[山田厚俊]<大阪市長選・過去最低の投票率23%>「政治家の劣化」だけでなく「有権者も劣化」?
山田厚俊(ジャーナリスト)
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23.59%。「大阪都構想」をめぐり、橋下徹氏が市長を辞任したことに伴って3月23日に投開票が行われた“出直し大阪市長選”は、過去最低の投票率で橋下氏が再選を果たした。
無効票は、投票総数の13%を超える6万7506票。このうち、投票用紙に何も書かれていない「白票」は4万5098票だった。
日本維新の会の国会議員団幹事長、松野頼久衆院議員は翌24日夕、東京・永田町でこう語った。
「過去最低の投票率だから信任を得ていないとか言う記者もいるが、37万7472票もの票を得ている。3連休の最終日という悪条件のなか、37万余の人が橋下氏に投票した事実は変わらない。単に投票率が低いからといって、信任されていないという理屈は通らない」(松野頼久衆院議員)
さらに、無効票についてはこう見解を述べた。
「もちろん、橋下氏に対する批判もあるでしょう。しかし、対立候補を出さなかった他党に対する批判もあると思う。白票には何も書いていないわけだし、どういう理由かは分からない」(松野頼久衆院議員)
手続き上、齟齬があったわけでなく、「都構想」をボツにしないで済む方策を尽くしての結果で、すべてはこれからだと述べる松野氏。さまざまな意見はあろうが、ぼくは一理あると思う。
「投票は有権者の権利であって義務ではない」
そんな声が毎度のように聞こえる。棄権は意思表示の放棄であって、どのような政治になろうとも抗議する権利は無くなる。政治家の劣化ばかりがマスコミで言われるが、それは「有権者の劣化」と言い換えられても仕方ない。
24日に初登庁後に記者会見した橋下氏は、大阪都構想について「住民投票で決めるべきだとはっきりした」と語った。今後、さらなる茨の道を橋下氏は歩み続けることとなる。
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