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.政治  投稿日:2017/6/25

ミサイル反撃能力次期防衛予算に 佐藤正久議員


「細川珠生のモーニングトーク」2017年6月10日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(大川聖)

【まとめ】

・北朝鮮のミサイル発射技術の向上著しく、脅威高まっている。

・日本もイージス・アショア等の反撃能力持つべき。

・自分の国は自分で守る、という気持ちを国民が持つことが大事。

北朝鮮は、5月10日の韓国文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任以来、4週連続でミサイルを発射している。日本のEEZ(排他的経済水域)内に着弾、高度を上昇させる、いわゆるロフテッド軌道(Lofted trajectory)による発射に成功する等、ミサイル発射能力向上も指摘される中、今後日本は外交・防衛面でどうすべきか、政治ジャーナリストの細川珠生氏が自民党参議院議員で参議院外交防衛委員長の佐藤正久氏に話をきいた。

 

■外交強化の必要性

「今後、日本はどのように対処していくべきか」との細川氏の質問に対し佐藤氏は「日本は軍事で解決できないので、日米連携の枠組みの中、外交を強めていくことが大事である」と述べ、外交圧力を強めることの重要性を強調した。又、「多くの国々が北朝鮮に対して外交を強めて行こうという流れが(出てきたことは)、日本にとってプラス。」と述べた。

 

■日本も反撃能力持つべき

北朝鮮の度重なるミサイル発射に対し、細川氏が日本の反撃能力について問うと佐藤氏は「飛んで来たミサイルをいかに抑えるか。座して死を待つのは専守防衛ではない。一部の反撃能力を持たなければ抑止にならないという議論があるのも間違いない。」と述べ、ミサイルの脅威に対し、反撃能力を持つことを検討すべきだとの考えを強調した。

また、「周辺国のリーダーがどちらかというと内向き、あるいは不安定であるという要素がある。そういうなかでやはり自分の国を自分で守るためには防衛力を高めることが必要である。」と述べ、自国を守るための防衛力強化の重要性を改めて強調した。

北朝鮮のミサイル開発と発射技術は日々向上している。佐藤氏は「まずはミサイルが日本に届く前に撃ち落とすため、イージス艦やPAC3(パックスリー)で盾の部分を厚くしなければならないのは当然である」と述べた。

さらに、「一番の抑止は(相手が)撃ったら、(こちらからの)撃ち返しが沢山あることだ」と述べ、相手に“攻撃しても意味がない”と悟らせることが重要だとの考えを示した。そのため「今は100%アメリカに頼っている反撃能力を一部でも日本は持つべきであると考えている」と述べた。

細川氏は「これだけの脅威にさらされ、少なくともアメリカよりは近い距離で日本は狙われている。国民にもこういう時期だからこそ賛意が得られるだろう。しかし具体的に進めていくとなると予算が必要である。来年度の予算を増やす等、具体的な話はあるのか」と質問した。これに対して佐藤氏は先日行った安倍総理への提言内容を明らかにした。

・発射されたミサイルの新たな迎撃の手段としてイージス艦のミサイル迎撃システムを地上に配備する“イージス・アショア(Aegis Ashore )”の導入や、韓国で話題になったTHAAD(サード:終末高高度ミサイル防衛システム Terminal High Altitude Area Defense missile)の配備

・人工ミサイルのような反撃システムの装備。

を検討すべきである、とした。

イージス・アショアやTHAADは「盾の部分を厚くするために必要であり」、「イージス・アショアは来年度の概算要求に入れるべきと働きかけているところである」と述べた。また、敵基地を攻撃するには、目標情報を送ったり撃った後の評価をしたりするために、軍事衛星が必要になることから、「時間がかかる。」と述べた。

一方で、抑止力を「検討する動きをみせないと相手も怖がらない、と防衛省には言っている」。と述べ、敵基地反撃能力の整備を加速させる必要性を強調した。

 

国民はミサイルの脅威を認識すべき

「今後北朝鮮が更に挑発を強めてくると予測するか」と細川氏が質問すると佐藤氏は「北朝鮮の一番の目的は今の金正恩体制をアメリカに保障してもらい、朝鮮戦争の休戦協定を平和条約に変えたいということ。アメリカと交渉したいがアメリカもそう簡単には応じない。アメリカが話にのらなければ挑発は続くだろう」との考えを示した。

北朝鮮は今年3月6日に能登半島沖に4発発射した。翌日の北朝鮮の報道では金正恩氏が視察する様子が掲載され、ミサイル発射経路を示した地図には日本の上に半円が描かれていた。佐藤氏によるとすでに「西日本は射程圏内である」ことを示しているという。

「(国民は)北朝鮮のミサイルの脅威が現実の世界であると考えて対応すべきである」と述べ、細川氏も国民がミサイルの脅威に対して現実的に捉えられていないことを重視し、国会での議論の重要性を指摘した。

北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル:アイシービーエム:Intercontinental Ballistic Missile)の発射実験も遠くない、との予測もあり、アメリカも北朝鮮を意識して5月30日にICBMを迎撃する実験をした。

アメリカとしては北朝鮮が米本土攻撃能力を擁する前に対処したいが、最悪のケースを考えて迎撃の準備を始めた。「これがリアルワールド(現実世界)である。」と佐藤氏は述べ、日本の北朝鮮に対する姿勢の現状に懸念を示した。

そして、日本は「日米同盟を基軸にしながらいかに備えをしっかりやるかだ」と改めて防衛力の強化の必要性を強調した。また、先日アメリカの空母との日米共同訓練を例に挙げ、「動的抑止、日米がよりプレゼンスを高める、こういう形で連携を強めることが一つの抑止にもつながる」と述べた。

細川氏は、北朝鮮のミサイルの脅威に対し、国民は“自分の国は自分で守る”ということを、これを機に学ぶべきだ、と述べた。佐藤氏も「ミサイル防衛は専守防衛の典型。備えあれば憂いなしだ。」と述べた。

(この放送は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年6月10日放送の内容を要約したものです)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ画像:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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