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.社会  投稿日:2014/5/17

<なぜセブ島で美容ビジネスをするのか?>練習用ウィッグを10台切るより、実際の髪を切る方が確実に上手くなる[フィリピン・セブ島で活躍する日本人]


佐々木勝(DONNA 代表)

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「なぜセブにお店を持ったのですか?」 日本人の方に会うと必ずと言っていいほど聴かれる質問です。

セブ島通信(7)_1セブ進出をひとことでいうと“危機感”です。と言っても、日本で事業やプライベートがうまくいっていなかった訳ではありません。むしろ逆で、幸せで満ち足りていたからこそ、危機感が芽生えたのです。日本にいれば平和で安全。仕事もほぼ思い通りに行っていました。しかし、企業として、人として、果たしてこのままでいいのだろうか、と思い至ったのです。それで日本の事業は、社員の成長のためにも彼らに任せ、日本のグローバル化に備え、アジアに飛びこみました。

セブの人たちはハングリーです。なんとか這い上がろうという強い意思を感じます。彼らと仕事をしていると、何をするにしても、相手の気持ちがわからないし、自分の思いを伝えられません。絶えず価値観の違いを感じ、不自由な状態です。でも、そんな環境の中で挑戦することが、今は楽しく、そしてやりがいを感じます。

日本では、美容師は国家試験を合格するのに美容学校を2年、そのあとサロンで2年から5年働き、ようやく一人前のスタイリストになります。しかし、ここフィリピン・セブでは、美容師に免許はありません。美容院に勤め始めた新人も、半年もすれば、お客様を担当するのです。その理由として、髪はどうせすぐ伸びるという感覚で、日本のように”おしゃれ“で髪を切る人は少なく、カット料金も100円から600円程度です。ですから、美容師という職業は、どちらかというと、生活のための肉体労働的な位置づけで、月収も最高で15,000円くらいなのです。したがって、早く髪を切る経験を積ませ、一人前に育てるのがフィリピンの美容業界では一般的となっています。

私は、このフィリピン方式を、美容師を目指す日本人に当てはめようと考えました。彼らをセブに呼び、一年間美容学校に通わせ、その後すぐにサロンで働いてもらいます。ヘア・スタイリストを日本より早く育成できるのです。その理由はすぐに現場で実地訓練に入るからです。練習用ウィッグを10台切るより、実際にお客様の髪を切る方が確実に上手くなります。事実、30年前の日本はそういう風に美容師を育てていたのです。ネイリスト、アイコーディネーター、エステティシャンも同様です。

世界中の女性は、“綺麗になりたい”という深層心理を持っています。この心理がある限り、日本の美意識と技術に対するニーズは尽きることがないでしょう。私は、海外で活躍したい日本人と共にフィリピン人を一刻も早く一人前のスタイリストに育て上げ、彼らを通じて、日本の技術をアジアに、そして世界に広めていきます。“世界の女性を美しくする“という夢を実現するために。

 

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タグ佐々木勝

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