

トランプ氏はCIAに出かけていって、先週の就任式の一般参加者数について米国のメディアを批判していた。やはり恐れた通り、トランプ氏は「統治モード」にギアを切り替える気はなく、今後も徹頭徹尾、「選挙」、「キャンペーン」モードを続けるのだろう。どうやら、それだけは間違いなさそうだ。

〇欧州・ロシア

23日にフィロン仏共和党大統領候補がドイツのメルケル首相と会談する。24日にはイタリアの最高裁が新選挙法の合憲性について、英国の最高裁が英国のEU離脱の合法性について、それぞれ判断を下すという。26-27日にはユーロ加盟国がギリシャ問題について議論する。欧州では、なぜ時間がかくもゆっくり進むのだろうか。

〇東アジア・大洋州

27日から旧正月が始まる。韓国は30日まで、中国では2月2日までが休みになるらしい。という訳で今週、東アジアは静かだが、23日から27日まで東京で自衛隊が中台軍事衝突を想定した図上演習を行い、在日米軍がオブザーバーとなるという。今回は単なる可能性ではなく、現実となり得るから怖い。

〇中東・アフリカ

23日にカザフスタンのアスタナでロシア、トルコ、イランの三国がシリア和平問題を議論する。シリア問題はジュネーブで議論している筈なのに、なぜ今アスタナなのか。この背景には、ロシアとトルコの両大統領の合意がある。このアスタナ会合はジュネーブ協議を補完するものだというが、実態はロシア・イランにトルコが加わったのだろう。

いずれにせよ、ロシアがシリア問題を本気で解決するとは思えない。ロシアの目的はシリアを未解決にし続けることで、米国に対するロシアの協力の価値を高め、最終的には、ウクライナ、クリミア問題で始まった経済制裁の解除を米国に認めさせることだ。その意味でもトランプ氏はプーチン大統領にとって「鴨が葱」である。

〇南北アメリカ

トランプ氏と米国メディアの戦争が深刻化している。このままガチンコを続ければ、犠牲者が出る。誰が犠牲になるかは現時点ではわからないが、最終的に被害を被るのは米国民だろう。しかし、トランプ氏は気にしていないらしい。彼は「大統領」であり、確信犯的に政策を実行し始めている。当面は誰もこれを止めることは出来ないだろう。

〇インド亜大陸

26日にUAEアブダビの皇太子がインドを訪問する。アブダビとインドが意外に近いことはあまり知られていない。そういえば、アブダビに限らず、湾岸諸国では多くのインド人が中間管理職として働いていたことを思い出した。

 

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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この記事を書いた人
宮家邦彦立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表

1978年東大法卒、外務省入省。カイロ、バグダッド、ワシントン、北京にて大使館勤務。本省では、外務大臣秘書官、中東第二課長、中東第一課長、日米安保条約課長、中東局参事官などを歴任。

2005年退職。株式会社エー、オー、アイ代表取締役社長に就任。同時にAOI外交政策研究所(現・株式会社外交政策研究所)を設立。

2006年立命館大学客員教授。

2006-2007年安倍内閣「公邸連絡調整官」として首相夫人を補佐。

2009年4月よりキヤノングローバル戦略研究所研究主幹(外交安保)

言語:英語、中国語、アラビア語。

特技:サックス、ベースギター。

趣味:バンド活動。

各種メディアで評論活動。

宮家邦彦

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