.政治  投稿日:2017/2/19

「テロ未然防止法」成立急げ

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「細川珠生のモーニングトーク」2017年2月18日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(大川聖)

今国会で成立する見込みの組織犯罪処罰法改正案について、若狭勝衆議院議員(東京10区・元東京地検特捜部副部長)に政治ジャーナリスト細川珠生氏が話を聞いた。

「組織犯罪処罰法改正案により、一般の人々はテロを防ぐため、あるいはテロが起きたときに迅速な捜査ができ犯人を捕まえ易くなるのではないかと期待しているが?」と細川氏が聞くと、若狭氏は「この改正案により、国際組織犯罪防止条約(TOC)の締結が可能になり、犯人の外国との引き渡しがスムーズに行えるようになるという点で、非常に効果がある」と述べ、テロ等準備罪を含む改正案に一定の評価を示した。

「他方で、テロ等準備罪を創設することでテロの防止に役立つと思われると大きな誤解、ミスリーディングである」と懸念を表明した。

そして若狭氏は、テロ等準備罪を認めるための要件を2つ挙げた。1つは、複数人でテロを計画する、いわゆる「共謀すること」。2つ目は航空チケットを購入する等「準備をすること」だとした。その上で若狭氏は、「計画・共謀」をどのような証拠で認定するかという点が非常に難しい、と指摘した。

「例えばオウム真理教地下鉄サリン事件で、最終的にはいろんな人を共犯として共謀があったとして起訴し、処罰したが、そこに至るまでに長時間の関係者の取り調べがあって初めて共謀に基づいて起訴できた。」(若狭氏)

「今回のテロ等準備罪というのは今まさにそこで共謀があったとリアルタイムに認定しなければいけない。その認定の為の証拠はまずない。計画に加わった人が、改心・反省し、(他の人と)計画していたと詳細に述べるなら計画があったと認定可能だが、それは現実的ではない。こういう裸のテロ等準備罪、共謀罪を作ったとしても現実に裁判官が逮捕令状を出すことはありえない」と述べ、今回の法改正だけではテロ対策としての効果が乏しいとの懸念を示した。

次に細川氏が国内のテロ防止のためにやらねばならないことを聞くと、若狭氏は「日本はテロ未然防止の基本的な法整備がなされていなかった。」と指摘。実際にテロが起きている諸外国と比較しても「日本は法整備が全くないといっても過言ではない。テロ対策においては『ループホール』、いわゆるテロ対策の『抜け穴』だといわれ兼ねない、かなり危機的な状態」とし、3年後に迫った東京オリンピックに向け、テロを未然に防ぐための法整備が急務であるとの考えを強調した。

具体的にどのような法整備が必要か、細川氏が聞くと若狭氏は、「諸外国の標準的な制度をそのまま日本に持ち込んでも、日本では人権問題が強く意識されているので日本用にアレンジした形で制度化していかねばならない。」と述べた。

具体的には、「諸外国では行政判断だけで、令状なしの身柄拘束が進んでいるが、日本ではそれは抵抗がある。そこは、身柄拘束後直ちに令状を裁判官に求め、審査の後、令状を出してもらう。つまり、『事後的速やかな令状を伴った事前の身柄拘束』という形にする。

また、テロリスト同士のやり取りは、裁判官の令状に基づき通信傍受し情報を入手する。今まさしくテロ起こしそうな人をみすみす通り過ごさせるわけにはいかない。情報があったら事前に身柄拘束し、直ちに裁判官から令状を貰うという、日本的な法整備が必要になる。」と述べ、諸外国とは違った独自の法整備が必要だとの考えを示した。

また「今の法制度はあくまで実際に殺人等が起きたあとのシステムだが、テロは未然に防がねばならず、そうした法整備をしないと大規模テロは防げない。」と警鐘を鳴らした。

細川氏が、テロの抜本的対策を含む法案の国会提出のタイミングについて尋ねると若狭氏は、東京オリンピックまでの短い間に法制化する必要があり、「1つは議員立法が考えられ、秋の臨時国会中に法案化することを目指している。」とした。また、国民の理解を得るためには「(テロ未然防止法を)東京オリンピック・パラリンピックまでの時限立法としてでも成立させるべきだ。」と述べ、法案提出に強い意欲を示した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年2月18日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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