2018年を占う
政治  投稿日:2018/1/26

日米関係、日本は主体性を持て 古森義久氏(下)

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「細川珠生のモーニングトーク」2018年1月6日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(大川聖)

【まとめ】

・北朝鮮問題、トランプ政権現段階は経済制裁だが、軍事オプションもありうる。

・エルサレム宣言はトランプ大統領の公約の一つにすぎず、それにより中東和平に影響があるとは思えない。

・日米首脳は戦後最も緊密だが、追従ではなく自主性が必要。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=38250でお読み下さい。】

 

日米関係について2017年の振り返りと2018年の展望を、政治ジャーナリストの細川珠生氏が産経新聞ワシントン駐在客員特派員で在米ジャーナリストの古森義久氏に2週にわたり話をきいた。(上)の続き。

 

■ 北朝鮮問題

細川氏が北朝鮮に対するトランプ政権の対応について質問すると、

古森氏は「最悪の場合は、軍事力で北朝鮮の核兵器施設・核兵器そのものを破壊する以外にもう方法はないという状況も生まれ得る。その場合には軍事力を使うとトランプ大統領は言っている。」と答え、アメリカが軍事力をもって北朝鮮に圧力をかけ続ける姿勢に変わりはない、との考えを示した。

一方で「今は経済制裁である。」と述べ、アメリカが現段階ではまだ非軍事的・平和的な外交手段によって北朝鮮に核兵器の開発を放棄させようとしていると述べた。

そして「それにはやはり中国が決定的なカードを握っている。」と指摘した。これまで北朝鮮に対する制裁は中国を頼みにしてきたが、中国は北朝鮮に対する制裁を完全に実行してるか疑わしい。

古森氏は、中国のこうした態度に対し、「アメリカにも国際社会にもいい顔をする。結果としてアメリカは一生懸命やっているが無力で、本当に力を持っているのは我々中国だというプロパガンダ的なメッセージを全世界に広めるためとも考えられる。」と述べた。

古森氏はまた、トランプ政権がもし軍事手段を絶対に使わないという立場をとった場合、「北朝鮮の核兵器、核武装を容認することになってしまう。」と懸念を示した。

そして、「大体3ヶ月から1年くらいの間に、アメリカ本土に完全に届く長距離弾道ミサイルに、核弾頭を装備することができるのではないか。それが確立されると事態が変わってそう簡単に軍事攻撃が出来なくなる。」と述べ、トランプ政権は、今はまだ非軍事の方法を色々試みているが、時間は迫っていると警鐘を鳴らした。

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▲写真 北朝鮮の弾道ミサイル「火星14号」 出典:Global Security

一方で日本は、これまでアメリカとの軍事同盟に依存してきたことに対し古森氏は「どんなことがあっても戦ってはいけないというのは世界から見たら異端だ。今の北朝鮮問題は日本にとっての教訓だと思う。」と指摘した。

その上で、日本は当面はまだアメリカに頼ることになるが、トランプ大統領に対する不信感は不当だとの考えを示した。

「(トランプ大統領の)周りは側近で囲まれ、議会も共和党が上下両院で過半数をとっているから発言力が強い。トランプ氏個人が無知だからとんでもないことをしてしまうというメカニズムはほとんどない。」と述べた。

さらに、大統領の給料も自ら返上しており、「ビジネスマンだからビジネス利益を優先するのではないかといった指摘も当たらない」とし、むしろ「自分なりの考えを実行しようと、公約を掲げ、その通りにやってきている」とトランプ大統領を評価した。

 

■ エルサレム問題

古森氏は「エルサレムの首都宣言もトランプ大統領が公約としてさんざん言っていることで、今急にやった、とか、ロシア疑惑隠しのためにやったとか、日本のいわゆるアメリカ通の間で言われていることは事実に反する」と指摘した。

古森氏はトランプ大統領のエルサレム首都宣言の経緯を次のように説明した。

エルサレムをイスラエルの首都として認め、大使館を移転する、「エルサレム大使館法」という法律が22年前に成立しているが、歴代大統領は1年に2回署名することで延期してきた。トランプ大統領も昨年6月に一度署名したが、昨年7月には連邦議会の上院がエルサレム大使館法の即時執行を求める決議案を90対0で通している。昨年12月にも、トランプ大統領は一応署名したが、議会の決議案に従い、また自身の公約通り、延期はもうしないという意思表示をした。また、古森氏は「アメリカ国内ではこの問題に対するトランプ批判はほとんどない。」と述べた。

細川氏は「(アメリカが)いわゆる平和の仲介役を降りたのではないかともいわれているが、今後、中東情勢はどうなっていくのか。また日本のプレゼンスは。」と質問した。

古森氏は「石油問題は大切だが、日本は当事国ではない。死活的な利害関係もない。やはりこの問題は今のトランプ政権が言っているように、当事者同士の交渉に任せればよいのでは。」と答えた。

その上で現実的な外交として、「日本がパレスチナかイスラエルのどちらかを推進するという立場ではない。アメリカとの関係のために中東に対する政策もある程度は考えなくてはいけない。」と述べた。

さらに、3度の中東戦争を経て、イスラエルという国が認知され、和平が進んでおり、残るのはイスラエルとパレスチナの問題になってきたとし、和平交渉に関しては「オバマ政権時代から止まっている。エルサレム宣言をしたから中東和平が止まったのではなく、中東和平交渉が止まってるから今これ(エルサレム宣言)をやってみてもやらなくても和平交渉には影響はないだろうという計算がトランプ大統領にはある。」と述べた。

古森氏は、サウジアラビア、トルコとの関係もよくなり、公約の外交政策のトップに位置付けたイスラム国の撲滅も今のところ達成していることから、「トランプ大統領は、エルサレム宣言によりまた戦争が起きるということにはならないだろうという自信を持った。」と指摘した。

 

■ 日米首脳同士の関係

細川氏は「安倍首相に対するトランプ大統領の信任は厚いときくが、これまでと比較し現在の日米関係をどうみるか」と質問した。

古森氏は「この瞬間だけみれば、首脳同士の心地よさ、交流、意思疎通の円滑さは戦後最も緊密ではないか。政策面も含めて(安倍首相とトランプ大統領は)個人的な相性があっているのではないか。」と答えた。

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▲写真 安倍首相と米トランプ大統領と豪ターンブル首相 出典:2017年11月25日の首相官邸Facebookより

北朝鮮や尖閣諸島の問題を抱える中国に対し、軍事面から見て日本はアメリカに頼らざるを得ない現状をみると、古森氏は「今、両首脳が緊密なのはいいことだが、安倍首相はなんでもトランプ大統領のいうことに賛成するのかという意見もある。」と指摘し、「もう少し自主性があっても日米関係の絆を揺るがすことにはならないのではないか」と述べた。

細川氏は「本当の意味で対等な関係が理想だ。(安倍首相には)トランプ大統領と上手くやっていくセンスを大いに生かして日本の政治を導いてくれることを期待している」と述べた。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年1月6日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth編集部

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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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