[山田厚俊]ちょっと食傷気味の都知事選だからこそ、若年層がどれだけ政治に関心を持ち、投票行動に繋げていくのかに注目
山田厚俊(ジャーナリスト)
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ちょっと食傷気味の都知事選。もう都民の関心も薄れているような厭世感が漂っているようだ。そんななか、「その他大勢の泡沫候補」扱いされている家入一真氏の事務所を訪ねた。というのも、立候補表明時から、気になる存在としてウオッチしていたからだ。
理由はカンタン。ダントツに若い候補者で、しかも父親が自己破産し、経済的にどん底を経験、自らも中学時代はいじめが原因で引きこもりとなった。一方で、ビジネスでは成功し、最年少で上場も果たした人物だからだ。密度の濃い人間が、全く異なった世界に身を投じる姿を確かめておきたかったからである。加えて、昨年から解禁となったネット選挙を駆使して戦っていることが大きな注目点だった。
とりわけ、びっくりしたのが「クラウドファンディング」。要は、ネットを通じての個人献金の募集で、500円から50万円までのアイテムを用意し、瞬く間に目標金額500万円を遥かに上回る744万7500円で受付終了となった。また、政策については、ざっくりした方針を掲げただけで、後はネットなどで寄せられた意見を聞きながら付け加えていく“肉付け方式”。ソーシャルメディアの利点を活かした面白い試みだといえる。
昨年の参院選では、「ネット選挙が解禁になっても何も変わらないじゃないか」といった声が有権者、立候補者、はてまたメディア側からも聞かれた。しかし、今回の都知事選では、他の候補者もHPやツイッター、フェイスブックをはじめ、さまざまなソーシャルメディアを活用するなかで、新たな試みが刺激的に展開されているのだ。
今後の選挙戦において、とりわけこの“家入モデル”がベースとなり、よりブラッシュアップした形で選挙戦が展開されていくことになると感じている。
今後、若年層がどれだけ政治に関心を持ち、投票行動に繋げていくのか。家入氏の得票数がどれだけ伸びるか。大いに注目したい。
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