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国際  投稿日:2018/2/11

「難民」私達は何を知っているのだろう

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Japan In-depth 編集部(佐藤瑞季)

【まとめ】

・イラン出身の女優サヘル・ローズさんやパレスチナ難民ら、難民を知る会を主催。

・主催者らは「難民は私たちと変わらない普通の人。身近に考えて。」と訴えた。

・参加者は料理やライブを堪能しながら難民問題をより身近に感じた。

 

【注:この記事には複数の写真が挿入されています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=38408でお読みください。】

 

難民」と聞いても多くの人はピンとこないだろう。欧州に渡った多くのシリア難民、直近ではミャンマーからバングラデシュに押し寄せているロヒンギャ族の難民などのニュースを目にすることはあっても、「難民」が日本に押し寄せることはない。

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▲写真 バングラディシュにボートで向かうミャンマー・ロヒンギャ族の難民 出典:© UNHCR/Adam Dean

そうした中、イラン出身の女優のサヘル・ローズさん、2016年に日本で初めてパレスチナ人として難民認定されたアル・マフムード・ホセイン・アリさん(以下ホセインさん)や、難民支援に携わってきた人など8人が主催する交流会が東京都内であった。

テーマはずばり「難民を知ろう」。パレスチナ料理を片手に、トークあり、ライブあり。会場には数十名の男女が集まり、みな真剣なまなざしで時にうなずき、時に笑い、料理人志望のホセインさんが振る舞うパレスチナ料理に舌鼓を打った。

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▲写真 キッチンに立ち、料理を作るホセインさん ©Japan In-depth編集部

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▲写真 料理の列に並ぶ参加者 ©Japan In-depth編集部

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▲写真 ホセインさんお手製のパレスチナ料理。さっぱりした味付けで美味しかった。 ©Japan In-depth編集部

第1部のテーマは「世界の難民」。フォトジャーナリストの佐藤慧さんが世界各地の難民キャンプ等で撮影した写真を見ながらトークを展開した。2016年3月に、ミュージシャンのSUGIZOさんとヨルダンの難民キャンプに訪れた際、音楽を通じて大盛り上がりした経験を振り返り、「難民と言われている人も普通に出会えば、本当に普通の人。遠い存在だと思って欲しくない」と話した。

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▲写真 写真を見せながら話をする佐藤さん ©Japan In-depth編集部

第2部は「日本の難民」。レバノンの難民キャンプ出身のホセインさんの自己紹介で幕を開けた。「23歳です。パレスチナ人でレバノンに住んでいました。私の夢はシェフになること。今日はパレスチナ料理を作ります。皆さんよろしくお願いします」。

日本語で書いたノートを見ながら一生懸命話す姿に、会場の雰囲気が和む。なぜ難民になったのか、何があったのか、今細かい話をすることは難しいのだという。「美味しい料理を作って笑ってほしい」と明るく夢を語る笑顔の裏に、想像しえない壮絶な体験があるのだと思わされた。

彼をサポートしてきたインターナショナル・カルチャーエクスチェンジ・ジャパン代表の山本真希さんは、「難民という枠ではなく、パレスチナ人のホセインさんとして見てほしい」と述べ、続けてサヘルさんも「難民も皆さんと同じ存在。難民という言葉が辞書からなくなればいい。」と訴えかけた。

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▲写真 左からサヘルさん、ホセインさん、山本さん。 ©Japan In-depth編集部

第3部は、シンガーソングライターYaeさんによるライブ。アラビア語と日本語で歌う「椰子の実」や「名も知らぬ花のように」など全4曲を披露した。アラビア語で歌う「椰子の実」は、音楽でつながるをテーマに、「みんなで作るシリア展」の機会に、一語一語、教えてもらいながらレコーディングをした思い出深い曲だそうだ。

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▲写真 楽器を使いながら歌うYaeさん。 ©Japan In-depth編集部

Yaeさんは「ヨルダンの難民キャンプでこの曲のCDを流した際に、違う国の歌にもかかわらず、聞いた人々が皆、涙していたと聞いた。いつか3人の子供を連れて向こうに行ってみたい。」と話した。

この会を振り返り、サヘルさんは「今日聞いたこと、知ったことをSNSなどを通じ、広げていってほしい。今日もらった種を皆それぞれが大切に育てていって。」とまとめた。ホセインさんは、「すごく楽しかった。少し疲れたけれど。初めて食べる人が多くて、嬉しい。夢のために、日本語も勉強も料理も頑張りたい。」と話した。

この会に参加した方々の声を聞いた。

「UNHCRの募金を何年もしていたが、難民問題はよく分からずにいた。今日のお話を聞いて、難民の方も私たちと同じ人間なんだ、身近な存在なんだと気付いた。」(都内の40代会社員男性)

「2011年にシリアに旅行に行ったこともあり、以前からずっと難民問題に関心があった。難民と考えてしまうと自然と距離が遠くなってしまう。ホセインさんのような方と出会うことで、身近に感じられる。こんな機会が多くあるといいな。」(都内の20代のNGO職員の女性)

「ニュースを見て、難民問題に興味を持っていた。日本ももっと難民や移民を受け入れることで社会がより豊かになるのではないか。パレスチナ料理も初めて食べたがとても美味しかった。」(都内の50代の自営業の女性)

こうした交流会は今後も2~3か月に一回は行われるという。

今回のイベントでは、食や音楽といった分野から入ることで難民問題を身近に、やわらかく理解することができた。難民と聞くと、遠い世界で起きていることのように感じてしまう。しかし、彼らも紛争が始まる前は今の私たちが送っているような当たり前の平和や何でもない日常があったのだ。

難民キャンプで、ある人がこんなことを言ったそうだ。「一番苦しかったのは、爆弾を空から落とされた時でも、過激派勢力に殺されそうになった時でもない。これだけのことが起きているのにも関わらず、世界の関心がないことに気づいた時だ。」と。彼らの存在を忘れることなく、日本の社会全体で、世界全体で考えていかなくてはならない。まずは明日、家族や友達と話してみようと思う。

トップ画像:会を主催した方々 ©Japan In-depth編集部

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