[為末大]<「恐れ」とは「強い思い込み」>危険は現実だが、恐れはストーリーだとウィル・スミスは言った
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
先日打ち合わせをしている最中に、緊張や恐れをどうコントロールするのかという話になった。人によって違うかもしれないけれど、私の緊張はいつも少し恐れが混じっていて、その恐れをどうコントロールするかというのがテーマだった。
相手の方がウィル・スミスの映画の中にこんな言葉が出てくるとおっしゃっていた。
「危険は現実だが、恐れはストーリーだ」
僕はストーリーという枠組みで考えた事は無かったけれど確かにそう言われればそうだと思った。危険は事実で、恐れは認識。
僕の恐れは、未来と他人から来ていた。もし失敗したらこの先どうなってしまうんだろう。もし失敗したら周囲の評価はどうなるだろう。だからレースの前にはいつも未来への想像を断ち切って、外への意識を断ち切るのが大事だった。
「自分が何を恐れているのか」がわかれば実はかなり楽になる。そして恐れているものが本当に恐ろしいのかどうかを改めて考えてみると案外とそう思い込んでいるだけの事も多い。わかった所で恐れは完全にはなくならないけれどコントロールはある程度できる。
それがそうなのではなく、私がそう見ている。そして私にはなぜそれがそう見えるのかを引いてみて考える。恐れと重圧のコントロールはいつもこういう思考で向き合っていたように思う。恐れはいつも自分の側にしかない。
恐れているものが何なのかわかれば、それに徐々に慣らしていく事で恐れはある程度克服できると思う。恐れはある種の強い思い込みだと思う。
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