2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
スポーツ  投稿日:2017/7/8

マインドセットを変える方法

JB170708tamesuetop
Pocket

為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)

【まとめ】

・マインドセットが変わると行動が変わり、結果に差が出る。

・まずは、マインドセットが存在することに気づくこと。

・その上で、一転に集中し“兆し”を作ること。それがマインドセットの変化に繋がる。

 

野茂英雄さんが1995年にメジャーリーグに挑戦されました。それまでは日本人がメジャーで活躍するのは難しいだろうという意見がありましたが、実際に活躍されると同時に、日本人メジャーリーガーが少しずつ増え、今ではもうたくさんの選手がメジャーリーガーになりました。

野茂さん以前と以後では一体何が変わったのでしょうか?おそらくは技術的に変化があったわけでしょうし、システムが変わったわけでもないと思います。一番大きく変わったのは、野茂さんの事例を見てそれは可能なことなのだというマインドセットが変わったのだろうと思います。

常に全力を出しているスポーツの世界ですら、マインドセットが変わると前提が変わり、行動が変わり、結果に差が出ることの一例ではないかと思います。

マインドセットを日本語で訳しているものを見ると、思い込み、先入観、刷り込み、などがあります。要は自分が判断をしたり、行動をすることの前提になっている(おそらくは無意識の領域で)考え方や見方の癖と言えるのではないかと思います。

例えていうならば、テレビでニュースを見ている時に、現場で起きているそのものを写していても、どの画角を切り取るか、またカメラのレンズや色の違い、などを介して私たちはそれを見ているわけです。

この編集の仕方の癖や、カメラのレンズそのものの偏りで、いくらでも現実は変わって見えます。このカメラや編集の癖にあたるものがマインドセットになろうかと思います。

実際に人間は見ているものすべてが意識に上っているわけではなく、無意識に編集し選択されたものを見ているというのを示した実験もあります。私たちは編集済みの世界を既に生きているわけです。

じゃあ、そのマインドセットを変えればいいじゃないかと思うのですが、マインドセットが変わるということはまさに自分にとっては世界が変わるということですから、なかなか簡単ではありません。難しいのは承知の上で、マインドセットはどんなプロセスを経て変わっていくのか、現役時代の経験から、どういうプロセスだったかをまとめてみました。

1、マインドセットが存在することに気づく

ー世の中がそうなのではなく私がそう見ているという発見。

2、どんなマインドセットを持っているかを把握する

ー課題が難しいかどうかではなく、課題を難しいと感じる傾向にあるマインドセットを持っているなど。

3、マインドセットは選べることを認識し、選ぶ

ー見方を変えることはできる。ただし、マインドセットはそう簡単には切り替わらない。

4、兆しを見て、マインドセットが変わり始める

人は兆しがなければそれを信じることはできない。いきなり変えるのではなくまず現実は変えることができるという証拠を見せる。

5、現実が変わる

ーマインドセットが変わるとほぼ必ず現実も変わる。信じようとしている状態と、信じるという意識もなく身についた状態では、相当差がある。

6、マインドセットが変わっていたことに気がつく

ーマインドセットが変わったことに気づくのはいつも振り返った時。最中は夢中で目の前に取り組む。

特に重要な点は、マインドセットに気づき選べるとわかること。兆しを作ることではないかと思います。人はいきなり勝てると言われても信じませんが、今までとは違う何か兆しを見た時に勝てると信じ始めます。

チームが強くなる時に、だいたいまずはなんらかの結果で兆しを見ることで、チーム内の空気が変わり、大きな変化が起きていくように思います。

ドミノの一つ目を倒すように、ある一点に集中して兆しを作るというのが有効なのかもしれません。

マインドセットが変わったことがある人間は、それを変えられると信じますが、変わった経験がないとそもそもマインドセットというものが存在するとすら考えないのではないかと思います。心理学の認知療法でも、それがそうなのではなく、あなたがそう見ているという風に認識を持ってもらうのに時間がかかるようです。

 (第12回メルマガより)

Pocket

この記事を書いた人
為末大スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役

1978年5月3日、広島県生まれ。『侍ハードラー』の異名で知られ、未だに破られていない男子400mハードルの日本 記録保持者2005年ヘルシンキ世界選手権で初めて日本人が世界大会トラック種目 で2度メダルを獲得するという快挙を達成。オリンピックはシドニー、アテネ、北京の3 大会に出場。2010年、アスリートの社会的自立を支援する「一般社団法人アスリート・ソサエティ」 を設立。現在、代表理事を務めている。さらに、2011年、地元広島で自身のランニン グクラブ「CHASKI(チャスキ)」を立ち上げ、子どもたちに運動と学習能力をアップす る陸上教室も開催している。また、東日本大震災発生直後、自身の公式サイトを通じ て「TEAM JAPAN」を立ち上げ、競技の枠を超えた多くのアスリートに参加を呼びか けるなど、幅広く活動している。 今後は「スポーツを通じて社会に貢献したい」と次なる目標に向かってスタートを切る。

為末大

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."