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.国際  投稿日:2017/2/9

呆れた反日プレリュード 慰安婦問題は序の口? その1


大高未貴(ジャーナリスト)

 

■韓国が次に仕掛けた「恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島は地獄島?!」

昨年の夏、『軍艦島デジタル・ミュージアム』を訪れた。世界文化遺産にも登録されたことだし、一度は軍艦島に上陸したかったのだが、遊覧船の予約が間に合わず、長崎市内にある『軍艦島デジタル・ミュージアム』で上陸気分だけでも味わおうと訪ねてみたのだが、想像以上に楽しかった。巨大なスクリーンには、活気溢れる最盛期の島内の様子から廃墟に至るまで、島内の様子があますところなく写しだされ、容易に昭和時代にタイムスリップできる装置が工夫され、お気軽“軍艦島体験”にはもってこいの場所だった。

軍艦島の模型の前で色々と説明してくれた館内の男性の話も面白かった。なにしろ軍艦島で育った当時を知る生き証人だから色んな質問にも気さくに答えてくれた。「若い人のデート場所のメッカはビルの屋上でした。というか、ここしかなかったので争奪戦でしたよ」、「島民の生活は、当時の水準からすれば、かなり裕福なものでした。島民全体が大家族のような雰囲気があってお祭りなんか本当に楽しかったですよ」。

もちろん炭鉱での事故など痛ましい記憶もあったであろうが、栄枯盛衰含め日本の近代化を支えた軍艦島は、戦前戦後を逞しく生き抜いてきた日本人と朝鮮人とが共有できる記憶の場として存在していたはずだ。少なからず私はそう思っていた。

ところが今年になって新年早々、知人から『恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島』(ウリ教育)と題した絵本のコピーを渡され、目が点になってしまった。それは韓国が慰安婦問題の次に“強制連行”“強制労働”などを新たに対日情報戦として仕掛けてきたことが明白なものだったからだ。戦時徴用云々は1965年締結された日韓基本条約における日韓請求権協定で個人請求権は消滅している。にもかかわらず、さらに蒸し返しをはかろうとしていることがみえみえだ。

韓国語と日本語で書かれた絵本の内容の一部を紹介したい。

『戦争を引きおこし狂気の沙汰であった日本は、朝鮮半島から幼い少年たちまで強制的に日本に連行したのです』といった書き出しで始まる絵本は、主人公ソェドリという名の12歳の少年が『地獄の軍艦島』に強制連行され、劣悪な環境の中、幼い少年たちは犬の餌よりひどい食事しか与えられず、劣悪な環境下で毎日12時間働かされ、少しでも休むと日本の監視兵のむちに打たれて血が噴き出して肉がちぎれたという。

日に日に同胞が死にはじめ、脱出を試みる。逃げた同胞は見せしめのため、夜通し拷問されて心身ともにボロボロになるのだが、翌朝には石炭掘りをしなければならなかった。やがて1945年8月9日、長崎に原爆が落とされ、『一度入ったら二度と抜け出せない地獄島“軍艦島”。日本は、朝鮮の少年たちにこの島から出る機会を一度だけ与えました。死の街と化した長崎に連れていき、後始末をさせたのでした。結局、わが同胞少年たちは、全身に放射線被害を受けて徐々に死んでいきました』

実際に軍艦島で生活体験がある方に事実検証を伺うと、こんな指摘をしてくれた。『12歳は入坑禁止でしたから主人公の少年が12歳ということはありえません。たしかに食事が少なかったことは事実でしょうけど、“犬の餌よりひどい”ということはないし、日本の監視兵に鞭打たれたとありますが、監視兵などいなかったですし、第一、こんな拷問されたら翌日労働などできるはずがありません』。

そして、この荒唐無稽な絵本に、民族問題研究所・植民地歴史博物館建設委員長で歴史家・李離和(イ・イファ)氏がこんな後書きを寄せている。朝鮮半島が『日本の植民地支配を受けた時、日本は我が国の金のような資源を奪っていき、成人と青少年そして女性たちも強制的に連れて行って酷使しました。軍艦島に連れていかれた少年たちは地下炭鉱で苦しい労働をしながら飢え死にしました。その余波で今も民族と国が南と北にわかれて争っています。私たちはこうした歴史を正しく知って統一を実現しなくてはなりません』

北朝鮮主導による朝鮮半島統一をあおる北の思惑を見事に代弁している。いずれ日朝国交回復がなされる際、日本から巨額の戦後賠償金を引き出すため、可能な限り日本人に歴史認識の贖罪を負わせておくことは得策だ。実際には日本が朝鮮、台湾、満州に置いてきた残置資産の総額は外務省の記録をもとに概算すると約70兆円にもなるのだが・・・

そして前述した絵本の最後に『原爆投下の後始末のため朝鮮人の少年たちが長崎に連行されて死んでいった』とあるが、軍艦島の証言者は『原爆が落ちて7日目ぐらいに長崎に後片づけの仕事に行ったが、道路はある程度整理されており、死体などはなく1泊して軍艦島に戻った』と指摘した。歴史問題を対日戦後補償請求カードにするためには針小棒大な虚偽が必要なのであろうが、あまりにも悪質だ。ちなみに絵本の原作者尹ムニョン氏は『我らの独島から来た手紙』『平和の少女像』などの著作もある。

この原稿を執筆している最中、こんなニュースが飛び込んできた。『慰安婦「平和の少女像」に続き、強制徴用労働者像がソウル付近に設置される見通しだ』(「韓国市民団体、「強制徴用労働者像」設置推進へ」朝鮮日報2017年2月2日)。やはり慰安婦問題の次に日本を襲う悪夢は強制労働か?韓国の市民団体と称する北朝鮮工作部隊の暴走はとどまるところを知らないが、今度こそ日本側も毅然とした対応が必要だ。

(その2に続く。本シリーズ全2回)

 


この記事を書いた人
大高未貴ジャーナリスト

1969年東京生まれ。フェリス女学院大学卒業。世界100カ国以上を訪問。チベットのダライラマ14世、台湾の李登輝元総統、世界ウイグル会議総裁ラビア・カーディル女史、パレスチナガザ地区ではPLOの故アラファト議長、などにインタビューする。またアフガン問題ではタリバン全盛の98年にカブール単独潜入し、文芸春秋などに貴重なルポを発表。『イスラム国残虐支配の真実』(双葉社) 『日韓”円満”断交はいかが?女性キャスターがみた慰安婦問題の真実』(ワニ新書)『強欲チャンプル 沖縄集団自決の真実』(飛鳥新社)中国・西安発 イスタンブール行き 女一人1万2千キロ シルクロード横断の紀行『冒険女王』(幻冬舎文庫)など著書多数。

大高未貴

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