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.政治  投稿日:2018/5/6

北非核化、工程提示が米の条件渡辺恒雄氏


「細川珠生のモーニングトーク」2018年4月21日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(駒ヶ嶺明日美)

【まとめ】

・米朝首脳会談、合意には北の査察受け入れと非核化工程の提示が必要。

・堅固なトランプ支持層は約3割。11月中間選挙は共和党が劣勢か。

・トランプ大統領弾劾は、偽証による司法妨害で訴追される可能性。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記されていることがあります。その場合は、Japan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39912でお読み下さい。】

 

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長による初の米朝首脳会談は、開催の日時や場所は未確定である。安倍首相は4月17日及び18日(現地時間)に訪米し、トランプ大統領の就任後6回目となる日米首脳会談を行った。今回はゲストに笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄氏を迎え、今回の会談の意義、及び今後のトランプ政権について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

 

 日米会談の意義

まず細川氏は今回の日米首脳会談の意義を聞いた。渡部氏は「米朝首脳会談の前に、同盟国である日米がすり合わせをしておくことは重要。安倍首相は世界中で最も頻繁にトランプ大統領と電話で話をしている外国の首脳だが、北朝鮮問題は広範に渡るため、心配な点を確認したかったのではないか。」と述べ、特に、拉致被害者への言及を確認する目的と、アメリカが北朝鮮に出し抜かれてきた過去について念を押す目的もあったのではないかとの見解を示した。

次に細川氏は「北朝鮮との会談の中で、アメリカが譲れない条件はなにか。」と質問した。渡部氏は「表立っては『完全で、検証可能で、不可逆的(な非核化)』という言葉を使うが、合意だけでなく、査察を受け入れ、さらに何年何月までという工程を決めなければアメリカは(北朝鮮を)信用出来ない。」と述べ、北朝鮮が査察を受け入れることと、具体的な非核化の工程を提示することがアメリカの目指す重要な合意点になるとの見解を示した。

 

■ 米国内のトランプ大統領の評価

細川氏はトランプ氏に対する国内での評価と、今年11月に行われる中間選挙の見通しを聞いた。渡部氏は「トランプ大統領の支持率は30~40%程で、歴代の大統領の中でも最低。」としながらも、「コアな支持層は30%前後の人達がいる。」と述べ、堅固な支持層が昨年の大統領選挙以来存在し続けていると指摘した。その理由について、「アメリカでは、メディアも有権者も、民主党支持と共和党支持の二極分化が進んでいる。保守系のメディアでは、トランプ氏に問題があったとして報じられたとしてもフェイクニュースだと言っている(ため)。」と説明した。また、支持率は低いが、堅固な支持層が存在するために政権の勢いが弱まらないとの見解を示した。

今年11月に行われる中間選挙では、下院議員と上院議員の3分の1が対象となる。投票結果には2年間の政権運営への評価が反映される。この中間選挙について渡辺氏は「下院は共和党よりも民主党の方が強いのではないかと言われている。その上、共和党のライアン下院議長が、まだ49歳であるにもかかわらず、次の選挙に出馬せず、政界を引退する意向を示した。(選挙に)勝てないと思ってのことだろう。」と共和党が劣勢になるのではないかとの見方を示した。

共和党が下院で過半数を失った場合には、弾劾裁判が可能になる。渡部氏は「(トランプ大統領が)本当のこと言わないで偽証になるのではないか。トランプ大統領が弾劾されるとしたら、司法妨害で訴追される可能性が強い。」との考えを示した。

また、上院の3分の2の賛成票が必要であるため、実際に罷免はされない可能性が高いが、「(弾劾訴追が行われれば)レームダックとなって力が失われ、ましてや2選は厳しくなる。」と述べた。そのため、今回の日米首脳会談で安倍首相から通商問題の譲歩を引き出したり、北朝鮮問題で一定の成果を出すことで安全保障上・外交上の成果を有権者にアピールしたいのではないかとの見方を示した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年4月21日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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