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.経済  投稿日:2013/10/12

[安倍宏行]ビッグデータって?


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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ビッグデータ。

良く聞く言葉だ。総務省のサイトを見てみると、ビッグデータは、「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」で、ビッグデータビジネスとは、「ビッグデータを用いて社会・経済の問題解決や、業務の付加価値向上を行う、あるいは支援する事業」と定義している。[注1]

なるほど、膨大なデータをどうビジネスに活かすか。ICT時代ならではの重要な課題であり、活用次第でビジネスが活性化し、更に社会の課題が解決するならいい事づくめじゃないか、と思う。

しかし、ちょっと待てよ。その前に、データをそもそも活かしきれてないビジネスが多すぎないか?

 

まず、飲食業界。

私は2001年の夏まで5年間ニューヨークに住んでいたが、後半はとあるオンラインレストラン予約サイトを使っていた。即時予約、即時キャンセルが出来、利用回数によってキャッシュバックがある、とても使い勝手が良いサービスだ。日本でも遅ればせながら2006年にスタート。最初は加盟店が少なくて使えなったが最近では大分増え、大いに活用している。

客にとっていつでもオンラインで予約が出来る、というのは大きなメリットだが、店側にとっても顧客データが蓄積される、というメリットがある。その顧客がどのくらいの頻度で店に来て、禁煙席を希望し、いつも白ワインを飲み、毎回1万円以上消費する・・・などデータが蓄積できるのは大きい。何しろメールアドレスや電話番号まで入手可能なのだ。

しかし、だ。過去何100回と利用しているが、行きつけの店ですら、私に販促のメールをしてきた事が1度もない。これは何故なんだろう?販促する必要が無いくらい儲かっちゃっているのか?そんなわけないですよね?

 

お次は、アパレル業界。

私はほとんど同じ店で服を買う。特にスーツなどは、体型に合ったサイズでも、袖の長さやズボンの丈、ウェストなど直さねばならない場合が多い。店を変えるとまた1から採寸しなければいけない。なので男性は、一度その店でスーツを買うと、次もその店で買う傾向が強い、と聞いたことがある。

かつて私が良く服を買っていたブランドがあった。店長と店員さんは私の服のデータ(サイズ、又下、過去購入した服の種類、色、生地等)を紙台帳(!)で持っていた。しかし、ある日突然、そのブランドが無くなった。店も閉鎖され、店長も店員さんもどこかへ異動し、私のデーターはどこへやら・・・。

某国内アパレルメーカーのブランドだったのだが、そのデータを別ブランドに移行し、私をそこに誘因したりはしないのである。摩訶不思議である。客はずっとそのアパレルのブランドを買い続けてくれると信じているらしい。

 

まだある。

ホテルチェーン。定宿だし、毎回同じオンラインサービスで予約している。なのにチェックインで住所、名前を毎回書かされたりする。法律で決まっているのかとも思ったが、書かなくて結構です、と宿泊カードに既にプリントしてあるホテルもあるので、良くわからない。(ホテル業界の人教えて下さい・・・)

これだとて、客のデータが有効活用されていない例じゃないですか?「お帰りなさいませ。いつもご利用有難うございます。今日はxxx様のご愛顧に感謝して、ササヤカながら、お部屋をアップグレードさせて頂きました。」こんなサービスをしてもらったら、ああ、またこのホテルにしよう、と思うのが人情ってもんじゃないですか?

 

今日の一言

「ビッグより いまあるデータ 活用を」

 

[注1]平成24年度情報通信白書のポイント

 

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